投稿者: munehubon

  • (参加者募集)「なんちゃってフェスカラオケ」開催のお知らせ

    (参加者募集)「なんちゃってフェスカラオケ」開催のお知らせ

    どうも、ふ凡社代表取締役AKB(Asian Kung-fu バンドエイド )の鈴木です。

     

    8月4日(日)に

     

    「なんちゃってフェスカラオケ」

     

    というイベントを開催することにした。参加者を募るべく、この場を借りて概要をプリティに説明する。

     

     

    これがなんちゃってフェスカラオケだ

     

    なんちゃってフェスカラオケとは、コンサートをやってる気分を疑似体験する新感覚カラオケである。

    おおまかな流れは以下の通り。

     

     

    1、ステージのあるパーティールームを借りる

    2、歌う人はデンモクを持ってステージに上がり、まずMCから始める。

     

    歌う曲が生まれたエピソードや今回のツアーにかける意気込みなど、「私がやってみたかったライブ感」を再現してもらう。

     

    3、MCが終わったらデンモクから曲を入れ、とっておきの1曲をとっておきに歌う

    熱唱するキャサリンの図

     

     

    4、歌い終わったら、観客への感謝など叫びながらステージを後にする

     

    これを人数分繰り返すのだ。歌う側がやることはいたってシンプル。

    聴く側に求められる高度なパフォーマンス

     

    実は、今回の企画の肝となるのは、「聴く側のパフォーマンス」である。

     

    フェスカラオケの成功条件は、「歌う人全員が心地よいライブ感を体験して帰ってもらう」ことだ。これを実現するためには、観客側に

     

    「誰が何を歌っても完璧にノル」

     

    という高度な適応力が求められるのだ。ということで、「自分が歌わない間=聴き手に回っている時」に、いくつかの縛りを設けることにした。

     

     

    1、観客は、ステージに立つ人の歌に聴き入る(スマホやデンモクをいじったりしない)

    2、いかなるジャンル・テンションの曲が来ても、「歌ってる人の大ファン」になりきって、ノル

    3、歌い手のMCに対して声援を送ったり、反応したりする

    (アーティストとファンのコミュニケーション感を出す)

    • 曲と曲の間は拍手と「アンコール!」で沈黙を繋ぐ(歌う人全員がアンコール登場してきた感を味わえるというメリットもある)

     

     

    こんな感じのルールだ。聴く側がこれらを徹底すると

    「ヘビメタの後に演歌が来てもバイブスが変わらないフロア」

    が生まれることになる。

     

     

    皆で一丸となって、「何が来ても受け入れる超優しい世界」を作り上げること。これが、なんちゃってフェスカラオケの真髄なのだ。

     

    歌う人は、いつものカラオケでありがちな「場の空気を読んで選曲考えなきゃ」とか、「どマイナーな曲入れた盛り下がっちゃうかな」といった余計な気を遣わなくてもいい。

     

    カラオケが苦手でも、MCなんてやったことなくてもいい。いっそ自分以外全員知らない人でも構わない。何をやっても皆ノッてくれるから、安心して飛び込んでいただきたい。そして、誰かが歌っている時は全力でノッてほしい。

     

    もちろん、歌うにあたって、楽器を使ったり、デュエットをしたり、MCに凝ったり、思い思いのパフォーマンスを用意していただいて構わない。(1人持ち時間10分くらいを予定)

     

     

    この趣旨に賛同いただける、「根っからエンターテイナー」の方は、ぜひTwitterのDMやコメントにてノリノリで参加表明していただきたい。(定員は20名ほどを予定)

    鈴木のアカウントはこちら

    ふ凡社 鈴木

     

    (ふ凡社フェス実行委員会)

  • 尿意の限界を知る

    尿意の限界を知る

    神「鈴木よ、お前は今までの人生の中で、自分のことをよく知ることができたか」

    鈴木「はい、もちろんです。自分のことは自分が一番よくわかっています。わからないことなどございません。」

    神「ならば一つ聞こう」

    鈴木「どうぞ。何なりとお答えしましょう」

    神「お前はトイレに行こうかな、と思ってから尿意が限界を迎えるまで、どれだけの時間耐えられる」

    鈴木「えっ」

    どうも、ふ凡社鈴木です。

    尿意を耐えてみようかなと思った。ただそれだけのこと

    先日、仕事中に「トイレに行こうかな」、と思った時のことである。

    いつもはライトに尿意を感じた段階でトイレに立つが、この日の私は、ふと立ち止まって考えてしまった。

    「私の体は、いったいどれだけの時間、尿意に耐えうるのだろうか」

    頭に浮かんだのが、冒頭のやり取りである。死後の世界があるとして、神様がいるとして、生前の様子を神様に報告する場が設けられるとして。今の私は、もし神様から「君どれだけおしっこがまんできんの?」と聞かれたら、正確に回答できないのだ。これはいけない。

    思えば尿意とは不思議な奴である。同じ人間、貯水槽の容量は変わらないはずなのに、水分の摂取量やタイミング、周囲の環境や精神状態など、様々な要素が複雑に絡まって、遅く来たり早く来たり七変化の様相を見せる。私に限らず、実はほとんどの人類は、自分の尿意が「どこから来てどこへ行くのか」を知らないのではないか。これではいけない。

    ならば、探さなきゃね、僕の尿意のふるさと。管を伝って落ちる雫がどこから来るのかを。

    私は浮かせかけた腰にストップをかけ、今一度深く椅子に座りなおした。

    こうして、27歳成人男性による、己の下半身と向き合う本気の耐久レースが幕を開けた。

    1分 「トイレに行こうかな」

    始まりはいつもライトなきっかけから。いつもならここで軽率に席を立つところ、今日の私は一味違う。どっしりと構えて動かざること山の如しである。

    5分 「気になる」

    戸惑いを見せたは私の下半身である。下腹部から、「えっ、行かないんすか?」というメッセージが、微弱な電波に乗って脳に届いているのが分かる。貯水タンクはまだ全くの無傷だが、「なんかいつもと違うことやってんな」と一度意識してしまうと、そわそわスイッチが入るのだ。

    しかし、このそわそわも長くは持たない。10分もすれば尿意は意識から外れ、いつもと変わらぬ生活が広がるばかりであった。

    55分 「トイレに行きたいな」

    小一時間立ったころ、「トイレに行きたいな」と思った。

    「行こうかな」と「行きたいな」。たかだか2文字の違いだが、この間には天と地ほどの差がある。尿意が、感知から認知に変わる瞬間だからだ。

    いつもの私なら、この段階になったら迷わずトイレに行く。このステージが、いわゆる「鈴木の尿意のスタンダード」と言えよう。

    ただ、尿意を認知してからも、タンクの容量にはまだまだ余裕があるので、少し意識すれば軽く耐えられるレベルだった。

    1時間54分 「常に『行けたら行くのに』と思う」

    スタンダードからさらに一時間、ここにきて、状況は一変。常に尿意が頭の片隅から離れないようになる。バラエティ番組のワイプをイメージしていただければわかりやすいだろう。あんな感じで、下腹部にずっと違和感が残っているのだ。

    下腹部の指令室からは「ねぇなんで?なんで行かないんすか?」とひっきりなしにLINEが飛んできているのが分かる。悲鳴を上げ始めた現場に少し心が痛むが、無慈悲に既読スルーする。

    これまで、一時間程度の長いスパンでステージが変化してきたが、以降戦局はめまぐるしく変化していく。

    2時間9分 「怪我をした時に似ている」

    筋をひねったり、指に切り傷があったり、体のどこかに外傷による痛みがあると、何をするにも患部が気にかかってのびのび生活できない。

    あの感覚に非常に似ている。

    少し腕を動かすだけでも、常に下半身を気にしてしまう自分がいる。恋愛ドラマで言うとだいたい6話目くらい、頑なだったヒロインが、ついに犬猿の仲だと思っていた幼馴染への恋心を認めてしまう盛り上がりがこのあたりだろう。

    2時間30分 「ともに生きよう」

    ここにきて、ついに下半身が折れた。なんと尿意を感じなくなったのである

    「わーったよ、行かねぇんだな?ならとことん付き合ってやるよ!!!」

    と腹をくくったのだろうか。一時の安定期が訪れる。

    2時間39分 「下腹部に痛み、体の内側に熱」

    前ステージの安定期は、嵐の前の凪に過ぎなかった。下半身の耐久値はすでにオーバーヒートを迎えつつあったようだ。下腹部に筋肉痛のようなピリピリとした痛みが走り、体は内側から熱を放っているのを感じ始める。

