投稿者: munehubon

  • 大阪・関西万博の最終日に初めて万博に行った男の末路

    大阪・関西万博の最終日に初めて万博に行った男の末路

    こんにちは、ふ凡社です。

    大阪・関西万博が10月13日に閉幕した。

    私は13日に万博を訪れた。最終日にして、初めての万博だった。今回の大阪・関西万博どころか、「万国博覧会」というイベントに行くこと自体が人生初である。

    この記事では、万博初心者が見た、大阪・関西万博最終日の様子をレポートする。「これからタイムスリップして、大阪・関西万博に行ってみようかな」と思っている未来人の方々の参考になれば幸いである。

    行く直前まで、ずっと謎のままだった万博

    画像は大阪・関西万博のプレスリリースより

    最終日のレポートに入る前に、今回万博を訪れた経緯をお伝えしたい。

    最初に白状すると、当初私は大阪・関西万博にあまり興味がなく、行く予定もなかった。なぜなら開催直前まで「いったい何が展示されるか」という情報を特にキャッチすることもなく、開幕後もニュースなどで目にするのは「パビリオンの予約が全然取れない」「虫が大量に沸いてる」「トイレの導線が終わってる」「なんか謎のガスが噴出している」といった、どちらかというとファニーじゃない話題のほうが多かったからだ。

    そんな私をよそに、友人たちはこぞって万博に行く予定を立て、万博に関する情報を共有し合うLINEグループを作っていそいそと準備を進め始めた。私は「万博とはどんなもんじゃい」ということは人並みに気になっていたので、グループに入れるだけ入れてもらってやり取りの様子を眺めていた。

    そのうち、万博に行った者たちからの報告が続々と挙がりはじめる。ところが、「スムーズに入場できたかどうか」「混雑具合はどうだったか」「どのパビリオンに入れたか」といった概要情報がメインで「万博に何があるのか」という具体的な話は不思議なほど流れてこなかった。それでも、言った人たちは口々に「万博良かったよ」「また行きたいな」と言う。

    「みんなが万博に行き終わったら、グループのやり取りも落ち着くだろうな」と思っていたが、その後も万博に関する情報の共有は止まらなかった。そして、グループ内の友人たちから続々と「今度また万博に行きます」というメッセージが来る。二度ならず、三四度と行くものまで出てくる。

    しかし、それだけ活発にグループが稼働していてなお「万博に何があるのか」についての解像度はいっこう上がらなかった。「うんところしょ、どっこいしょ、それでも仔細は分かりません」という具合だ。

    私から見れば、関西・大阪万博は

    「誰も詳細を語らないが、行った者はみな口々に良い良いと言い合い、何度も吸い寄せられていく謎の催し」

    というややホラー味のあるイベントと化していた。

    こうなると、さすがに気になって仕方がない。かくして、ついに万博に行くことを決めたのだ。

    (ちなみに、件のグループでは万博開催の最終週まで「ラスト万博行きます!」という報告が相次いでいたが、結局詳細は分からずじまいだった)

    予習もしないで大丈夫か?大丈夫だ、問題ない。

    万博に行くことを決めたのは9月のはじめ。そのころには既に「閉幕に向けて来場者数の増加っぷりがヤバい」「ここから先はもう基本パビリオンとかには入れないものと思ったほうが良い」という話が出ていたから、「じゃあもういっそ一番ヤバそうな最終日に行ったろやないかい」というテンションで最終日のチケットを取った。

    こたびの関西・大阪万博が「予習無しで行くのは無謀なタイプのイベント」であることは友人たちのグループを見ていて重々分かっていたが、私はあまり予習をしないことにした。

    ネットでできるパビリオンの7日前抽選だけはやったが、見事に全部はずれた。いよいよ裸一貫、万博突撃である。

    予想はしてたが全部はずれた

    意外とすんなり入れた

    東ゲートから12時~で入場のチケットを購入した。入場の時点でめちゃくちゃ混雑している可能性もありうるので、11時くらいには夢洲駅に着いた。

    駅を出るなり、景色の向こうに大屋根リングの一部が見えた。「おおおあれが噂の!」とテンションが上がる。

    遠くに見える大屋根リング

    東ゲート自体は駅を出てすぐのところにあった。「ちょっと早く来過ぎちゃったかな」と思ったら、「本日12時から東ゲート入場のチケットをお持ちの人は、西口ゲートからも入場いただけます」とスタッフが呼びかけている。

    西口ゲートが東口からどれくらい離れているか分からないので、「これは罠かもしれない」と一瞬迷ったが、まぁ早く着きすぎたので時間つぶしがてら西口のほうに行くことにした。

    20分くらい歩いて、西口ゲートに到着した。なにせ大屋根リングの大きさすら分からないので、「北口から10kmくらい歩かされるんじゃないか」と身構えていたが、意外と早かった。

    さぁ西口に着いたところで、入るまで一体どれくらいかかるんじゃいと思ったが、なんのことはない、列に並び始めて10分くらいで入場することができた。まさかの12時オンタイム入場である。

    入場してからも人でごった返しているかと思いきや、人の数も割とゆったりしていた。あまりにもあっさりとかの万博に入れたので、「これは罠かもしれない」と思った。

    ミャクミャクとツーショット。ちなみに、服装は「70年万博の時の男性来場者」に寄せた。

     

    大屋根リングから全体像を把握しようと試みる

    会場に入ったところで、右も左も分からない。あまりにも万博に対する解像度が低いので、いったん大屋根リングの上に登って会場全体を眺めてみることにした。

    ごった返す人波をかいくぐって大屋根リングの上部にたどり着くと、穏やかな空間が広がっていた。大屋根リングの上はそこまで人が多くなく、みんなのんびり歩いたり景色を眺めている。

    大屋根リングの上はゆったり

    最初は「これが噂に聞いていた大屋根リングからの景色か~広いな~」と感動しながら歩いていたが、15分くらい歩いて気がついた。

    「上から眺めても、何も分かんねぇや」

    と。やはり、会場の中に飛び込んでみないことには「万博」は始まらないのだ。大屋根リングを半周したところで、下界に降りた。

    複雑怪奇な万博の建物群

    人類には早すぎた万博トイレ

    大屋根リングから降り、本格的に会場を回る前にお手洗いに行っておこうかしら、とトイレを探すと、ちょうどXなどで「システムが芳しくない」と話題になっていたトイレが目に入った。確かに各トイレの前に行列ができている。

    銀色の箱みたいなトイレ

    おそらく、他に空いてるトイレも探せばあると思うが、やはりこれは一度経験しておきたいということで、列に並ぶことにした。

    このトイレの特殊さは、個室の入り口と出口で扉が分かれていることだ。個室に人が入ると、入り口側に備え付けられた使用中ランプが点灯する。そして中の人が外に出ると、ランプがオフになる。外で待っている人は、ランプの点消灯を見て入れ替わりのタイミングを確認するのだ。

    待つ人はピクトグラムに点灯するランプとにらめっこすることになる

    扉の出入りをする必要がなく、導線が一直線になってスムーズに流れる画期的なトイレだということだと思うが、実際のところはかなりの混乱が起きていた。

    まず私の前にベビーカー連の男性が入ったのだが、しばらくしてランプが消えたので扉を開けたところ、まだベビーカーごとその人が中にいた。

    とっさに謝って扉を閉めようとすると、男性から「すみません、その扉押さえててもらっていいですか」と頼まれた。よく見ると、ベビーカーが中にあると、出口の扉を完全には開けない構造になっていて、つっかえていたのだ。

    私が個室を使う番になると、近くの部屋から「あーっ!ダメーっ!あけないで!」という叫び声が聞こえる。続けざまにまた別の個室の外で「このトイレはロシア式だな!叩けば動くようになる!」という笑い声も。

    どうやらボタンを押すタイミングによってまだ中に人がいるのに外の人が勘違いして入ってきちゃったり、ランプの挙動がおかしかったりで、いろんなバグが生じているようだ。

    技術的には画期的だが、まだ人類には少し早い設計な気がした。しかしこれもまた、新しいものが集まる万博ならでは、という感じがして良い。

    トイレだけですでに楽しい。

    万博初めて見ることができた展示は…

    トイレから出て、いよいよパビリオンが立ち並ぶ会場の中心部へと入っていく。ところが、マジで何が何やら分からない。予習をしてきていないので当然である。がはは。

    ざっと見渡した感じ、やはり多くのパビリオンが「予約できた人だけ」の開放になっていたり、列が長すぎて並ぶのを打ち切りにしたりしていた。「さすが万博最終日。こりゃ本当に、予約なしだとなんの展示も見れないかもしれないぞ」という不安がもたげる。

    どこか入れるところはないかと探していると、「予約不要」の看板が目に入った。屋外の展示だった。「おぉ、入れるところあるじゃーん!」と、いそいそと足を踏み入れた。

    どんな展示かは一切わからないが、これが人生で初めて万博で触れるコンテンツ。「一体何が展示されているのかな?」とワクワクしてのぞいてみたものがこちら。

    なんだこれは

    四つの大きなガラス瓶が並んでいる。一番左にはきれいな花が詰まっている。

    綺麗なお花

    その横にしおれてカビが生えた花→枯れた花→朽ちて土になりかけている花が続く。花が自然に返っていく様子を、段階を踏んで見せてくれているようだ。

    朽ちたお花

    ……分からないよ!!!何も!!!!

