ピンチを乗り切るライティング講座 「完全アウェーな取材でもそれなりの記事を書く方法」-カリスマ腐女子の誕生会編-

ふ凡社代表取締役USJ(Ume Sour Junkie)の鈴木です。

Web編集者をやっていると、イベントの取材記事を書くことが多々ある。

中でも、自分がまったく知らない領域のイベントに放り込まれて、「レポートを書いてきてくんなまし」と言われる理不尽な依頼も結構ある。

そんな無茶ぶりを、愛と勇気を以てのらりくらりと潜り抜ける中で、

 

どんなにアウェーなイベントに放り込まれても、それなりの記事を書く処世術

 

が何となく身についた。今回は、ふ凡社初のライティング講座として、3月24日に開催された腐女子の友人・みきちんぽぽ氏主宰のイベント「みきぽ生誕祭」を例に、完全アウェーなイベント取材から1本のレポート記事を生成するまでをお伝えしたい。

 

自らの誕生会を盛大にプロデュースする”強い腐女子”

我らがみきちんぽぽ氏。

ペンネームからしてすでに卑猥なみきちんぽぽ氏(以下、みきぽ氏)は、Twitterで3000人以上のフォロワーを擁する“カリスマ腐女子”だ。

「みきぽ生誕祭」は、2019年3月に彼女がめでたく三十路に突入したことを祝して、ネット上で彼女と親交がある腐女子・腐男子に声をかけ、自らのバースデーパーリィを盛大にプロデュースするというパワフルな企画。

 

彼女とは、とあるイベントで知り合ったが、私は腐っていない。彼女がその界隈で権勢をふるい、そのアクティブさから畏敬の念を込めて“強い腐女子”と呼ばれているとは噂で聞いていたが、私自身は腐の世界をまるで知らぬ。

 

今回の企画のために「完全アウェーになれそうなイベント」を探していた私にとって、みきぽ氏の生誕祭は、まさにうってつけだった。開催告知を知るや彼女に連絡し、晴れて取材させてもらえることになったわけだ。

 

意気揚々と取材依頼を出したが・・・

 

 

取材の前に、腐女子・腐男子について、私自身が持っている情報を整理してみる。

 

・腐女子・腐男子とは、BL(ボーイズラブ)を中心としたコンテンツに情熱を捧げる紳士淑女らのことである

・攻め(攻撃をする人)、受け(攻撃をされる人)、推し(特別好意を寄せている作品やキャラクターや人物)という概念がある

 

以上だ。この知識すら果たして正しいのかどうか怪しい状態でイベントに突入するのは、YesとHelloとThank youしか言えないのに米国議会を傍聴しに行くようなもんである。

 

来るイベント当日、私はスーツ姿で会場入りした。この日のために、「報道」の腕章も用意した。以前テレビで、

紛争地のレポーターは、“PRESS(報道)”の目印をつけることで、自らが丸腰であることを示し、身を守る

的なこと言っていたのを思い出したからだ。

 

何かに怯えた表情の鈴木

今回、初の文化圏に飛び込んで取材を行うのだ。みきぽ氏は「みんな優しいから大丈夫」と言っていたものの、腐男子でもない私が立場を曖昧にしたまま参加しては失礼があるかもしれない。意気揚々と参加表明をしておいてなんだが、私はとてもビビっていた

 

開会前に、レポートの構成を組み立てる

開場前、一足先に受付を済ませ、どんな記事にするか大まかな構成を考える。私がよく使うイベント記事のテンプレートは、以下の通りである。

 

・イベントの概要説明

・開会挨拶

・メインイベントのコンテンツ紹介

・閉会挨拶

・主催者もしくは参加者の感想

・まとめ

 

この骨格を念頭に、まずは開場に掲示されたイベントの進行表をチェックする。

シャンパンコール」、「椅子取りゲーム」、「ビンゴ大会」と面白そうな企画が目白押しなので、メインコンテンツ部分のボリュームは心配なさそうだ。

 

実は、もうこの時点で記事の完成は約束されている

イベントレポートは、記事の性質上そこまで文量が多くないので、内容の詳細を把握できなくても、キーワードや事実を的確に拾えさえすれば、素材がそろうからだ。

あとは集めた情報を取捨選択し、テンプレートに沿って間をよしなにつなげば、半自動的に記事が生成されるのだ。

 

開場までにカメラの調整をしたり、抑えておきたい写真のカットを決めたり、ボイスレコーダーの設定などして装備を整える。あとは、万が一何かの手違いで包囲された場合に備えて、突破経路を確認・シミュレーションすれば準備万端。

 

さぁ!どんとこい腐女子・腐男子の宴!何一つ理解できなくても、しっかりレポートしちゃうぞ!

次のページからは「みきぽ生誕祭-素材収集編-」をお届けする。

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