    2時間46分 「座るときめっちゃ背筋がピンとなる」

    このころになると、もはや普段の体制では正気を保てなくなる。気を緩めると漏洩しそうになるので、常に下半身に一定の力を入れ続けるため、背筋がピンとなり、体の重心がやや前傾になる。

    その姿はさながら、遠方にライオンを発見したキリン。緊張と冷や汗で体がプルプル震えているのだ。

    3時17分 「時は減速する」

    時の流れがスローになる。体はキーボードを打ちながら、脳裏には常にトイレのドアを開けるビデオクリップが流れ続けている。

    誰かがトイレに向かう音を聞いただけで、お腹をキュッと握られたような痛みが走る。脳内BGMは中島みゆきの「ファイト!」である。

    3時間30分 「救世主・差し込み相談」

    それまでカタカタとデスクに向かって必死で耐えていたが、そろそろ限界かしら!と思っていた時、同僚から差し込みの相談が入る。下半身はすでにおジャ魔女カーニバルになっているはずなのに、外部からの刺激を受けると一時的に尿意を忘れるから、人体とは実に不思議なもんである。

    ただ、席を立つと、背中にものすごい汗をかいているのが分かった。この時のひやりとした感覚で、再びマグマが沸騰する。

    3時間40分 「向かい水を飲む」

    何をやっても頭から「ダムの放水のイメージ」が消えないステージに突入。限界は近い。

    ところが、ここにきて心はナチュラルハイを迎え、よせばいいのに「向かい水じゃこら」とがぶがぶ水を飲み始める自分がいた。

    「限界なんだろ?じゃあもうどんだけ水を入れたって同じことだよなぁぁ!!!!ゲハハハハハ!!!!!!」

    狂薬の力で命を削り超人的な力を得て、暴虐の限りを尽くしたマッドサイエンティストが、盾とかで戦うヒーローに追い詰められ、仮に逃げ切れたとしても副作用で死が確定しているという状況に陥ったらきっとこんな気持ちになるのだろう。

    3時間54分 「さよならの向こう側」

    「そうだ、トイレに行こう」と思った。

    座るとやばい、立てばやばい、歩きだしたらもっとやばい。

    3時間57分

    そして世界は光につつまれた。

    体の奥底から絶えず湧き上がる全身の弛緩の心地よさじは、「そうだ、私はおしっこを限界まで我慢してリリースするために生まれてきたんだ」と思い出させてくれた。

    結論

    鈴木は、尿意を感じてから限界を迎えるまで、3時間57分耐えられる。

    こうして、世界にまた一つ新たなトリビアが生まれた。一つ己を知り、一つ強くなり、一つ優しくなった。よい子は真似してはいけない。

    (ふ凡社保健部)

  • バンジーで「アサシン飛び」をする

    バンジーで「アサシン飛び」をする

    ふ凡社鈴木です。

    バンジージャンプをすることになった。

    GWのど真ん中、元号も変わって、なんだか景気の良い空気が流れる中、いきなり命の危険のあるアクティビティに身を投じようというのだ。

    せっかくの初バンジー。普通にやるだけではもったいない気がするので、私はアサシン(暗殺者)飛びで臨むことにした。何を言ってるかよくわからないと思うので、レポートをお届けする。

    鈴木のイメージする「初バンジーのテンプレート」

    私はバンジーをやったことがない。ただテレビなどで何となく

    「初めてバンジーをやる人像」

    というのは知っている。

    内股をカタカタさせながら猫背で高台に立ち、足元をチラッと覗き見て

    「うわたっか!無理無理無理無理絶対無理!!!」

    とわめき散らし、

    「スリー!ツー!ワ・・・いや待って!待って!!待って!!!やっぱ無理やわ!!!」

    と、悪あがきを幾度か繰り返し、見かねたインストラクターの後押しで半ば無理やり谷底へ突き落とされ、

    「ひ゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

    と叫びながら落ちていき、

    「ウォォォォォォォォォォ」

    と唸りながら二三度バウンドする間に落ち着きを取り戻し、最後はケタケタと笑いながらワイヤーで巻き上げられる。

    地上に戻ったら

    「いやぁ、死ぬかと思ったけど、飛んでみたらめっちゃ楽しかったですね」

    とヘラヘラ笑いながら、カメラに向かってピースなどする。

    さしずめこんな感じではないか。

    俺の初バンジーは一味違う

    初めてバンジーをする人の多くは、先述のテンプレートにのっとった模範的な初バンジーをするのだろう。

    しかし、私は思った。

    「どうせやるなら一味違うコンセプトでやりたい」

    バンジーは、やる本人にとっては大ごとで、これまでにない大胆な決断であり、プレシャスな体験だ。一方で、バンジー自体はメジャーだし、私がやらなくったって「初めてバンジーやってきました!」と発信している人たちは星の数ほどいるはずだ。

    つまり、ただ飛ぶだけでは、いまひとつインパクトに欠ける。

    どんな初バンジーをプロデュースしたいか考えた時、思い至ったのが「アサシン飛び」である。

    「アサシン飛び」のテンプレート

    アクション映画なんかで、こんなシーンを見たことがないだろうか。

    カリスマのアサシンが、ビルの上でなにやらいそいそと準備を整えている。傍らには、ひょんなことから彼と行動を共にすることになった、冴えない一般男性が。

    「一体何をやろうとしてるんだ!ちゃんと説明しろ!」

    とわめきたてる男を気にもとめず、アサシンはクラッシックを口ずさみながらいそいそと装備を装着し、ビルの淵に立つ。

    「おいおい待て!待て!!待て!!!、アンタまさか・・・」

    と息を呑む男に、アサシンはくるりと振り返って一言。

    「あとは任せたよ」

    とにっこり微笑んで、スローモーションで後ろ向きで落ちていく。

    「おいおいマジかよ!!!!クソっ!!!とんだイカれ野郎だ!!!!」

    これがアサシン飛びである。これをやる。

    群馬より愛をこめて

    令和元年五月の始め、木曜の朝。私は、スーツ姿で群馬の上毛高原に立った。

    群馬に降り立つカリスマアサシン。余裕を見せるため、いつも腕を広げながら生活している

    駅からバスで約30分、トコトコ揺られて、猿ヶ京バンジーに到着。

    事前の情報で、62メートルの高さの橋の上から渓谷に向かって飛び降りるということだけ聞いていた。ただ、62メートルがいかほどのものかわからないし、ましてその高さから飛び降りたことなんてないので、どんな感じなのか全く想像がつかない。

    現地について、下見で橋の上に立ってみた。

    川を行くカヌーの、シルバニアファミリーもびっくりの小ささ

    高い高い高い。高いわ。スカイツリーか君は。

    少し下を覗いただけで、下半身がひゅんとする。しかし、景観は美麗そのもの。水は深いエメラルドグリーン、空は透き通る青、木々はいい感じの緑。空気もおいしい。素晴らしい。絶好の暗殺日和である。

    早速受付を済ませる。バンジーの値段は1ジャンプ1万1000円。高い高い高い。高いわ。フォアグラか君は。

    しかし、今の私は凄腕のアサシン。1つのミッションを達成するたびに多分3億円くらいもらっているので、ポケットティッシュを買う感覚で諭吉と英世を差し出す。

    はかなげな謎マネキンに一抹の不安を感じる

    その後、要約すると「僕は何かあっても文句は言いましぇん!!!!」という旨の誓約書にサインし、スタッフの指示に従って装備を取り付けていく。この時からすでに私の心は暗殺者。頭の中ではムソルグスキーの「展覧会の絵」が流れている。

    掌に、器具を装着した後の体重を書かれる。今までアサシンが葬ってきた人数っぽくてよい。

    アサシン飛びをするにあたって、細かな設定もちゃんと考えてきた。

    本日のターゲットは、さるイタリアンマフィアの幹部・トンマーゾ。愛人のステファニーとともにバカンスで群馬を訪れ、猿ヶ京で釣りを楽しんだ後、登利平の鶏飯を食べに行こうという計画を立てている。