    「万博で最初に見たものは、朽ちる花」という味わい深い実績を解除した。

    ついに「国のパビリオン」に入る

    その後も入れる場所を探すのは大変で、フードコートみたいなところが賑わっていたり、遊具が設置してあるコーナーで子どもたちが遊んでいる様子を眺めながら、なんだか自分が南町田クランベリーパーク(東京都町田市にある巨大なショッピングモール)に来ているような気がしてきた。

    「万博会場の中に広がる光景は、休日のショッピングモールに近い」

    これも、かなり意外な発見だった。

    会場のマップすら持たずにさ迷っていると、ついに予約なしで入れるパビリオンを見つけた。「カンボジア館」だ。

    万博というとでっかいパビリオンが立ち並んでいるイメージが強いが、各国による大小さまざまな規模のパビリオンがある。カンボジアは、小規模なパビリオンのうちの一つだった。

    最終日ということで、チケットの予約をした時点で「もう各国のパビリオンには入れない心づもりで行こう」と思っていたから、普通に入れるパビリオンがあって驚いたし、テンションが上がった。

    カンボジアパビリオンはアンコールワットのドローン映像を映し出すでっかい液晶があったり、文化財が展示してあったりと、小規模ながら「国のパビリオン」として美しく仕上がっていた。ようやく「万国博覧会に来たのだ」という実感がわいて嬉しかった。

    カンボジア館のでっかい液晶

    カンボジアパビリオン以後、私の万博行脚は加速する。「どこに入れるかも分からない、どこも入れなさそうに見える」状態だった会場内も、よく見たら「普通に入れる」施設がまだまだたくさんあることを知ったからだ。

    次に入ったのはアラブ首長国連邦のパビリオンだ。

    アラブ首長国連邦は正真正銘の巨大なパビリオンだったので、「えっ、予約なしで入れるの?本当に?」と思った。中に入ってみると、巨大な柱がそびえたつ神殿みたいな空間が広がっていて、たまげた。

    圧倒的なインパクト

    柱の間に、アラブ首長国連邦にまつわる文化的な展示が点在してあり、アラブ首長国連邦の伝統的な衣装を着たスタッフたちがフレンドリーに来場者に解説をしている。

    UAE宇宙庁、宇宙統括ディレクターのモフセン・アル・アワディ氏のフィギュア

    それでもやはり、会場を埋め尽くす巨大な柱が圧倒的な存在感を放っていて、「うひゃあすげぇ!」という感想しか出てこない。

    巨大なパビリオンを建造しながらも、内側の大部分を「巨大な柱」で埋め尽くし、空間全体をゆったりと使って誰でも自由に出入りできる形で開放する。混雑してなかなか施設内に入るハードルが高い万博会場内にあって、「誰でも入れるでっかいパビリオン」の存在はそれだけで嬉しいし、アラブ首長国連邦を好きになっちゃう。

    他にもでっけぇ丸いモニターにでっかくラクダが映し出されていたりする

    まさに「経済大国の圧倒的な心の余裕」を感じるパビリオンだった。

    夕方になってギアが入ったが…

    夕方になって日が傾き始め、涼しくなってきたことで明らかに会場全体の「活気」のギアが一段階上がった。よっしゃ、ここいらで一つでかいパビリオンの列に並んでみようと思った。「フランス館」である。

    その頃にはフランス館の待ち時間は「1時間」になっていた。大国のパビリオンは軒並み大人気と聞いていたから、むしろ1時間で予約なしで入れることが驚きである。

    フランス館の中は、そりゃあもう凄かった。「万国博覧会」と聞いて思い浮かぶ通りの、徹底的に趣向を凝らした見事なパビリオンだった。

    エレガントの極みみたいな展示ばかり

    フランス館に感動して、「よし、この調子で大国のパビリオンにどんどん並ぼう!」と意気揚々外に出たが、その望みが叶うことはなかった。

    というのも、デカいパビリオンが、どんどん店じまいを始めていたのだ。万博の営業時間?は22時までと聞いていたので、パビリオンもある程度遅くまで開放しているものだと予想していたが、大規模なパビリオンは18時になる頃には軒並み受付を終了していた。ここで、予習無しの弊害がモロに出る。

    ちょっと寂しい営業終了の看板

    18時30分くらいになると、フィナーレを飾る花火大会が始まった。花火は美しいが…なんか会場全体が「いや~万博も終わりですなぁ」ムードに包まれ始めた。実際、これくらいのタイミングでぞろぞろとゲートに向かう人が増えた。

    あれっ、終わる?万博終わる?

    夜の万博会場内は最高

    あれ、じゃあ22時の閉幕まで、あとは何をするんだ?

    と思ったが、この「夜の万博会場」というのが、これまた最高に素晴らしかったのである。

    まず、デカいパビリオンが色とりどりのイルミネーションで照らし出されて、中に入れなくとも見ているだけで美しい。

    美しいライトアップが夜に映える

    そして、入場者たちが「パビリオンを狙って動かなきゃ!!!」というプレッシャーから解放されたこともあってか、会場全体の空気も和やかになり、それでいて人々の活気もあってとてもいい雰囲気になっている。

    来場者とコール&レスポンスをやるオーストリア館のスタッフたち

    営業を終了したパビリオンでは、各国のスタッフたちが表に出て来て即興のパフォーマンスをしたり、来場者たちに向かって「ありがと~!」「楽しかった~?」と手を振ったりしている。スタッフと来場者が混ざり合って一緒に盛り上がっている様子は、見ていて楽しかった。

    ブラジル館の前ではなぜかシロクマとティラノサウルスが狂ったように踊っていた

    夜になっても、中小規模のパビリオンの中にはまだ来場を受け付けているところが残っており、日が暮れて以降は「会場の空気を楽しみながら、空いてるパビリオンを見つけてはちょくちょく入場する」時間になった。「大将、まだやってる?」と居酒屋を探すテンションである。

    お土産屋さんと各国のブースが合体したようなパビリオンもあった。楽しい

    空いているパビリオンの中も、「いやいや万博もいよいよ終わりですなぁムード」になっていて、これまた良かった。

    閉幕で気づいた悲しい事実

    賑やかな夜の万博会場を楽しみながら巡っているうちに21時30分を過ぎ、会場内での全てのイベントが終了して、入場者に閉幕が近づいていることを告げるアナウンスが流れた。

    最後のドローンショーでミャクミャクが「バイバイ」って言って消えた時はちょっと泣きそうになった

    出口のゲートに向かって歩いている間も、周りの景色を眺めながら浮かぶのは「あの建物はなんだったんだろう」「あの建物も気になったな」「あぁ、あれもだ」といった言葉ばかり。

    そして22時になり、会場に万博の閉幕を告げるアナウンスが鳴り響く。この瞬間

    「そうか、もうあの気になった建物たちの中を、自分の目で確かめることはできないのだ」

    と気づき、激しい後悔が押し寄せて来た。

    会場全体を包む「お疲れ様、ありがとう」という温かい労いのムードの中で、「ああああああああああああこの輪にちゃんと入りたかったああああああああああああああああ」と思った。

    名残惜しそうに出口に向かう来場者たち

    駅に向かう道中も、まわりの来場者から口々に「えぇ~終わるの寂しい~」という声が聞こえてくる。たった1回来ただけでも痛いほど気持ちが分かるので、複数回訪れていた人にとっては尚更だろう。

    万博に何があったの?と聞かれても

    これまでの「万国博覧会」という催しに対するイメージは「各国が威信をかけて作ったハイレベルなパビリオンを見て回ることができる、カッチカチでパリっとした一大イベント」という感じだった。

    ところが実際に行ってみると、前半しか合っていなかった。スタッフの人たちも「よってらっしゃいみてらっしゃい」というお祭りテンションで、来場者、スタッフともに和気あいあいとコミュニケーションを取りあいながら会場全体がなんだかワクワクしている感じがあった。

    この「会場にいるだけでなんとなく緩やかで楽しい感じ」に覚えがあるなと思って記憶をたどったところ、「あっ、文化祭だ」と思い至った。ありとあらゆるものがあって、内も外もいろんなところで賑やかな出来事が起きていて、いい意味でごちゃごちゃしていて、なんかトータルで楽しい。まさに学校の文化祭的な楽しさがあったのだ。

    なので、今私が誰かから「万博に何があったの?」と聞かれても、明確な回答が浮かんでこない。個別具体的な例を挙げても、万博に行っていない人からすると「なんかよくわからないな」と思われるだろう。そして「で、それは楽しかったの?」と聞かれたら「楽しかったよ、また行きたい。というかまた行く」と答えるだろう。

    ……これか!!!!!

    万博グループのやり取りを眺めていても、いっこう全容がつかめなかったわけだ。なるほどこれは、行った者にしか分からない楽しさ。完璧な伏線回収である。

    万博初心者による、最終日のレポートをまとめる。これから関西・大阪万博を訪れようと思っている未来人の皆さまにお伝えしたいポイントは、以下の通りだ。

    1、万博は予習してから行った方がいい

    2、万博は開幕期間中、複数回行ったほうがいい

    3、最終日はめちゃくちゃ楽しい。多分1、2をやってから行くともっと楽しい

    私は結果的に、関西・大阪万博でこれをやらなかったことを多分一生後悔すると思う。それでも最終日に1回でも行っといて本当に良かった。

  • 僕はここに、まだ生きてるよ

    僕はここに、まだ生きてるよ

    皆さんごきげんよう、ふ凡社です。僕はここにいます。
    「僕はここにいます。」といえば、皆さんご存知、槙原敬之の初のワンマンツアーのタイトルである。
    一家に一枚はあることでおなじみ、マッキーの初ライブのDVD
    名曲「80km/hの気持ち」に始まり、最近のマッキーがとんと作らなくなった、淡くもどこか影のあるラヴソングが詰まった素晴らしいステージ。この中には、代表曲の「どんなときも。」も入っている。
    「僕はここにいます。」というツアータイトルが、上京してきて一発ドカンとヒットも当て、初の全国ツアーもやっちゃって「これから世に名が轟くように、ブイブイやっていきまっせ」という若き日のマッキーのワクワク感が伝わるようで、大変好きだ。
    若き日のマッキーに思いを馳せるのはこれくらいにしておこう。
    私は1年以上ブログを放置して何をしていたかというと、特に何もやっていなかった。
    この間やったことといえば
    ・結婚をしたこと
    ・結婚をして姓を変えたことで母から縁を切られたこと
    ・会社が傾いて、半ば追い立てられるように転職活動をしたこと
    ・ブログが海外からサイバー攻撃を受けて乗っ取られ、スーパーエンジニアに救ってもらったこと
    といったくらいなもの。
    ……待てよ、思ったより人生のドラマがあったな。
    なんにもやってなかったと書いたが、撤回撤回。なんかいろいろ大変でした。
    「僕はここにいます。」というよりは、「僕はまだ生きてるよ」と言ったほうが近い。
    画像はAmazon.co.jpより
    いろいろ大変だったが、それでも容赦なく日々は過ぎ、なんやかんやで生活が落ち着いて来た。そのタイミングで、違和感に気付いた。
    最近、くだらないことに真面目に取り組んでいないのである。
    ふ凡社とは、平凡な毎日の中から抜け出して非凡な世界に到達することを目的として立ち上げた結社である。
    そしてふ凡社を立ち上げて以来、振り返ればいつだって「大変な時こそ、くだらないことに一生懸命取り組む」をやった時に、人生の活路が開けて行った。私の人生、くだらないことをやらないと先へ進めないと言っても過言でない。
    そして仕事やら日常生活やら、社会的規範の中で品行方正な日々を送る中で、「くだらないこと」は信念をもって主体的にえいやと取り組まないと発生しないものだ。
    そして「くだらないことをやること」に大義名分を与えてくれる場所こそが、このブログなのである。
    生活を安寧に整えている場合ではない。くだらない記事を書くことを再開する。
    2025年8月下旬 ふ凡社
  • いなば食品の「ボロ屋騒動」のプレスリリースを読みやすく編集してたら夜が明けそう

    いなば食品の「ボロ屋騒動」のプレスリリースを読みやすく編集してたら夜が明けそう

    いなば食品の社員向けシェアハウスの管理不備についてのニュースが世間を賑わせている。

    報道を受け、いなば食品は2024年4月12日に公式HPにて、お詫びと共に詳しい事情を説明するプレスリリースを公開した。ところがこの記事の内容が正直なところ大変分かりにくく、また企業による公式の文書ではあまり見ない語句が使われていることなどもあって、その点を指摘する声も相次いでいる。

    報道を受けてから記事の公開までの期間の短さを考えると、対応した現場の混乱っぷりが推し量られる内容だ。

    私は普段Web編集者として、毎日のように文章の交通整理を行っている。職業病として、交通整理がなされていない文章を見ると、交通整理をしたくなってくる。

    気付けば私はPCを開き、プレスリリースの編集・校正を始めていた。せっかくなので、この場を借りて調整ポイントと、調整後の文章を紹介する。

    あくまでプレスリリース内での情報のみを元に書いたので、事実の齟齬などあるかもしれない。「恐らく、いなば食品さんはこういう意図で書いたのではないか」という個人の一解釈程度に読んでいただけると幸いである。

    プレスリリース原文については、いなば食品さんのHPをご覧いただきたい。

    原文をコピペし、Wordで変更履歴を入れた状態のスクリーンショットがこちら。

     

    これらの調整を反映した最終版が、以下の通りである。

    (タイトル)弊社シェアハウスに関する報道について

    (本文)

    この度は、静岡県由比町にございます弊社シェアハウスに関する報道につきまして、皆さまに多大なるご不便ご心配をおかけし、心よりお詫び申し上げます。報道などでご指摘いただいている管理不備につきまして、現在誠意をもって全力で改修に取り組んでおります。

    今回ご指摘いただいたシェアハウス(以下、当該物件)に関して、雨漏りなど管理不備が発生した経緯について、改めてご説明します。

    由比町の弊社シェアハウスは計6棟ございます。2024年4月13日現在、うち3棟に5名の一般職社員(転勤のない事務職・工場勤務職)が入居しています。

    弊社は2024年3月20日~26日にかけて、当該物件を含め、全てのシェアハウスについて点検・クリーニングを実施・完了しておりました。2024年に新卒で入社した一般職社員も上記物件に入居し、勤務を開始しております。

    今回当該物件の管理が行き届いていないまま、社員が入居することになってしまった背景をご説明します。

    当該物件は、6棟のうち、唯一新規で借り上げた物件でした。弊社の副社長が2023年10月26日に間質性肺炎の症状悪化で緊急入院し、2024年1月10日に死去しました。故副社長は総務部長として当該物件の管理責任者を担っており、入院期間中に当該物件の管理についての詳細な指示をすることが困難な状況でした。そのため弊社では2024年1月15日付で新総務担当を任命しましたが、引継ぎ対応の兼ね合いで設備の不備について改修・調整が遅れてしまい、当該物件への新入社員の入居日までに対応を完了できませんでした。

    当該物件へ入居予定だった一般職の皆さまに対し、十分なご説明を申し上げることができなかったこと、結果として、新卒一般職のうち16名が入社を辞退する形となってしまったこと、心よりお詫び申し上げます。

    今回ご指摘いただいた管理不備箇所につきまして、雨漏りは改修手続きを既に開始しています。また畳の交換も2024年4月14日中に完了予定です。

    弊社のシェアハウスにつきましては、居住場所として適切な物件を内検の上、手配しております。当該物件につきましては、誠意をもって早急に改修を行ってまいります。

    また今後、シェアハウスに入居している弊社社員に対しては、家賃の請求を行わない形を検討・実施する予定です。

    恐らくこんなところではないだろうか。自分なりに内容を整理できて、スッキリした。

  • 紙粘土で「玉ねぎが抜けちゃったオニオンリング」を作る

    紙粘土で「玉ねぎが抜けちゃったオニオンリング」を作る

     