    しかし残念ながら、彼の口に鶏飯が入ることはない。

    この時、頭の中ではトンマーゾの人生をなぞっている。ターゲットの人物像をしっかり知った上で仕事にかかるのが、カリスマの流儀なのだ。

    もろもろのセットを完了し、いよいよジャンプ台に立つ。

    「1、2、3ですぐ飛んでもらいます。溜めてやると、飛べなくなっちゃうから」

    とスタッフ。

    なるほど、確かに1回1回個人の裁量に任せていては、回転率が下がってしまうのかもしれない。私の前にも体験者が何人かいて、スタッフは飛び降りる人たちの背中を少し押しだすようにアシストしていた。

    ちなみに、スタッフは外国人が多く、全体的にテンションが高い。小粋なジョークを挟みながら、ノリノリで参加者を谷に突き落としていく。場を盛り上げるのも、皆の気を大きくしてバンバン飛ばせるために必要な演出なのだろう。

    スタッフは、私が観光に来た冴えないサラリーマンだと思い込んでいる(多分)。日常に溶け込むのもアサシンの妙技なのだ

    私の場合はサポートは不要。なぜなら私は死のキューピッド。スタッフのアシストなどなくとも、難なく飛べるはずだ。

    死のキューピッド「後ろ向きに飛んでもいいですか?」

    スタッフ「大丈夫ですけど、結構怖いんで、初めてなら前から飛ぶのをおススメします」

    HAHAHA、私を誰だと思っている。豊後の死神と恐れられた男ぞ。

    頭が高い頭が高い。頭が高いわ。悪代官か君は。

    アサシンなので、靴はもちろん革靴

    渓谷に背を向け足場に立ち、準備は整った。

    さぁトンマーゾ、個人的な恨みはないが、お前は数多くの善良な市民を悲しみの淵に突き落としてきた罪深き男。せめて清らかな翠玉の水に抱かれて散れ。

    呼吸を整え、風の音に耳を澄ます。イメトレは完璧。オプションの写真撮影も申し込んだから、きっと初バンジーとは思えない余裕しゃくしゃくの絵が撮れることだろう。勝った。勝ったわこれ。

    これより猿ヶ京は、戦慄の谷へと変わる

    スタッフ「3、2、1 ハイっ!」

    その言葉とともに、体がゆっくり傾いていく。その時、事件は起こった。

    スタッフ「あっ、ちょっと待って(ボソッ)」

    死のキューピッド「ファッ!?!?!?」

    まさか、まだセッティング完了してなかったのか!?

    えっ、もう両手離れちゃってるじゃん!どうすんのこれ!!!

    あっ、死…

    その間わずか1秒、リアルに景色がスローモーションで見えた。だから、スタッフの口元もはっきり見えた。

    「コイツ!!!!ニヤニヤ笑ってやがる!!!!」

    騙しやがったなちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!

    いともたやすく行われるえげつないジョーク

    そこから先は、覚えていない。気づけば私は、ケタケタ笑いながらキリキリと巻き取られていた。なんか景色がきれいだったと思う。

    生前硬直したまま巻き上げられるアサシンの図

    これが、私のヴァージンバンジーの顛末である。最初の一瞬で感じたのは、確かに「死」だった。心臓に悪い(物理)ジョーク。フォーリナーのノリはトゥークレイジーである。

    なにはともあれ、初めてにして稀有な体験ができて、とても満足した。

    「髪をポマードでオールバックにして、黒い蝶ネクタイを締めたほうがよりアサシンぽかったかな」と、次のアサシン飛びに向けた改善点も見つかった。

    命拾いしたな、トンマーゾ。

    (ふ凡社暗殺部)

  • ピンチを乗り切るライティング講座 「完全アウェーな取材でもそれなりの記事を書く方法」-カリスマ腐女子の誕生会編-

    ピンチを乗り切るライティング講座 「完全アウェーな取材でもそれなりの記事を書く方法」-カリスマ腐女子の誕生会編-

    ふ凡社代表取締役USJ(Ume Sour Junkie)の鈴木です。

    Web編集者をやっていると、イベントの取材記事を書くことが多々ある。

    中でも、自分がまったく知らない領域のイベントに放り込まれて、「レポートを書いてきてくんなまし」と言われる理不尽な依頼も結構ある。

    そんな無茶ぶりを、愛と勇気を以てのらりくらりと潜り抜ける中で、

     

    「どんなにアウェーなイベントに放り込まれても、それなりの記事を書く処世術」

     

    が何となく身についた。今回は、ふ凡社初のライティング講座として、3月24日に開催された腐女子の友人・みきちんぽぽ氏主宰のイベント「みきぽ生誕祭」を例に、完全アウェーなイベント取材から1本のレポート記事を生成するまでをお伝えしたい。

     

    自らの誕生会を盛大にプロデュースする”強い腐女子”

    我らがみきちんぽぽ氏。

    ペンネームからしてすでに卑猥なみきちんぽぽ氏(以下、みきぽ氏)は、Twitterで3000人以上のフォロワーを擁する“カリスマ腐女子”だ。

    「みきぽ生誕祭」は、2019年3月に彼女がめでたく三十路に突入したことを祝して、ネット上で彼女と親交がある腐女子・腐男子に声をかけ、自らのバースデーパーリィを盛大にプロデュースするというパワフルな企画。

     

    彼女とは、とあるイベントで知り合ったが、私は腐っていない。彼女がその界隈で権勢をふるい、そのアクティブさから畏敬の念を込めて“強い腐女子”と呼ばれているとは噂で聞いていたが、私自身は腐の世界をまるで知らぬ。

     

    今回の企画のために「完全アウェーになれそうなイベント」を探していた私にとって、みきぽ氏の生誕祭は、まさにうってつけだった。開催告知を知るや彼女に連絡し、晴れて取材させてもらえることになったわけだ。

     

    意気揚々と取材依頼を出したが・・・

     

     

    取材の前に、腐女子・腐男子について、私自身が持っている情報を整理してみる。

     

    ・腐女子・腐男子とは、BL(ボーイズラブ)を中心としたコンテンツに情熱を捧げる紳士淑女らのことである

    ・攻め(攻撃をする人)、受け(攻撃をされる人)、推し(特別好意を寄せている作品やキャラクターや人物)という概念がある

     

    以上だ。この知識すら果たして正しいのかどうか怪しい状態でイベントに突入するのは、YesとHelloとThank youしか言えないのに米国議会を傍聴しに行くようなもんである。

     

    来るイベント当日、私はスーツ姿で会場入りした。この日のために、「報道」の腕章も用意した。以前テレビで、

    「紛争地のレポーターは、“PRESS(報道)”の目印をつけることで、自らが丸腰であることを示し、身を守る」

    的なこと言っていたのを思い出したからだ。

     

    何かに怯えた表情の鈴木

    今回、初の文化圏に飛び込んで取材を行うのだ。みきぽ氏は「みんな優しいから大丈夫」と言っていたものの、腐男子でもない私が立場を曖昧にしたまま参加しては失礼があるかもしれない。意気揚々と参加表明をしておいてなんだが、私はとてもビビっていた。

     

    開会前に、レポートの構成を組み立てる

    開場前、一足先に受付を済ませ、どんな記事にするか大まかな構成を考える。私がよく使うイベント記事のテンプレートは、以下の通りである。

     

    ・イベントの概要説明

    ・開会挨拶

    ・メインイベントのコンテンツ紹介

    ・閉会挨拶

    ・主催者もしくは参加者の感想

    ・まとめ

     

    この骨格を念頭に、まずは開場に掲示されたイベントの進行表をチェックする。

    「シャンパンコール」、「椅子取りゲーム」、「ビンゴ大会」と面白そうな企画が目白押しなので、メインコンテンツ部分のボリュームは心配なさそうだ。

     

    実は、もうこの時点で記事の完成は約束されている。

    イベントレポートは、記事の性質上そこまで文量が多くないので、内容の詳細を把握できなくても、キーワードや事実を的確に拾えさえすれば、素材がそろうからだ。

    あとは集めた情報を取捨選択し、テンプレートに沿って間をよしなにつなげば、半自動的に記事が生成されるのだ。

     

    開場までにカメラの調整をしたり、抑えておきたい写真のカットを決めたり、ボイスレコーダーの設定などして装備を整える。あとは、万が一何かの手違いで包囲された場合に備えて、突破経路を確認・シミュレーションすれば準備万端。

     

    さぁ!どんとこい腐女子・腐男子の宴!何一つ理解できなくても、しっかりレポートしちゃうぞ!