    今年もデイリーポータルZさん主催の「地味ハロウィン」に参加してきた。

    私は例年頭に何か「地味なモノ」を作っては頭に載せて参加しているのだが、2023年は「玉ねぎが抜けちゃったオニオンリング」になった。

    オニオンリングを食べたことがある人なら、誰もが一度は玉ねぎが先に抜けちゃって衣だけが残ってしまうという悲しい経験をしたことがあるだろう。

    玉ねぎというやつは繊維質なので、オニオンリングをかじる時は上下の歯をしっかりと噛み合わせて「えいや」と噛み切る必要がある。ここで思い切りが悪いと、玉ねぎが歯にひっかかってスルスルとキャストオフしてしまうわけだ。

    私はこの状態になってしまったオニオンリングのことを「オニオフリング」と呼んで親しんでいるのだが、本記事でも以下オニオフリングと表記する。

    今回オニオフリングを、紙粘土で作った。まずは完成した姿を見ていただきたい。

    いかかだろう。我ながら、かなりオニオフリングに近い再現度ではないか。しかし、ここに至るまでは試行錯誤の連続で、まぁ大変だった。

    制作記をここに記すので、紙粘土でオニオフリングを作ってみたいと考えている人は参考にしてほしい。

    ちゃんと「玉ねぎが抜ちゃった感」を再現したい

    オニオフリングを作るにあたって、必ず抑えたかったポイントは「玉ねぎが抜けちゃった感」をしっかり再現することだ。

    例えば、紙粘土を丸い輪っかの形に固めて、その一部を切り取り、切り口の入り口付近だけを粘土ナイフなんかを使って玉ねぎの断面の形にくり抜くだけでも、ビジュアル的にはそれらしいものを作ることができるだろう。しかし、衣の内部がぐるっと一周ちゃんと抜けていないオニオフリングなんて、見る者を欺くばかりのまやかしである。紙粘土で再現するにあたっては「逃げ」だと判断した。

    ということで、紙粘土で、ちゃんと中身が玉ねぎの形に抜けたオニオフリングを再現するためにはどうすれば良いかを考えていく。

    まずは実物の観察から。

    オニオンリングはお店によって衣の色や厚さ、パン粉のあるなしなど、変化に富んだビジュアルをしている。私は衣がカリッカリのやつが好きなので、今回は濃いきつね色のものを再現することにした。これを食べられる場所は吉祥寺の「ヴィレッジヴァンガードダイナー」である。

    中の玉ねぎは乳白色で、繊維の色は薄緑色

    そのまま美味しく食べてしまいたい気持ちを堪え、意図的にオニオフリングを作って観察する。

    少しかじって引っ張ると、しっかり火が通った甘い玉ねぎが出てきた。透き通った色を想像していたが、実物はかなり濃いめの乳白色だった。ふだん意識してオニオンリングの玉ねぎをじっくり観察する機会なんてないから、イメージと実物との間に乖離ポイントがあるのだ。

    空洞の様子もしっかり観察しておく

    今回の要となる、玉ねぎをオフしたあとの空洞もしっかり観察する。衣部分は思ったより薄く、玉ねぎが抜けた後はひし形に近い空洞になっている。「なるほど四角形になっているのかぁ!!!」とここでもまた気づきがあった。

    実物の確認が済んだところで、オニオンリングを全て美味しくいただいた。ヴィレヴァンダイナーはオニオンリングはもちろん、ハンバーガーもマジで美味しいので気になる人は行かれたし。

    さぁ、家に帰って制作開始だ!!!

    次ページ:空洞づくりは波乱の連続

  • 引っ越しで「高額な原状回復費用」を請求されたけど、父が弁護士だったから何とかなった

    引っ越しで「高額な原状回復費用」を請求されたけど、父が弁護士だったから何とかなった

    こんにちは、ふ凡社です。

    2023年1月に引っ越しをした。

    引っ越しにあたって、元々住んでいた物件の管理会社から高額の「原状回復費用」を請求された。大変ビックリした。

    「いや、その請求内容はおかしいでしょ」と交渉を試みたが、双方の主張は平行線で埒があかない。さてどうしたものか。

    私は不動産や賃貸周りの知識についててんで素人だが、一つ大きなアドバンテージがあった。

    父が弁護士なのだ。

    奇しくも、秒でアクセスできる一親等に法のプロフェッショナルがいる。「この七光り、今使わなくて、いつ使う」ということで、弁護士ダディの全面サポートを受けつつ「はじめての訴訟」をやることにした。

    結論から言うと、私は父のおかげで高額な支払いを回避することができた。いっぽうで、決着に至るまでの道のりはかなり大変だった。

    この記事は、問題発生からどんな流れを経て裁判にいたり、どんな決着がついたかまでをまとめたレポートである。

    「原状回復費をめぐるトラブル」は、国が解決のためのガイドラインを公に発表しているレベルでとかく頻発している。もしここにたどり着いた人が似たようなシチュエーションに立たされていたとしたら、この記事が一例として参考になれば幸いである。

    あと、書いてみたら2万字超えのはちゃめちゃに長い記事になったので、結論から読みたい人は6ページ目から読んで欲しい。

    とはいえ、あんまりにも長くて「誰が読むんだ」という感じもするので、忙しい現代人に向けたダイジェスト版も公開した。時間はないがアウトラインは知りたい、という人はこちらを参照されたし。

    【ダイジェスト版】引っ越しで「高額な原状回復費用」を請求されたけど、父が弁護士だったから何とかなった

     

    【事前に確認していたトラブル】

    私は件の物件に7年ちょっと住んだ。

    入居当時、物件は新築で、住んでいた部屋は私が入居者第1号だった。つまり、物件の中で発生した傷や破損等のトラブルは全て私の入居中に起きたものである。

    しかし、7年以上も同じ部屋に住んで、何のトラブルもなく完璧な状態で明け渡しできるほうが至難というものだろう。私の場合も御多分に漏れず、退去時点で部屋の各所に破損などのトラブルがいくつか発生していた。

    私のほうで事前に認知していた主なトラブルは、以下の通りだ。

    1、キッチンの床に包丁や食器を落とした時にできた傷が複数箇所ある

    2、ロフトのフローリング全体に「謎の文字のシミ」が浮かび上がっている

    3、冷蔵庫置き場の「巾木」が一部破損している

    4、「照明のリモコン」を紛失しているので新品を買う必要がある

    5、「緊急避難はしご」を破棄したので新品を買う必要がある

    各項目について概要をご説明する。

    キッチンの床の傷

    食器等落としてできた傷であり、こちらは言うまでもなく私の過失である。軽微な傷がメインだが、一部フローリングの板がぺりっとめくれるような凹み傷もあった。

    ロフトのシミ

    ロフトは寝室として使っていたのだが、すのこベッドや置いていたものを全て撤去した段階で、緑色の文字やら記号やらが混じった謎のシミがロフト全体に浮かび上がっていた。

    しかし、入居期間中に文字が裏映りするようなものは設置しておらず、また浮かび上がり方もロフト全体に渡るものだったので、「原因はよくわからないが少なくとも自然発生したものであることだけは確か」だった。

    恐らく、物件を施工した業者が置いていた資材かなんかの文字が裏映りするなどして、経年とともにその部分だけシミの形で浮かび上がったとか、そんなんじゃないかと思う。

    冷蔵庫の巾木

    四方を壁に囲まれた冷蔵庫置き場の巾木の一部が、えぐれるように剥離していた。冷蔵庫を撤去したタイミングで気づいたので、いつ何時、何によって発生したかは不明。

    しかし、外的衝撃が加わった結果生じた剥離であることは明らかだったので、こちらも私の過失であることは間違いない。

    照明リモコン、避難ハシゴ

    照明のリモコンを紛失してしまった。掃除の際に誤ってゴミ袋に入れる等して失くしてしまったものと考えられる。

    避難ハシゴは袋に入ったタイプで、入居中に一時的にベランダに置いていた時期があり、退去の段階で状態を確認したところ、全体が錆びてしまっていたことを確認した。

    「これはどう見ても買い替え必須だな」と判断し、退去前にこちらで破棄。リモコンとあわせて、ハシゴもまた明確に私の過失なので、原状回復費用とともに新品購入費用の請求が発生するものと考えていた。

    【退去の立ち合い時に発覚したトラブル】

    退去日に管理会社の担当者立ち合いのもと部屋の状況をチェックしてもらい、その際に新たに追加で認知したトラブルもあった。

    1、窓枠、ベランダに汚れが残っている

    2、クローゼットの内部が一部剥離している

    窓枠、ベランダの汚れ

    退去にあたり、可能な限り部屋の隅々まできれいにして明け渡したつもりだったが、窓枠の汚れを掃除するのを忘れていた。また、網戸がついてないほうの窓はほとんど空けなかったので、経年の汚れがかなり残ったままだった。これについても完全に私の落ち度である。

    ベランダは、ベランダといっても人が出れるようなものではなく、窓の外に落下防止柵みたいなものものがチョロっと張り出してるだけのスペースである。ここの表面にも一部カビ汚れが発生していた。

    この2点については、担当者は「まぁ通常のクリーニングの範囲で落ちれば大丈夫だと思うけど」と言っていたので、その結果を待つことにした。

    クローゼットの内部剥離

    クローゼットの内部剥離は説明が難しい。

    クローゼットは二段になっていて、上部に物を置ける棚があった。この棚の下部は、クローゼットの壁に沿う形で、棚板を支えるための木材で囲われている。

    この木材の表面をコーティングする素材が、全体的に剥離してボコボコと浮き上がっている、というのだ。

    私は退去の際に担当者に言われてはじめて、この剥離が発生していることを知った。

    なんつったってこの剥離、クローゼットの棚を下からのぞき込む形でしか確認できないのだ。入居中、棚の直下にたくさんのハンガーと衣服がかかっている状況でそんな場所をわざわざのぞき込む訳もない。そもそもそんな箇所に剥離が発生するとはつゆ思わないので、退去前に物を全部撤去した時点でも確認していなかった。

    「さすがにこれに気付くのは無理ゲーでは…」

    という感じだったので、「まぁ原状回復費用で費用を請求されることはなかろう」と思っていた。この剥離が、後に裁判の重要な火種として擦られ続けることも知らず…。

    【数万円戻れば御の字だな、と思っていた】

    退去日に以上のトラブルについて、私と管理会社の担当者双方で確認した上で

    「原状回復費用が確定したら追って連絡する」

    と言われた。

    上記の通り、私のほうでの落ち度がけっこうあった。しかし、ここで確認しておきたいポイントとしては、原状回復の定義は「入居時と同じ状態で明け渡すこと」ではないということ。

    (冒頭でちらっと書いた)国が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、原状回復の定義は

    「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」

    となっている。つまり、入居期間中に普通に部屋を使っているうちに発生する経年劣化などの「通常の損耗」については借主が負担する必要は無いのだ。

    となると、原状回復費用の請求にあたっては、先に述べたトラブルたちが「通常の損耗を越えるかどうか」が判定基準となる。

    そして「通常の損耗を越える」と判断された損失については、入居者が契約時に管理会社に収めていた「敷金」や、退去前に支払っていた家賃などの「預け金」などの合計から差し引くことになる。

    万一、原状回復費用が敷金預け金の合計を上回った場合、差額が借主に請求されることになるわけだ。

    私が管理会社に納めていた金額は、敷金と預け金を合わせると約10万円。明け渡し時に何の過失もなければこの10万円は満額戻ってくるわけだが、既に記載したとおり、明らかに私の過失で発生した損失があるので

    「いろいろ差し引いて数万円くらいは戻って来るかな。最悪差し引きゼロでトントンくらいになる可能性もあるかも…?」

    くらいの予想をしていた。ところが。

    退去後2週間くらいして送られてきた請求書には、「請求額10万円」と書かれていた。え、なんて?????

    トントンどころか、-10万円である。何が起きているのかさっぱり分からなかった。

    【不信感の残る請求内容】

    管理会社が請求してきた、私が負担すべき(らしい)金額の概要は以下の通り。

    ・壁紙クロスの貼替一部負担金 15,000円

    ・キッチンの床傷リペア代 55,000円

    ・冷蔵庫巾木交換代 12,000円

    ・ルームクリーニング代 40,000円

    ・ロフト床の貼替代 19,000円

    ・クローゼット内部剥離補修 25,000円

    ・避難ハシゴ代 20,000円

    ・照明リモコン代 5,000円

    ・諸経費 5,000円

    これらを合計すると、だいたい20万円になる。そこから預け金の10万を差し引いて、「10万の請求ナリ~」という訳だ。

    まず思ったのは、

    「なんか全体的に、高くね?」

    ということだ。リモコン、避難ハシゴの新品交換代はともかく、各トラブルについての補修金額が全体的に想像の倍くらい高い。特に、キッチンフローリングの傷補修が55,000円ってなんだ。

    続いてご注目いただきたいのは、「壁紙クロスの貼替費用(一部)」まで請求されている点だ。

    壁紙クロスは、退去にあたっては全貼替の対応になることが多い。

    ただ、壁紙クロスについてはその性質上、どう扱っても経年劣化するものなので、先のガイドラインではその点を考慮して「壁紙クロスの残存価値は6年で1円になる」と定められている。

    つまり、6年以上住んでいる物件では壁紙の交換費用は本来発生しないはずなのだ。

    これは件のガイドライン内でも有名なポイントで、英語の教科書における「This is a pen」レベルの知識である。もちろん私も退去にあたって事前にガイドラインを参照していたので、「壁紙の劣化は当然考慮に入れなくて大丈夫だな」と思っていた。

    にもかかわらず、普通に一部費用が請求されている。この時点で既に、管理会社に対する不信感はマックスである。

    この1点だけでも「こっちが無知な素人だと思って、いろいろ水増し請求してるんとちゃうか」と思ってしまうのも無理からぬ話ではないか。

    しかし、一点を見てその他の点まで疑うのはご法度。まずやるべきは、詳細の確認である。

    次ページ:泥沼の金額交渉から訴訟での解決を決意するまで

  • 【ダイジェスト版】引っ越しで「高額な原状回復費用」を請求されたけど、父が弁護士だったから何とかなった

    【ダイジェスト版】引っ越しで「高額な原状回復費用」を請求されたけど、父が弁護士だったから何とかなった

    こんにちは、ふ凡社です。

    引っ越しで「高額な原状回復費用」を請求されたけど、父が弁護士だったから何とかなった話

    という記事を公開した。内容はタイトルの通りなのだが、トラブルの発生から裁判による解決までの経緯を細かく書いてみたら、2万字くらいのクソ長記事になってしまった。さすがに