    次のページからは「みきぽ生誕祭-素材収集編-」をお届けする。

  • ―ふ凡大陸Vol.4― 「レンタルできるフリー素材のおっさん」真崎真幸

    ―ふ凡大陸Vol.4― 「レンタルできるフリー素材のおっさん」真崎真幸

    ふ凡社代表取締役UFJ
    (Ultra Fujiyama JUMANJI)
    の鈴木です。

    突然だが、あるフリー素材サイトから取ってきた、こちらの画像をご覧いただきたい。

    この素材のタイトルが分かるだろうか。

    「プレゼントをもらう」?
    「プレゼントに喜ぶ男性」?
    「照れる男性」?

    一般的なフリー素材サイトなら、こんなタイトルがついているところだろう。残念ながら、どれもぶっぶーだぶっぶー。正解は

    「プレゼントをもらって嬉しいリアクションがへたなやつ」

    でした。細かいわ。設定が細かいわ。使うタイミング限られとるわ。

    最近こんな感じで、元来脇役だったはずのフリー素材にユニークな付加価値をつけて他社との差異化を図るサイトが増えている、が!

    今回はフリー素材サービス各社の生き残り戦略について熱く語る記事ではない。↑の「プレゼントをもらって嬉しいリアクションがへたなやつ」氏の人物像に迫る、まさかのインタビュー企画だ。

    日常のそこかしこに潜むふ凡人たちにその生きざまを聞くシリーズ「ふ凡大陸」。今回は広島を拠点に、フリー素材をやったり、おっさんレンタルをやったり、ブログを書いたり、漫画の方言指導をしたりとにかく色んなことに手を出している真崎真幸氏に、謎の経歴を聞いた。

    3回も落とされてフリー素材デビュー

    ※今回ふ凡大陸初の試みとして遠隔取材を決行したため、真崎氏の生写真がない。せっかくなので、真崎氏のフリー素材を使いまくりたいと思う

    鈴「真崎さんはブログやtwitterを見る限り、ネット上で本当に色んなことにチャレンジしてますよね。始めたきっかけはなんだったんですか?」

    真「始まりはおっさんレンタルからですね。もともと広島で社会人サークルの代表みたいなのをやってたんですが、同時に何か一人でも活動できることをやりたいなと思ってたんです。

    そんな時、ドラマ『ゆとりですがなにか』に、おっさんレンタルの代表がモデルになった登場人物が出てきて、気になったから調べてみたら、代表が書いた本を見つけたんですね。読んでみたら面白くて、感想を代表にメールで送ってみました。そしたら『一緒にやりませんか』って話になって。」

    ※おっさんレンタル・・・「イケてると勘違いしているおっさんを1時間1000円からレンタルできるサービス」。全国津々浦々、様々な経歴を持つおっさんの中から気になるおっさんを選んでレンタルし、やってもらいたいことを依頼できる。

    鈴「いきなり代表に直で連絡したんですか!」

    真「はい笑」

    鈴「いやぁ、しょっぱなからアクティブですねぇ。真崎さんのもとにはどんなレンタル依頼があったんですか?」

    真「瀬戸内近辺でレンタルできる人が少なかったからか、『観光案内してください』っていう依頼があったり、オーソドックスに『恋愛相談に乗ってください』とか。中でも『映画の応援上映に一緒に参加してください』ってのは面白かったですね」

    鈴「応援上映?不思議な依頼ですね」

    真「えぇ。なんか、『劇場を少しでも埋めたい』っていう願望があるって言ってましたね笑。ほかには、『悩み聞いてほしいから、新幹線代出すんで福岡に来てください』って言われて行ってみたら、逆に僕が案内してもらうことになったりとか」

    鈴「何それ超楽しそう!」

    真「楽しかったですね笑。ほかにも、漫画家さんから『作品のための方言指導してください』ってのもありましたね」

    鈴「そんな依頼まで!ちなみに、なんていう作品ですか?」

    真「『広島妹 おどりゃー! もみじちゃん!!』っていう4コマ漫画です。角川コミックスさんから単行本化もされてますよ。巻末に僕もちょっぴり登場します」

    鈴「何それすごい!いやぁ、噂には聞いてましたが、おっさんレンタルの依頼って本当に多岐に渡るんですね。その後は、どんなことを?」

    「微妙なアへ顔」な真崎氏

    真「おっさんレンタルの活動は1年で契約満期終了しました。おっさんレンタルをやるにあたって、レンタルする人も私の人となりが分かったほうがいいだろう、と思ってブログやTwitterを始めたんですが、契約が終わるころには、そっちも楽しくなっていました。

    で、せっかくネット上に顔出しもしたことだし、顔を出してる人にしかできないことをやろうと思ったんです。」

    鈴「あ、まさか」

    真「そうです笑。フリー素材の『ぱくたそ』さんがモデルを募集してたんで、応募してみたんです」

    鈴「そういう流れだったんですね!採用されるまではどれくらいかかったんですか?」

    真「実は私、3回落とされてるんです。最初の2回はメールを送っても返信が来なくて、3通目でようやく代表から選考の連絡が来て」

    鈴「3回も!一筋縄ではいかなかったんですね※」

    ※ぱくたそさんの採用率はなんと1%ほどだそう。超・超・超狭き門なのだ!

    真「3回目も、結局最終選考で落とされて。代表から『真崎さんの情熱は伝わったから、次機会があればお願いします』って言われて、お祈りされたな~って思いました。そしたら、半年後くらいに代表からまた連絡が来て」

    鈴「なんと!」

    真「ぱくたそさんがある企業とコラボすることになって、代表が先方に僕のことを話してくれたみたいなんです。そしたら、先方から僕を使いたいって希望があったらしくて。晴れてフリー素材デビューすることになりました。」

    鈴「そんなドラマみたいな展開あります!?しかし真崎さん、ホントに行動力の化身ですね…」

    「挫けず何でも頑張るマン」の真崎氏

    真「周りの人からも言われるんですよ。『ふつう3回も応募しないだろ』って苦笑。でも、しつこく思われるのなんて一瞬ですし、僕strong>私みたいに地方にいる人間は、うるさいくらいにアピールするのがちょうどいいだろう、ってのが持論なんで」

    鈴「素敵な姿勢ですね」

    真「ありがとうございます。そんな気持ちで動いてみることが、結果として色んな縁につながっているというのはありますね」

    真崎氏の野望

    「無言で悔しさを滲ませるメガネ君」の真崎氏

    破竹の勢いで自分の世界を広げまくる真崎氏。面白いネタだらけの過去を聞いたところで、話は彼の未来についてに移る。

    鈴「真崎さんは、これからやってみたいことってありますか?」

    真「動画コンテンツに出てみたいですね。自分で言うのもなんですが、僕は一度対面で会ったら好きになってもらう自信があるので笑」

    鈴「確かに、真崎さんは動画との親和性高そうですね!実際、動画進出に向けて具体的な話が進んでたりするんですか?」

    真「実は、ぱくたそさんがきっかけで、動画コンテンツに出てみないかっていう話もいくつかきたんです」

    鈴「なんと!では、近い将来実現しそうですね」

    真「だといいですね笑。色んな場所に顔を出して、地元とかで少しずつ信頼を作っていって、ローカル番組のレポーターとかいいなぁと」

    鈴「真崎さんは、次やりたいことの具体的なイメージが明確だからこそ色んな事にぶいぶい挑戦できるんですね」

    真「そうですね。マグロじゃないですけど、常に何かしら動いていたい、みたいな笑。こんな感じですから、何がしたいのか良くわからない、っていう声を頂いたりすることもあるんですけど、一度きりの人生ですからね!」

    鈴「その思い切り、素敵です!近い将来の話からさらに進んで、『人生で到達したい目標』みたいなものはあるんでしょうか?」

    真「そうですねぇ、これは憧れなんですが、雇われじゃない生き方をしてみたいってのはありますね。ただ、脱サラに向かって努力をするというよりは、色んなことをやっている内に縁が繋がって、結果としてそうなったって感じがいいなと思います」

    鈴「ドラマチックな来し方を話してくださってありがとうございます。最後に、一言メッセージをもらえますか?」

    真「私は、誰かにとっての“きっかけ”になりたいんです。『真崎に会ったから、○○するようになりました』みたいな。だから、あった人からそんな報告を受ける時が凄くうれしいですね。これからも、こんな気持ちでやっていこうと思います」

    「ゲラゲラ笑うエンジニア」な真崎氏

    うーん、面白い。なんてファンタスティックに面白い人なんだ。真崎氏がこれから先、楽しく快活に人生を開拓していく姿が目に浮かぶようだ。全国津々浦々に、真崎氏のような面白き“ふ凡人”がまだまだたくさんいると思うとロマンティックが止まらない。

    ちなみに、真崎氏は、レンタルおっさんの活動の後、個人で「レンタル広島さん」というサービスをやっている。つまり、今でも真崎氏をレンタルすることができちゃうのだ。

    広島近辺に行った際は、ぜひ真崎氏をレンタルしてみてほしい。元気をチャージしてもらえること請け合いだ。

    (ふ凡社編集部)

  • ―ふ凡大陸Vol.3―「とにかく死にたいエッセー漫画家」男女交際めちゃハメ写メール清廉性

    ―ふ凡大陸Vol.3―「とにかく死にたいエッセー漫画家」男女交際めちゃハメ写メール清廉性

    ある日、カニカマボコを食べながら思った。

     

    「最近TwitterやSNSでエッセー漫画を発信している人たちがたくさんいるけど、彼らは一体どんな考えで作品を作っているのだろうか」

     

     

     

    男女交際めちゃハメ写メール清廉性氏をご存じだろうか。日常で何気なく感じた一コマを切り取って、ヘタウマな絵でエッセー漫画化してTwitterで発信している人だ。

    イカれた名前からしてお察しの通り、彼女は作品にエロネタもふんだんに盛り込んで来る大人なアーティスト。さるイベントで知り合ってから、頭の中どうなっているのか話を聞いてみたいと思っていた。

     

    日常のそこかしこに潜む“ふ凡人”にその生き様を聞く、シリーズ「ふ凡大陸」。第三弾は、男女交際めちゃハメ写メール清廉性氏だ。

     

    ヘタウマな絵に隠れた芸術性

     

    最初に断わっておくと、彼女のペンネームはオイヌマハルカで、「男女交際めちゃハメ写メール清廉性」はTwitterアカウント名だ。

    彼女からは「記事にするときはオイヌマハルカを使ってください」と言われたが、男女交際めちゃハメ写メール清廉性のほうがインパクトがあるので、無視してめちゃハメ名義でお送りする。

     

    めちゃハメ氏は、日常生活の中で感じた色んなことをヘタウマな絵で4コマ漫画やイラストにして発信している。一見雑に描かれているようで、ところどころ絶妙に写実的な描写があって読みやすく、中でもエロネタが良い。アホらしさ全開のライトなエロを大胆軽快に描いており、笑えるのだ。

     

     

    「袋とじ」を巡る父と娘の愛のストーリー(適当)

     

     

    1月某日、鈴木とめちゃハメ氏は都内の猫カフェにいた。彼女の創作の様子も見せてもらいたいので、「対面でなく並んで座れる場所のがよかろう」、ということで猫カフェになったのだ。

     

    鈴「本日はよろしくお願いします」

     

    め「えへへ」

     

    鈴「早速ですがめちゃハメさんは・・・」

     

    め「あ、まずこれを見てほしいんです」

     

    鈴「え、あ、いきなり?」

     

    め「はい。私、こんなのもやってますよ、ってのを知ってほしくて」

     

    めちゃハメ氏、おもむろにiPadを手渡し、動画の再生を促す↓

     

     

     

    鈴「…………」

     

    め「どうでしょう?」

     

    鈴「……めちゃすごいじゃないですか!!!!!!!!!!!!」

     

    なんだこのアーティスティックな才能。この人超絵上手いじゃないか。いや、むしろあのヘタウマなエッセー漫画はいったい何なんなんだ。

     

    め「えへへ。これはモーションペイントというやつで、前友達と組んでやったんです」

     

    聞けばめちゃハメ氏、もともと美大の油絵科卒という。そりゃ上手いわけだ。ところが、大学卒業後はアート系の仕事に就くでもなく、なぜかフリーターとして働きながらエッセー漫画を描いているそうだ。

    めちゃハメ氏が手掛けてきた作品。テイストも手法もバラエティに富む。そして、やはりエロが良い。

     

    鈴「↑の動画みたいな制作活動って続けてるんですか?」

     

    め「いんにゃ、最近はやってなくて。今はエッセー漫画中心ですね」

     

    鈴「なんてったってそっち系の道に進まず、エッセー漫画を描いているんです?」

     

    め「私は就職とか向いてなかったんですね。図書館でみんなが就活本とか開いている中、私はいいやって思って笑」

     

    鈴「そっか、めちゃハメさんは社会に適合できなかったんですね!(喜)」

     

    め「そうなんです笑 実は精神疾患持ちでして、同じルーティンとか続けるのが苦手なんです」

     

    鈴「えっ、そうだったんですか。なんだか生粋の芸術家気質って感じですね」

     

    めちゃハメ氏は、芸術活動を続ける傍ら、ノートの余白とかにエッセー漫画を描いていたという。そこからだんだん、自分は油絵よりも「日常にあった出来事をイラストと自分のメッセージとともに伝えるのが得意」ということに気が付いたそうだ。

     

    忘れていた。我々は猫カフェに来ていたのだ。

     

    創作の原動力はどこに?

     

     

    鈴「めちゃハメさんの創作の原動力は何ですか?」

     

    め「しいて言えば承認欲求ですよね。どうやったらこの孤独が伝わるだろうか、みたいな」

     

    鈴「痛みに近い感じでしょうか?」

     

    め「そうかもしれませんね。ただ、なるべくコミカルに描きたいんです。面白いほうがいいじゃないですか。あとは、ネガティブな気持ちから生まれた作品であっても、コミカルに描いて誰かが面白いと思ってもらえるなら、それも一つの“伝わった”ってことだと思うんです」

     

    鈴「面白いですね。じゃあ例えば、自分がすごい暗い感情で描いた作品に、『ウケるー』みたいな反応がきたら?」

     

    め「全然うれしいです。それも、どっかの気持ちのエッジを切り取れたんだな、ってことですから。何も伝わらないよりは、知ってもらったほうが嬉しいですね」

     

    作品を描く作業も見せてくれた。(いつの間にか作品を入れたフォルダが猫の座布団になっていた)

     

    鈴「エッセー漫画を描くときの信条的なものとかありますか?」

     

    め「あ、これはなんか過去に書いたメモがあるぞ(ごそごそ)。あ、ありました。『エッセー漫画は自分の嘘を自分で見抜く過程が面白い』って書いてますね」

     

    鈴「名言だ!」

     

    め「あとあれですね、『実際世の中何も起こらないことのほうが圧倒的に多い。何も起こらないところからオチを見つけていくのがエッセー漫画』」

     

    鈴「それも素敵な視点ですね。創作する人たちってみんなそうだと思うんですけど、日常ってそんなに面白くないんですよね。日常が平凡だから、創作で面白いことを作るというか」

     

    め「うんうん笑」

     

    あんなエロネタ交じりの脳みそお花畑的なエッセー漫画の中に、こんな哲学が含まれていたとは。めちゃハメ氏の底知れなさたるや。ここから、話はめちゃハメ氏の今後の展望の話にシフトしていく。

     

     

    夢は「死ぬこと」

     

    いつの間にか鈴木のPCケースも座布団にされていた

     

    鈴「めちゃハメさんは、自分のエッセー漫画を形に残したいたいとか、今後の展望といいますか、人生の着地点ってありますか」

     

    め「実はあんまりないんですよね。もちろん私のエッセーがなんかのタイミングで出版とかされたらいいなとかは思いますけど」

     

    鈴「それは強い願望というか、夢を追いかける的な話とはちょっと違う感じですか?」

     

    め「そうですね。というのも、私、希死念慮が強いんです」

     

    鈴「きしねんりょ?」

     

    め「とにかく死にたい願望ですね。私、死ぬことが夢なんです」

     

    鈴「なにそれ!とってもゆにーく!!!!!!」

     