    「日々の暮らしの合間に2万字の記事を読む人間がどこにいるんだ」

    という感じなので、忙しい現代人のためのダイジェスト版をお届けする。

    超おおざっぱなあらすじ

    2023年1月に、7年ちょっと住んだ部屋から引っ越した。

    退去にあたって部屋の中で

    1、キッチンの床に包丁や食器を落とした時にできた傷が複数箇所ある

    2、冷蔵庫置き場の「巾木」が一部破損している

    3、「照明のリモコン」を紛失しているので新品を買う必要がある

    4、「緊急避難はしご」を破棄したので新品を買う必要がある

    5、窓枠、ベランダに汚れが残っている

    6、クローゼットの内部が一部剥離している

    というトラブルが発生していたので、原状回復にかかる費用をある程度請求される覚悟をしていた。

    「契約時に収めた敷金+預け金の合計約10万円で、上手いこと原状回復費用を賄えるといいな」

    と思っていたところ、管理会社から逆に10万円の請求が届いた。

    賄うどころか、大幅に-である。

    しかし、請求された各項目について改めて確認してみると、請求内容に疑問点、不明点が多々あったので、弁護士の父に相談しつつ管理会社と減額の交渉を試みた。

    ところが、管理会社が請求内容についての詳細や、こちら負担になることを示す客観的な根拠・証拠を一向に開示しない。双方の言い分は食い違うばかりで、らちが明かない。

    ということで、法律家である父のサポートを受けつつ「少額訴訟」での決着をつけることにしたわけだ。

    少額訴訟を起こしたところ、管理会社から「少額訴訟から通常訴訟への移行」を求められ、かつ「反訴」までされてしまった。

    「通常訴訟への移行からの反訴、先方はよほど勝算があると見えるな」

    と戦々恐々とするものの、裁判が始まってからもなぜか管理会社から「施工業者の施工内容や、業者とのやり取り」といった詳細な証拠が提出されることなかった。

    結局3回もの口頭弁論を経たのだが、最後の最後まで管理会社から「請求内容の正当性を示す客観的な証拠」が提出されることはなく、証拠不十分のまま和解調停に入った。

    結果、

    管理会社が私に5万円支払う形で和解が成立した。

    -10万円スタートだったのが、5万円の+に転じた決着である。

    ちなみに、預け金10万円のなかから差し引かれた5万円のうち、4万円はルームクリーニング費用、残り1万円が私の過失によって発生した支払いという内訳だった。

    つまり、管理会社からの請求のほとんどは法的には認められなかった形だ。

    実際に裁判をやってみた所感

    大まかな顛末は以上の通りである。

    ネットで調べると

    「引っ越しで高額な原状回復費用を請求されたら、少額訴訟で決着をつけるのもオススメ!」

    的な記事はたくさん出てくるし、実際私もやってみたら高額な支払いを回避することができた、が。

    実際やってみると決着に半年以上かかる長丁場になったし、いろいろチョー大変だった。

    さらに、私の場合は弁護士の父に裁判にあたっての不明点を逐一相談・確認できたからなんとかスムーズに事が運んだものの、

    「現実問題、少額訴訟を専門家のサポートなしで自力でやろうと思うと、かなり大変だろうな」

    というのが正直な感想だった。

    父も「原状回復をめぐるトラブルは、借主側が泣き寝入りすることも非常に多い」と言う。

    一方で、裁判を実際にやったことで

    「借主側のほうである程度非を認めている場合でも、実際の請求内容と法の判断との間にギャップがあるポイントもかなりあるんだな」

    という気づきもあった。

    詳細はクソ長い元記事のほうでご確認いただくとして、もし原状回復をめぐるトラブルに巻き込まれた人は、少しでも疑問があるポイントについては恐れず、落ち着いて詳細を確認していくと解決の糸口が見えてくるのではないかと思う。

    それでも解決が難しかったら、国民生活センターや弁護士など第三者の専門家の助けを借りつつ、次の一手を考えると良いと思う。

  • 18万円のティラノサウルスを買った話

    18万円のティラノサウルスを買った話

    こんばんは、ふ凡社です。

    最近、18万円するティラノサウルスのフィギュアを買った。

    いざ買ってみたら、それはもういろんな意味で大変だったので、せっかくだから記録に残すことにする。みんなが18万円のティラノサウルスを買う時の参考になれば幸いだ。

    「スタチュー」というカテゴリを知っているか

    18万円のティラノサウルスを買うに至った経緯について、少し長いが聞いてほしい。

    時をさかのぼること20数年前、映画『ジュラシック・パーク』をきっかけに、私は恐竜少年になった。そして、恐竜のフィギュアをどんどこ集めるようになった。

    子供の興味は女心と秋の空ほどうつろいやすいが、私の場合はそのまま恐竜成人となり今に至る。

    恐竜フィギュアはピンからキリまでさまざまあるが、中でも憧れは「スタチュー」である。

    「スタチュー」とはフィギュアの1カテゴリで、(日本語訳の「彫像」からなんとなく推測できるように)これらは一般的なフィギュアに比べて高価でデカい傾向にある。

    特に『ジュラシック・パーク』シリーズは世界的人気を誇る作品とあって、これまでもいろんなメーカーがスタチュー化してきた。しかしその多くが10万円~くらいの高価格帯であり、さすがに手を出せずに指をくわえてみているだけだった。

    ところが2018年に、映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が公開され、私はひとつ大きな問題を抱えることになる。同作のキービジュアルにもなった「ティラノサウルスがカルノタウルスを踏んづけながら咆哮するシーン」が、かっこよすぎたのである。

    このシーン(画像はNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンのプレスリリースより)

    映画館で、長年愛し続けてきたティラノサウルスの雄姿に目を奪われた私は

    「このシーンをスタチューにされるとマズい」

    と思った。そして、この懸念が見事に的中したわけだ。

    映画公開から約2年後、同シリーズのスタチューを数多く手がけてきた「プライム1スタジオ」というメーカーが、件の咆哮するティラノサウルスのスタチュー化を発表。私も「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」と咆哮することになった。

    こちらがスタチュー版。あのシーンが完璧に再現されている。(画像はプライム1スタジオのプレスリリースより)

    「20万円を超えなければ買う、超えたらさすがに諦めよう」と決め、正式なリリース情報と価格が明らかになるのを待った。発表された価格が予算をはるかにオーバーしており、うなされる夢を何度も見た(本当よ)。

    最終的に分かったお値段は18万1,390円 (税込)。ここまでくると「良かった、思ったより安い」となっているから人間不思議なもんである。

    支払いが完了したらあとは待つだけ…とはいかない

    高額商品ということもあってか、予約開始から販売までは1年以上の猶予があり、代金は商品発送までに全額支払えばOKというシステムだった。

    「一世一代の買い物だし、せっかくだからニコニコ現金払いで支払おう」

    と決め、「ティラノサウルス基金」をコツコツと積み立てて一括入金。さぁあとは届くのを待つだけ!ルンルン!!…とはいかない。

    商品紹介ページによると、横幅が1m近くもあり、重さも25kgくらいだという。25kgつったら犬でいうとシベリアンハスキーくらいの重さである。

    シベリアンハスキー

    相当なスペースを専有することが予想されるので、ディスプレイ場所を確保することはもちろん、家族やパートナーなど同居人がいる場合は、関係各位に事前に丁寧に説明して理解を得ることが必須。マンションの建設と同じである。

    無事もろもろの根回しを終え、敷地内での「ジュラシック・パーク建設の認可」が降りたところで、次はディスプレイ用の棚を探しにかかる。

    一般的なフィギュア用の陳列棚で、棚板の耐荷重が30kg近くまで大丈夫なものなんてそうそうない。

    そこで、オフィスなどで書類や機械などを置いておく用途に使われる「スチールラック」を導入することにした。フレームが金属製なので堅牢な上、棚板1枚あたり60kgまで耐えられるというからバッチリだ。

    棚板一枚でこのサイズよ

    四苦八苦しながら巨大なスチールラックを組み立て、ここでようやくティラノサウルスを迎える準備が整った。

    ここがジュラシック・パーク建設予定地

    次ページ:波乱だらけの設置編

  • 地味ハロウィン2022「冬虫夏草」はいかにして作られたか

    地味ハロウィン2022「冬虫夏草」はいかにして作られたか

    メリークリスマス!ふ凡社です。

    今年も、デイリーポータルZさん主催の「地味ハロウィン」に参加してきた。

    2017年の初参加から6回目を迎えた今回、私は一つのパラダイムシフトを起こすことに決めた。

    先に結論を申し上げると、今年の仮装は

    「冬虫夏草」

    である。

    なんだこれは

    ここに至るまでにけっこういろんなことがあったので、制作記をお伝えする。

    初の全身仮装

    冬虫夏草とは、簡単に言うと虫に寄生するキノコ※のこと。キノコは成長の過程で最終的に宿主を殺めて成熟する。ものによっては漢方薬としても珍重される。

    ※実際にはキノコだけでなくカビなども含めた「菌類」というカテゴリ。虫以外に寄生するものもある。

    私は地味ハロウィンに、毎年「地味なモノ」を作っては頭に乗せて参加している。

    左から「お客が一口も飲まなかった麦茶(2018)」、「キャッサバ(2019)」、「ピンを抜くゲームのピン(2020)」

    「頭の上に何かを乗せているだけでは仮装と言えないのではないか」

    「本体は飾り」

    等々つっこまれながらも、「これは仮装である」と言い張ってきた、が。

    実は、会場で他の参加者方々のステキな仮装を見るたび「あぁ、わたしも全身の仮装をやってみたい」と思ってはいたのだ。それでも「頭の上に何かを乗せる仮装以外をしたら死ぬ」という念を込めた鎖を心臓に巻いてしまったが故に、実現できずにいた。

    それがどうだろう、冬虫夏草であれば「頭の上に何かを乗せる」という縛りを踏襲しつつも、寄生された本体(私)も含めた全身の仮装ができるではないか。抜け穴、見つけたり!