    め「えぇ。常にそんな気持ちがあるから、ちゃんとした仕事に就きたいとか、結婚願望とかもあまりないんです。だから、エッセーも頑張って漫画家になるぞー!的な強いエネルギーではなく、唯一生きるよりどころとして挙げるなら漫画家になりたい、くらいのイメージです」

    死にたい願望も、どこかコミカル

     

    鈴「面白れぇ!!死ぬのが夢ってことは、もう夢の実現が約束されてる訳じゃないですか。やりましたねめちゃハメさん!!!!」

     

    め「あ、よかったそんなポジティブな反応で笑」

     

    鈴「あ、いやでもまてよ」

     

    め「はい」

     

    鈴「死ぬのが夢なら、なぜ今死のうと思わないんですか?(素朴)」

     

    め「別の人にも同じこと聞かれました笑。私としては、平凡な毎日を生きるだけでこんなに大変なんだから、死ぬなんてもっと大変なんですよ」

     

    鈴「なるほど!めちゃハメさんの死にたい願望って、例えば普通の人が『〇〇になりたい』って夢を叶えるのが大変なのと同じくらい、大変なことなんですね」

     

    め「まさにそれです」

     

    鈴「いや、でもやっぱいいなぁ。いつか必ずかなう夢。ちょっと羨ましい!」

     

    め「そんなポジティブなとらえ方をする人もいませんでした笑。でも、普通の人ならネガティブに捉えがちな希死念慮をそんな感じで面白いって思ってくれる人がいるのも、私にとっては幸せなんです」

     

     

    ・・・めちゃハメ氏の生き様、脳内、まさにふ凡。素晴らしすぎる。

     

    本当はしっかりした絵も描けるのに、あえてヘタウマな絵を描き、内向的なのに性にまつわるネタを発信し、夢は死ぬこと。

     

    室町時代あたり、もともと超ハイスペックな僧侶だったのに還俗して山に籠って女と遊びまくり、片手間にすごい水墨画とか描いて後世に残し、N〇Kの”最近再評価されてる偉人特集”的な番組で紹介されそうな人物設定ではないか。

    後世の歴史特番で紹介されるの予定の絵

     

     

    取材依頼を出しといてなんだが、まさかここまで真面目に哲学的&神秘的な世界が展開されるとはつゆ期待してなかった。

     

    その後も我々は猫喫茶に居座り、めちゃハメ氏がタブレットでエッセーの下書きを描く様を観察したり、オヤツをせびりに営業にやってくる猫に対応したり、めちゃハメ氏が1本2万の鍼灸を受けて今までの鬱が一時的に吹っ飛んだ話を聞いてゲラゲラ笑ったり、どろりとした素敵な時間を過ごした。

     

    いつか必ず夢が叶うという約束されたレールに乗っためちゃハメ氏。彼女がこれからどんな人生を歩み、どんなエッセー漫画を生み出していくのか。気になるので、もうしばらくは生きていていただきたいと切に願う。

     

    ↑後日描いてくれた取材当日の様子。本当にこんな感じだった。

     

    ふ凡社編集部 鈴木

  • 脚本家が楽しい時 「ベタな縛り」を設定された時

    脚本家が楽しい時 「ベタな縛り」を設定された時

    ふ凡社代表鈴木です。

    新たに書く脚本のお話。

    鈴木は、「プリズム」という名の若手役者が集まる団体に所属している。それぞれ個人の活動を尊重しつつ、その時々で集まれる人同士で舞台をやったり、即興劇の公演をやったりと、一つの活動の拠点になるような団体だ。

    昨年末、主催の平野竜也という男から、19年秋に行われる、ある演劇祭のための脚本を1本書いてほしい、という依頼があった。オッケーバブリーと2つ返事で引き受け、2月末の提出に向けて、1時間~1時間半ほどの作品を書くことになった。

    派手すぎない違和感から「破壊」していく戦法

    作品を作るにあたって、平野氏からいくつかストーリーの条件をもらった。

     

    ・設定は日常。SF的な展開は使わない

    ・物語の始まりはカフェから(店はチェーン店)

    ・主な登場人物は、店員と2組の常連客(顔なじみではない)

    ・店員と2組の客は、それぞれの悩みを抱えている(仕事、夢、恋愛関係など)

     

    カフェを起点に、それぞれの登場人物にスポットが当たって、物語が展開されていくという流れになりそうだ。

    まず一発景気よくツッコミを入れさせていただきたい。

    条件、ド定番過ぎじゃん?

    あらゆるジャンルの創作物で使い古しに古されたストーリーのフレーム。この条件に沿って普通に物語を作っていけば、超ありがちな展開の面白みに欠ける人情劇が出来上がってしまうだろう。

    しかし、脚本家としてはこれがかえってうれしい。ありがちな縛りがあるからこそ、いかにして観客の意表を突き、オリジナリティを出すか考える楽しみが生まれるからだ。

     

    さて、脚本を書くにあたって、何から始めるか。作品の根っことなるテーマ設定から?登場人物の構成から?色んなルートがあると思うが、私の場合は頭の中にぱっと思い浮かんだシーン・セリフを皮切りにすることが多い。やってみたい場面から逆算して、そこに着地するために周りの物語を埋めていく、というイメージだろうか。テーマや伝えたいことは、書いてる内に後から定まっていくのだ。

    今回の場合、「ありがちな状況を破壊する」という視点から出発して、まずは「チェーンの飲食店」という舞台に注目した。チェーンの飲食店でまず起こりえないことって何だろう。強盗が入ってくるとか、わかりやすい破壊はあまり使いたくない。日常では普通に行われるけれど、この場面では決定的にふさわしくない、そんな奇妙な違和感を生みたいのだ。

     

    店員が注文を取ってる最中に、スマホで普通に通話し出す

     

    なんてどうだろう。常識的に考えて、まずあり得ない展開だ。戸惑う常連客をよそに、店員は通話を続け、そのまま店の外に飛び出してしまう。残された2組の常連客は、目の前で起こった珍事をきっかけに接点を持ち、流れに任せて互いの現状を伝え合う・・・

    うん、導入としてはいい感じではないか。あとは、ここを足掛かりに一つ一つ足場を繋ぐように物語を具体化していけばよい。これで行きましょそうしましょ!

    どんな作品になるのか、作者も全く読めない手探りの旅、ハクナマタタ!

    ふ凡社演劇部 鈴木

  • 会費1000円でどこまで満足できるか 超低予算「年末調整忘年会」レポ

    会費1000円でどこまで満足できるか 超低予算「年末調整忘年会」レポ

    12月23日に開催した、ちょっと変わった忘年会のお話。

     

    12月は忘年会シーズンで、お金がスカイフィッシュのようにパタパタと飛んでいく。

    特に、給料日前の24日から始まる最終週は、お財布の紐的に最も厳しい人が多いのではないか。私はそうだった。

     

    しかし、宴会の楽しさには魔の魅力がある。懐が寒くても、なるべく宴会はやりたい。フィーバーナイトは多ければ多いほど良いではないか。

     

    そこで、アイリスオーヤマは考えた。

     

    「低予算の年末調整忘年会を開こう」

     

    参加者から1000円ずつ徴収し、集まった予算の範囲内で料理から飲み物まで全てまかなう超低コスパ企画。愉快な友達を鈴木邸に招いて、わいわい楽しみながら「年末の収支を調整する」。そんな趣向だ。

     

     

    「地味ハロウィン」から集結した9人

     

    10月に行われた「地味ハロウィン」というイベントで知り合った友達にお誘いの連絡を投げた。

     

    知らない人の為にもちょっとイベントの説明をしておきたい。

     

    地味ハロウィンは、派手で華やかなハロウィンブームに対抗して、「地味な仮装オンリーで地味に楽しむ」というルールを設けたイベントだ。デイリーポータルZさんが主宰で、今年は874人が参加するという驚異の盛況っぷりだった。そこで出会った人たちは皆等しく変人で、イベント後もよしなに交流が続いている。

     

    呼びかけの結果、今回年末調整忘年会に参戦してくれたのは

     

    • 「サンタのかっこうのアルバイト」さん
    • 「Photoshop」さん
    • 「寒いところから来た人」さん
    • 「ドーバー海峡横断部(ウリナリの人気企画)」さん
    • 「ナンパテニスサークルの冬」さん
    • 「駅前に出没するどこか信用できない果物販売」さん
    • 「両親に「お休みなさい」をいいにきた6歳児」さん(佐々木かえでさん)
    • 「マラソン大会で途中で面倒くさくなって電車に乗った人」(ねおみのるさん)
    • 「皇居ランナー」さん

     

    の9人だ。知らない人が見たら何がなんだかさっぱりわからないかもしれないが、皆さん地味ハロウィンの時はこのコスプレタイトルで参加したのだ。どんな仮装だったか気になる人は、ツイッターなんかで大量に拡散されているから検索して探してみてほしい。ちなみに、鈴木は今年「お客さんが一口も飲まなかった麦茶」で参加した。

     

     

    さて、本題に戻る。16時くらいに鈴木邸近くのスーパーに集合して、まずは1000円札を集める。

     

    続々集結する野口英世たち

     

    予算は、鈴木も入れてちょうど1万円である。食事に7000円、飲み物おつまみにかけるお金を3000円として、それぞれチームに分かれてショッピングタイムの開始だ。

     

    「シャルドネマスカットとかどっすかね」 初っ端から高額商品を提案してくるサンタのアルバイト氏

     

    白菜、豚バラ、豆腐、卵、キャベツ、鶏むね肉、モモ肉、カツオのたたきなど、日ごろお世話になっている節約食材を片端からカゴに叩き込んでいく。皆でわいわい食材を選ぶ時間は、なんだか学生時代に戻ったようで楽しい。

     

    結果、食材に7700円、飲み物おつまみに3300円、計11000円の出費になった。(1000円分オーバーしているが、実は当日1名キャンセルがあった為、セーフということで良かろう)

     

    ちなみに、今回は「既に家にあったモノ(今回の為に出費したものではない品)は持ち込み可」という特別ルールを設けた。皆さん思い思い自宅で持て余していたお酒やお菓子類なんかを持ってきてもらった。真の意味で1000円きっかりのストイックルールでやってもいいかなと思ったが、それくらいは許してほしい。

     

    この後ろ姿、エモい

    めくるめく低予算フィーバーナイト

     

    買い物を終えたら、鈴木邸に帰って早速乾杯だ。

     

     

    明らかに成人10人の密度を想定して作られていない鈴木邸

     

     

    以降、楽しい宴会の様子である。

     

    果物売りさんが持ってきた小渕恵三。家主への断りもなく、気付けば壁に彼がいた

     

    レイチェル・クーもビックリ狭さのキッチンで、一人ずつ交代で料理を作っていく

     

     

     

    今回の予算で作れた料理は以下の通りである。

     

    • 豚肉と白菜の重ね蒸し(鈴木)
    • ケプリのカレー(サンタバイト氏)
    • 揚げ焼きから揚げ(Photoshop氏)
    • カツオとアボカドのタルタル(鈴木)
    • 焼きそば(ねおみのる氏)
    • 鶏チャーシュー(鈴木)
    • たこさんウィンナー(ねおみのる氏)
    • もやしとひき肉あんかけ厚揚げステーキ(鈴木)
    • 豆腐のレアチーズケーキ(Photoshop氏)

     

     

    そう、7700円も出せば、かなりたくさんの料理が作れるのだ。勿論、みんなお腹いっぱいの量で、食材自体もかなり余った。素晴らしい、素晴らしいぞ節約レシピ。

     

    参加者皆さん渾身の節約レシピはどれも絶品で、出した端から無くなっていく。

     

     

    サンタタバイト氏は、かつて自身がPR記事で紹介したケプリのカレーを作ってくれた。煮込むだけで本格カレーが出来るというのは本当だった。凄いぞケプリのカレー。

     

    大人な辛さのケプリカレーを楽しむ6歳児さん

     

     

    今回、クリスマス直前ということで

    プレゼント交換もやった。ワォ、リア充感。

    しかし、ここは年末調整忘年会。

    プレゼントの予算は一人500円以内で用意してもらった。

     

     

    鈴木は、駄菓子屋で笑い袋と手巻きたばこのフィルター部分を買った。フィルターってなんかかっこよさそうだったから。

     

     

    一同まるくなって、音楽を流しながらプレゼントを回していき、曲がストップした時に持っていた商品を貰う、という手法でシャッフルした。

    「笑点のテーマ」をBGMにプレゼントが巡る。

     

     

    皆さん予算内で知恵を絞って選んだ素敵なプレゼントが手元に渡り、幸せな笑顔があふれた。

     

    無印のカレーとバームクーヘンに喜ぶ、ナンパテニスサークルの冬氏。守りたいこの笑顔

     

     

     

    鈴木はドーバー海峡横断部さんからピエトロドレッシングを貰った。(氏は、前年の地味ハロウィンで「ピエトロドレッシングの人」のコスプレをやり、伝説となった)

     

     

    ハズレだったのは、笑い袋とフィルターを引いた、寒いところから来た人氏だけだった。

     

     

    「あのね、フィルターだけだとなにも出来ないし、そもそも僕タバコ吸わないし、本当にいらないんですよ」フィルターだけ咥えながら恨み言を述べる寒いところから来た人

     

     

    イベントの最後は、果物売りさんが持ってきたUSB式のミラーボウル(小渕恵三といい、この人はなぜこんな代物を持っているのか)が取り付けられ、鈴木邸はごきげんなディスコと化した。

     

    成人10人のダンスを想定して設計されていない鈴木邸
    USBミラーボール、思いのほかちゃんと仕事をする

     

     

    以上で、年末調整忘年会のレポートは終了である。

     

    人間って、1000円弱でここまで楽しめるんだ

     

    と素直に感動するレベルで楽しい夜だった。人が内に秘めている本当の豊かさは、案外「足らざる状況」の中でこそ引き出されるのかもしれない。

     

    低予算の忘年会、後生胸を張ってオススメする。

     

    ふ凡社編集部

  • 舞台「平成にゃん月記」の話

    舞台「平成にゃん月記」の話

    ふ凡社代表取締役KFCの鈴木です。

     

    今回は私が初めて書いた脚本

    「平成にゃん月記」

    のお話。

     

    2016年末、新卒で入った会社を辞めて、突然演技の世界に飛び込んだ。

     

    会社を辞める前は、単調な社会人生活を続けながら

     

    「文化芸術の世界でエキサイティングに生きていきたい」

     

    という気持ちが日に日に強まっていたが、何で勝負するかも定まらないまま、悶々としていた。

     

    「このまま会社にいても永遠に悩むだけだから、とりあえず1発辞めてみて、やってみたかった演技をやろう」

     

    と、あまり後先考えない選択だった。

     

     

    それから演技学校に入って、約1年かけてゼロから演技を学び、色んな先輩役者の話を聞いて、色んな舞台を見に行った。

     

    演技をやっている時間は、とても楽しかった。自分の内側に潜って、心と体を解放し、芸を磨く時間は常にエキサイティング。続けられるならずっとやっていたいと思った。

     

    しかし、演技をお金にするのは難しかった。自分よりはるか先を歩く先輩役者も、すべからく生活に余裕がなかった。話には聞いていたけれど、役者として喰っていけるのは、リアルにほんの1握りなんだと知った。

     

     

    役者志望の実に典型的なジレンマだ。どうすればいいだろうか。

     

    自分の才能を信じて、お金になるまで生活の辛さに耐えながら演技を続けるのか?

     

    役者を諦めて、別のまともな道を探すのか?