    かくして、ウッキウキで準備を始めたわけだ。

    日本は冬虫夏草大国だった

    まずは例年通り資料集めから。『冬虫夏草ハンドブック』(文一総合出版)という図鑑を買い、どの冬虫夏草になるかを決める。

    図鑑によると、日本は数百種以上を産出する冬虫夏草大国らしい。

    冬虫夏草と言えば、漢方薬でよく見る「芋虫に細長いキノコがついているやつ」のイメージしか持ってなかった(イラスト参照)が、図鑑を見ればその姿はキノコっぽいものから、ほっそい糸みたいなもの、虫の全身から小さな棘のように発生するものなど実に多様だ。

    フリー素材サイトのイラストも、この形だった

    とりどりの冬虫夏草の中から、頭の上に乗せることを見据えて、ある程度強度が確保でき、かつわかりやすい見た目のものを探す。

    この基準で選んだのは「サナギタケ」。その名の通り、蝶や蛾の蛹(さなぎ)に寄生する冬虫夏草で、鮮やかなオレンジ色をしていてキレイ。冬虫夏草の中でも、日本中で見られるメジャーな存在のようだ。君に決めた。

    ハンドブックのセンターを飾るのがサナギタケ

    サナギタケを探しに秩父へ

    図鑑だけを参考に作ることもできそうだが、どうせならサナギタケの実物を見てみたい。

    『冬虫夏草ハンドブック』には「サナギタケは基本的に夏の時期に発生するが、埼玉では9月くらいにも見られる」との情報があった。また、埼玉県立自然の博物館のHPに発見報告の情報を見たので、同博物館に詳細を問い合わせてみたところ

    ブナ林以外でも発生するようですが、狙って観察するのであれば、6~7月頃にブナ林を歩くようにすると、いずれ出会えるのではないかと思います。

    埼玉県内で比較的アクセスしやすいブナ林は、三峰神社~霧藻ヶ峰あたり

    との回答をいただいた。やはり発生しやすい時期は夏のようだが、図鑑にあった「秋頃も見られる」という情報に望みをかけ、現地に行ってみることに。

    都内から電車とバスに揺られること約3時間、三峰神社の麓に到着。

    神社の周辺から霧藻ヶ峰にかけて登山道になっていて、目当てのブナ林が広がる。

    神社の参拝客たちによる賑わいに背を向け、さっそく入山。

    その日は小雨が降っていて、ブナ林は濃い霧に包まれていた。登山道からはみ出さないよう注意しつつ、周辺の地表にオレンジ色を探す。

    斜面を凝視しながら進む

    ところどころ謎のキノコが生えているのは確認できるものの、ゆけどもゆけどサナギタケらしき姿は見えない。

    謎キノコ1
    謎キノコ2

    たまにサナギタケではないものの、冬虫夏草っぽいやつも見つけたりする。

    冬虫夏草っぽいにょろにょろ
    あれ、なんかこんな冬虫夏草なかったっけ?とハンドブックを確認する。なかった。

    しかしまぁそれにしても…

    霧がスゲェや!!!!!

    あたりはしんと静まり返り、景色は完全に異界。

    たまに登山客とすれ違って挨拶を交わしたりしていなければ、あっという間に山に人間性を吸い取られてしまいそうで怖い。

    入山して1時間くらいでさらに霧が濃くなったので「あ、これ以上は無理だな」と判断。なんの成果も得られないまま、すごすごと退散する運びとなった。

    完全にホラーゲームの絵

    サナギタケ発見、ならず。

    それでも現物を見たい

    それでもサナギタケを諦めきれなかった私は、冬虫夏草を展示してる施設がないか探してみることにした。すると、群馬県立自然史博物館のホームページの収蔵資料情報にサナギタケを発見。

    念のため同博物館にも確認を取ったところ、サナギタケは常設展示されてるとのこと。ビンゴ!

    やってきたぜ群馬県立自然史博物館。

    しばらくティラノサウルスロボや巨大な古生物の骨格など、ド派手な展示が並ぶ館内を楽しみながら歩みを進めるが、冬虫夏草らしき展示物が見当たらない。

    展示順路も終盤に差し掛かり、「本当にあるのかいな」と不安になってきたところ…

    あった!ありました!!冬虫夏草コーナー!!!

    刮目せよ、これがサナギタケだ!!!

    図鑑で見たのとまったく同じビジュアルに感激すると同時に、思ったことがある。

    サナギタケ、ちっちゃ!!!!

    こりゃ見つからねぇわけだ

    サナギ部分を入れても、指の第二関節くらいの大きさしかない。図鑑では接写されていたこともあり、てっきりマイタケくらいの大きさかと思っていたが、全然違った。こんなに小さいんじゃ、仮に三峯神社のブナ林に生えていたとしても絶対見つけられなかったと思う。

    展示ケースにへばりつくようにじっくりと観察して、細部をインプットする。あんまり深刻な顔をしてじっと眺めていたものだから、はたからみたら「親族か誰か冬虫夏草に変えられたんか?」と思われたかもしれない。

    とにもかくにも無事実物を見ることができ、大満足。家に帰ってさっそく制作に入ろうではないか。

    次ページ:いきなり難所

  • TUBEの「夏歌」研究レポート

    TUBEの「夏歌」研究レポート

    イラスト:大田翔

    「夏のアーティストといえば、誰?」

    と日本人1億2550万2000人に尋ねると、

    約1億2550万1900人が「TUBE」と答える。

    私は夏が来るたび「あぁ今年もTUBEの季節だなぁ」と思うのだが、その実特に有名な『あー夏休み』と『シーズン・イン・ザ・サン』の2曲くらいしか聴いたことがない。

    彼らの夏歌をほとんど知らないのに、「TUBEは夏歌をたくさん歌っている」というイメージはしっかり持っているのだ。よく考えたら不思議な話だ。

    そんなことを考えていたら、ふと一つの疑問が浮かんだ。

    「長年夏歌を作り続けていれば、ネタやフレーズを使い尽くしてしまうのではないか」

    TUBEは今年で結成37年。30年以上もずっと夏を歌い続けているわけだから、途方もないことである。彼らはこんなにも長年にわたり「夏のなに」を訴えてきたのか。考え出すと、どうにも気になって眠れやしない。

    「よし、ここらでチョイとTUBEの夏歌にしっかり向き合ってみよう!」

    彼らの夏歌の分析し、レポートを作ることにした。大人の自由研究の始まりである。

    ーおことわりー

    こちらの記事、書いてみたら1万字を越える超大作になってしまった。読むにあたり「ウルトラ長い記事」であることをご了承いただきたい。

    また、今回の研究で作成したTUBE夏歌データをまとめたExcelは、Googleスプレッドシートに移管した。

    URLを共有するので、必要に応じてごらんいただきたい。(見なくとも記事の内容は分かるようになっているので、ご安心を!)

    https://docs.google.com/spreadsheets/d/1oEs3y-Ykxoq1AFkTKfXc1uodunIlwBw0/edit#gid=634868119

    研究の目的3本柱

    TUBEの夏歌を研究するにあたって、3つの目的を定めた。

    1、TUBEが手がけてきた曲の中で、夏歌がどれくらいあるかを調べる

    2、夏歌の中で頻出する言葉やフレーズを集計・分析し、その特徴や傾向を探る

    3、頻出する言葉やフレーズを組み合わせることで、TUBEの夏歌っぽい詩を作ってみる

    この3本を軸に研究を行うことにする。

    ちなみに今回は「原曲を一切聴かない」という縛りを設けた。

    進める中で猛烈に曲を聴きたくなることが予想されるが、今回はあくまで、彼らが紡ぎ出す”詩”にフォーカスした研究にする。元曲の拝聴は、研究が終わってからの楽しみに取っておこう。

    いざ、TUBEの夏へDIVE!

    夏歌の範囲を決めるのが難しいね

    まずは夏歌の割合調査から。

    Wikipediaなどの情報を参考に、これまでリリースされた曲のタイトルをエクセルにリストアップする。

    集計の結果、TUBEがデビューからこれまで手掛けてきた曲は444曲だった。同じ曲のアレンジ版や、他のアーティストに提供したものなどを含めると誤差があると思うが、いったんこれを母数とする。

    続いて、曲の歌詞を調べて内容を確認し「夏歌かそうでないか」で分類してゆく。

    単純明快な作業だと思って始めたが、進めるうちにかなり難しいことに気がついた。というのも、TUBEの夏歌は、ストレートに夏が舞台のものだけでは無いからだ。

    例えば過去の夏を振り返っていたり、別の季節に夏に恋焦がれていたりといった、多様なバリエーションがある。こうなると

    「どこまでを夏歌とするか」

    の線引きを、こちら側で決める必要がありそうだ。

    TUBE「夏歌」認定基準

    あまたの歌詞を見比べ、その傾向から定めたTUBEの「夏歌」認定基準は以下の通りである。

    例えば、『冬の海岸通り』という曲は、タイトル通り冬が舞台の歌である。しかし、この曲の歌い出しは

    君の唇がサヨナラと動くのがこわくてKISSした

    眩しいあの夏追いかけてここまできたけれど

    TUBE『冬の海岸通り』より

    となっており、冒頭から思いっきり夏に思いを馳せている。こんな具合で、夏以外の季節に夏を想ったり、過去の夏を思い出したりしてる曲は夏歌に含めようというわけだ。

    また『セイリング・ラヴ』という曲の中には明確に「夏」という言葉は出てこないが

    ”まぶしげなおまえの焼けた素肌に”