     

     

    ここで私が将来選択にもだえ苦しんだかと言われれば、実はそうではない。

     

    演技をやってみて、私は演技以外にも沢山やりたいことがあるし、役者1本に人生をかけるほどの情熱と度胸は持ち合わせていない、ということがはっきり分かってしまったのだ。

     

     

    この事実に突き当たって思い出したのは、中島敦の「山月記」という短い小説だった。

     

    出典:Amazon

     

     

    版権も切れた作品なので、ネタバレする。あらすじは以下の通りである。

     

     

    ーーーーー

     

    昔、中国に李徴というスーパーエリートな役人がいた。

     

    若くして出世コースまっしぐらだったけど、李徴本人は出世に興味はなく、仕事より「漢詩」の世界で名を上げて、死後も語り継がれるような人間になりたいと思っていた。

     

    やがて李徴は役人を辞めて、山に籠って詩を書き始めた。

     

    ところが詩作は上手くいかず、生活がどんどんピンチに。

     

    結局、李徴は家族を養えなくなって役人にカムバックした。

     

    復職した彼に待ち受けていたのは、かつて自分が「使えねぇ!」と思っていた同期が、自分が山に籠ってる間に順調に出世していて、彼らの下で部下として働かなければならないという現実だった。

     

    李朝はストレスに耐えかねて、発狂。山に向かって走り去ったまま、消息不明になった。

     

    数年後、李徴の唯一の友達だった袁傪(えんさん)という男が、出張途中の山道で虎に襲われかける。

     

    なんだかんだあって、その虎が、かつての李徴だということが判明。(虎の声がCV李徴だったのだ)

     

    李徴は、草むらの中から袁傪たちに向かって、

    「なんで私が虎になっちゃったか」

    を説明し始める。

     

    彼の自己分析は以下の通りである。

     

    「自分は才能があると思って詩を作り始めたけど、周りから『実際そうでもないじゃん』と言われるのが怖くて、詩を作っても誰にも見せなかった。でも、1人で詩を作っていても一向に売れるはずもなく、生活に追われて屈辱のまま詩人を諦め、発狂した。

    一方で、周りを見れば自分なんかより全然下手っぴな詩を書いてたけど、自分と違って下手ながらも作品をいろんな人に見せて切磋琢磨しながら腕を磨いた結果、自分なんかより遥かに有名な詩人となった人もたくさんいるではないか。

    変なプライドをこじらせて自分の殻に篭もってたのが、間違いだった。この『臆病な自尊心』が俺を虎にしちまったんだ。

     

    気づいた時にはもう遅かった」

     

    泣きながら自らの失敗を悔いたのち、李徴は袁傪に

     

    「自分は多分このまま行くと完全な虎になるから、その前にせめて人として生きていた証がほしい。今から自分がつくった詩を読み上げるから、筆記して残してくれないか?」

     

    と懇願する。袁傪は快く引き受けて、李徴の詩を聞くんだけど

     

    「うーん、確かに普通の人よりは全然上手いんだけど、名作と言われる非凡な詩と比べたら何かが決定的に欠けてるな」

     

    と思ってしまう。

     

    その後、李徴は崖に登って虎の姿を袁傪一行に見せ、一声叫んで竹やぶに消えていった。

     

    ーーーーー

     

     

     

     

    なんてぐっさーと刺さる話だろうか。山月記は、「才能と将来選択」に悩む人達のバイブルだと思う。

     

     

    改めて山月記を読みなおして、私は考えた。

     

     

    「李徴は、どうすれば虎にならずに済んだのか」。

     

     

    この問いをきっかけに生まれたのが、「平成にゃん月記」である。

     

     

    舞台は「喫茶・にゃん月亭」。主な登場人物は

     

    ・半人半猫のウェイター・トム

    ・女店主・ラビ

    ・大手化粧品メーカーのアラサー女子・綾乃

    ・文具メーカーの平凡中年社員・真

    ・地下アイドル・早苗

     

    の5人。

     

    演技を初めて10か月の頃、脚本、演出、出演全て未経験の状態から作り始め、今年の2月22日(猫の日)に1度きりの公演をやった。もちろん、トムは私である。

     

     

    この処女作を通じて、私は自分の将来選択に一つの答えを出した。そしてこれが「ふ凡」という言葉の誕生に繋がったのは言うまでもない。なんだか手元に置いておくだけでは惜しいので、脚本のデータを公開する。

    平成にゃん月記脚本

     

    15分もあれば読める短いお話なので、将来選択に悩む人、やりたいことと現実の狭間で板挟みの人なんかにぜひ読んでみて欲しい。そしてあわよくば互いに意見を交わしたい。さらにあわよくば、どこかで新しい脚本も書かせて欲しい。

     

    さらにあわよくば100億円くらい欲しい。

     

    ふ凡社制作部  鈴木

  • ふ凡の誕生

     

    ふ凡社代表取締役KFC(Ketcup Fantastic Cookie)の鈴木です。

     

    ブログ開始に当たり、私が何者であり、なぜ「ふ凡」という言葉に至ったか、お伝えする回にしようと思う。

     

    まずは、ビジュアル。下の写真をご覧いただきたい。

     

     

     

    これは、今年5月くらいに撮影した私の宣材写真。

    プロに撮影を依頼したが、「ポーズ変えてみよっか!」の引き出しが無さ過ぎて空ばかり見上げていた結果、「昼休みに退職を決意した会社員」みたいなポラロイドが大量に届いた。大変困った。とにかく持て余しているから、折に触れてここで掲載していきたいと思う。DLして、商用利用していただいても構わない。

     

    続いて中身。私は普段、とある媒体で編集の仕事をしながら脚本を書いたり小説を書いたり役者をやったりしている。

    なんでこうなったか、産まれてから今日に至るまでの経歴を絵日記形式で紹介しようとも考えたが、計算するとjpeg画像が9816枚必要になるので断念。コンセプトをふわりと伝える程度に留めたい。

     

    (出典)MIYATA

     

     

    私の人生の大きな目標は

     

    「文化芸術の世界で花を咲かせて、名を成すこと」

     

    である。歌手なら歌、画家なら絵、役者なら演技。文化芸術の世界で、自分の技一つで世を渡る人たちに心の底から憧れる。そんな人になりたいと思う。どうやったらなれるだろうか。

     

    この世界で「非凡」な存在は、たいてい何か一つの芸を極めている。最近は演技もやれば歌もやれば小説も書いちゃうマルチな活躍をする人も注目されているが、そんな人たちも、まずは一つのジャンルで多くの人を魅了する成果を作って、そこを足掛かりに領域を広げていくパターンが王道ではないか。

     

    ひるがえって私の場合、やりたいこと、好きなことが多すぎて武器を選べない。「やりたいこと やったもん勝ち 青春ならWow Wow」と、光GENJIを信じてあれこれ手を出している内に、四半世紀が過ぎてしまった。

     

    結果何が起きたかというと、

     

    「何をやってもそこそこ出来るが、突出しない人」

     

    が誕生したのである。色々な種を蒔いてみて、色んな芽がちらほら土から見えてはいるが、花が咲きそうかと言われるとうーん。私が何かを作るたび、幸い周りの人は、「面白いね」と言ってくれる。温かい言葉に救われる一方で、「同じようなことをやっている人は星の数ほどいる」と思ってしまう自分もある。

     

    となると、やはり突出した成果を生むには、何か一つを腰据えて磨いたほうが良さげな感じがする感じ。やるべきことはもう見えているではないか!

     

    「よし!じゃあ今から何か一つ選んで極めるぞ!Wow Wow」

     

    と…

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    はならないのが私。

     

     

     

     

    色々やってみて気が付いたのだが、↑この男は一点集中型の努力に向いていないのだ。極太の一本柱を丹念に育てるより、細かな柱が入り組んで良く分らないけどなぜかバランスが取れている謎の違法建築を組み上げていきたい。そんなスタイルなのだ。

     

    結果、たどり着いた答えが「ふ凡」。

     

    あるかどうかも分らない才能を信じてやみくもに進むのではなく、「ふ凡の階段」をテケテケと登って、非凡の世界にどこまで近づけるかやってみよう。これが私の生きる道である。いい感じ。

     

    そうと決まれば、後は引き続き、常に何かしら文化芸術的なサムシングを作っている状態をキープすればいい。が、「一人でやるとすぐ動かなくなっちゃう」のがふ凡人の困った特性である。エネルギー回路が並列つなぎなもんだから、一個一個の動力が弱いのだ。

     

    今までは、家に籠って、一人何かを生み出して、いつか誰かの目に留まればいいな、というスタンスでいたが、そんなことをしていたらいつまで経っても先に進めないとようやく気付いた。広く人と交わって、社会との関わりの中で作るほうがいい。

     

    このブログも、一人で好き勝手なことを書いているだけでは49日くらいで止まってしまうだろう。書を捨て街に出て、ふ凡ネットワークを広げながら、エネルギーが循環する仕組みを作り上げるのだ。

     

    第一弾として、色んな世界で活躍するふ凡人たちにその生き様を聞くインタビュー企画、名付けて

     

    「ふ凡大陸」

     

    始動で御座います。