    ”走り出せ銀色の海へと”

    TUBE『セイリング・ラヴ』より

    といった、極めて夏っぽいフレーズが登場する。夏だと断定できる言葉が含まれていなくても「これはもう夏でしょ」と言えるシチュエーションの曲も夏歌としてカウントすることにした。

    常夏の地域が舞台の歌も、厳密にいえば、暦の上では夏以外の季節であることも考えられる(実際『ウルトラバイオレット』という、日本が冬の時期に常夏の国に飛ぶ歌がある)わけだが、これもまぁ夏歌として良いだろう。

    除外する夏歌

    割合としてはかなり少ないが、春夏秋冬、1年をテーマにした曲もいくつかあった。これらについては、夏というワードが登場していたとしても「夏にフォーカスした歌ではない」ことが分かるので、除外とする。

    そのほかの特殊な例としては、例えば『Remember me』という曲には日本語と Englishバージョンがある。こちら日本語版は夏が出てくるが、英語版には出てこない。『Can’t take my eyes off of you (NOB SUMMER)』は名曲『Can’t take my eyes off of you』のカバーで、TUBE版にはSUMMERと銘打ってあるものの、歌詞的には原曲アレンジと変わらないみたいなので、夏歌とはいいがたい。

    こんな具合で、夏判定が微妙な歌は「△」として除外する。

    また、2015年発売の結成30周年アルバム『Your TUBE+My TUBE』は、1枚目が他のアーティストがTUBEをイメージして作った曲、2枚目にTUBEによる楽曲が入っているという特殊な商品だ。こちらの1枚目の曲については、他のアーティストによるものとして今回は除外している。

    次ページ:TUBEの夏歌は何曲あるのか?

  • ヴィレヴァンの閉店セールで「詩人・きむのポストカード」を大量に買った話

    ヴィレヴァンの閉店セールで「詩人・きむのポストカード」を大量に買った話

    ご無沙汰しております、ふ凡社です。

    この記事は、「詩人・きむのポストカード」ドンピシャ世代の私が、当時まったく共感できなかったきむさんの詩と十数年越しに向き合う話である。

    ヴィーナスフォート最終日にヴィレヴァンの90%オフセールに行く

    2022年3月27日、お台場の大型商業施設「ヴィーナスフォート」が営業を終了した。最終営業日、私はヴィレッジヴァンガード(以下ヴィレヴァン)の閉店セールを目指して乗り込んだ。

    なぜならヴィレヴァンは、ヴィーナスフォートの営業終了にあたって、約1か月にわたり全品90%オフという大胆なセールをやっていたからだ。

    最終日に行ったのには理由がある。

    ヴィレヴァンを知る人ならわかると思うが、あの店は人気の商品から「誰が買うんだこんなもの」という謎商品まで詰め込んだ、玉石混交の闇鍋みたいな空間。そんなヴィレヴァンで、90%オフセールの最終日ともあれば、「90%オフでも売れ残る謎商品の魔窟」と化しているに違いないのだ。こんなヴィレヴァンめったに見られるものではないぞ。

    最終日なのに手つかずで残っている棚を発見

    当日、ヴィレヴァンの商品棚からは商品がごっそりと捌け、ところどころに売れ残った商品がなんでんかんでん混ぜこぜで積まれていた。もはや「陳列・整頓・分別」の概念を失ったガレージセール状態である。

    主要な棚は空っぽに

    商品の残った箇所を一つ一つ見ていくと、想像通り、目ぼしいものが全然見あたらないステキ空間が広がっていた。残っていた主な商品は

    ・古い型のスマホケース

    ・アイドルやアニメのグッズ

    ・アニメやアーティストのコラボTシャツ

    ・激安の靴や衣類

    といったものだった。もともと激安だった商品を除いては、一部のファンやユーザーにしか刺さらないピンポイントな商品が残ったようだ。中には数年前までは飛ぶ鳥を落とす勢いで売れていたアニメやアイドルのグッズもあり、流行りすたりのサイクルの早さをしみじみと感じた。

    せっかくだから、何か買って帰りたい。でも、マジで欲しいものが見つからない。どこか、どこかに私にピンポイントで刺さる商品が残っていないか。すがる思いで探していると、ほぼ手付かずで商品が残っている不思議な棚を見つけた。ポストカードの棚である。

    「何がこんなに残ってるんだ…あぁっ!!!!!」

    近寄ってみて、私は悲鳴を上げた。

    「詩人・きむのポストカードだ!!!!!」

    説明しよう。詩人・きむのポストカード(以下、きむのポストカード)とは、エモい写真をバックに、詩人の“きむ”さんが綴ったエモい詩を印刷した、エモいポストカードである。

    2000年代の初めくらいにそれはもう大ヒットし、当時ヴィレヴァンはもちろん、若者向けのショップには必ずと言っていいほど置いてあった。

    当時小中学生くらいだった私は、そんなきむのポストカードを……心から敬遠していた。典型的な日陰の思春期を過ごしていた私は、きむさんが発信する眩しすぎる作品を直視できなかったのだ。

    そんなきむのポストカードが、棚いっぱい残っている。しかも90%オフ。私は思った。

    「これが、きむのポストカードと正面から向き合う最後のチャンスかもしれない」

    抜けども抜けども新しいカードが出てくる

    私は意を決し、棚に残っているカードを片端からピックアップしていった。とにかく種類が多いもんだから、棚から抜けども抜けども、サメの歯のように新しいカードが出てくる。

    きむのポストカードだ!あ、これもきむのポストカード!こっちも、こっちもだ!!

    「棚に残っているカードを全種類買ってやる」という野望を早々にあきらめた私は、気が済むまでカードをピックアップすることにした。

    購入したカードがこちら↓

    大量大量。手書きの文を誰かに送る機会がめっきり少なくなった昨今、これだけあれば、きむのポストカードだけで一生分のはがきを賄えるのではないかと思うくらいには集まった。

    値段は1枚165円。これが90%オフだから16.5円。これだけ集めても、きっとお値段は相当に安いだろう。ほくほく顔でレジに向かったところ、合計金額はなんと2000円くらいだった。え、なんで!?

    よくよく確認したところ、ある見落としをしていたことに気づいた。こちらのパックをご覧いただきたい。

    フィルムケースに書かれた不自然な数字に注目

    165円の値段の横に、「16」の文字。これなんと、「同じカードが16枚まとまってますよ」というサインだったのだ。いや、わかるかい!!!!

    「束になってるやつは、とりわけ在庫があったから安いんだろうな」なんて思っていたが、そんなことはなかった。きっちり16枚分の値段が加算されていたのである。

    思わぬトラップにずっこけたが、でもいいんだ。大人の私には決して買えない値段ではない。90%オフの大人買いを甘んじて受け入れて、ヴィレヴァンを後にした。

    購入目録

    購入したきむのポストカードは、大きく分けて3種類の販売タイプがあった。

    ・単発カード

    ・激渋まとめ買いセット

    ・ランダムブースターパック

    「単発カード」は、その名の通り1枚だけで売られているもの。単純にフィルムケースに入れられているだけのものと、「○○なあなたへ」みたいな感じでフィルムケースにテーマが書かれているものとがある。購入後に数えたところ、これが32枚あった。

    テーマ付きの例

    「激渋まとめ買いセット」は先述の、同じカードが何枚も入ってるやつである。

    数字の数だけ同じカードが入っている。うっかり7種も買ってしまったことが悔やまれる

    「ランダムブースターパック」は、種類が異なるカードが6枚入っている。先述の「激渋まとめ買いセット」を見た後だったので、「そうそう、本来まとめ買いパックってのはバラエティ豊かに入ってるもんだよなぁ」と思いながら開封したところ、いくつかのセット内で、6枚の中にもダブりがあるものを発見してしまった。

    これはダブりが無いセットの例

    きむのポストカードにはそりゃもうたっくさん種類があるのに、6枚セットの中にダブりを入れてくるなんて「人の心とかないんか?」とちょっと思ってしまった。

    そのほか「がんばれ受験生!」「心躍る仲間へ」という異なるテーマのケースの中に同じカードが入っていたり、背景の写真が変えただけの同じ詩カードがあったりと、一消費者として販売方法にいくつか疑問が残るポイントはあるものの、それは詩本体の評価には一切関係のないことなので置いておこう。

    さぁ準備は整った。いざ、きむさんの詩に向き合っていこうではないか。

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