頻出ワードランキングを作る
2年目の7月、やり残した宿題よろしく頭の片隅でチラついていた「TUBEの夏」に再び飛び込んだ。
前年やり残していた詩の分解の続きから始め、そこからさらに1か月費やして、ようやく詩の分解が終わった。集計に費やしたセルは実に16,075個。正気の沙汰ではない。日本広しといえど、これほどまでに縦に長いエクセルはそうそうないだろう。
いよいよ手打ちした詩のデータを集計し、TUBE頻出ワードランキングを作っていく。
集計の第一手は、とりあえずすべてのセルを50音順で並び替えてみることから。これで、ざっくりと同じワードをまとめることができる。
50音順で並べたデータは多い順ではない(当たり前体操)ので、ここからランキングを作るためには、どの言葉がどれくらいのボリュームで使われているかを集計し、多い順に並べる必要がある。どうすればいいか。
手打ちだ。頻出するワードを数えて、手打ちで記録・分類するのだ。
重複の感覚値がつかめないので、とりあえず「3件以上重複しているワード」を基準に記録を取っていくことに。例えば「Tシャツ」が含まれるセルが7個あれば、隣の列に「7 Tシャツ」といった具合にチクチクと記録していくのだ。
上から数えていく中で「この言葉はもっとあると思ったけど、意外と少ないな」と予想との差が見えたり、1桁の重複が続く中に突如100件以上重複しているワードが出てきてテンションがあがったりする。鉱脈探しみたいで楽しい。
頻出ワードランキングTOP10!
2週間くらいかけてチクチクと集計した結果、3件以上重複しているワードは900種類以上あった。多いわ。
流石にランキングを900位まで作るわけにはいかないので、上位「1位~30位」まで集計する。まずは「TUBEの夏歌頻出ワードTOP10」、とくと御覧じろ!!!!
11位~30位は以下の通り。
なるほどなるほどなるほど。
ランキングの中から、特筆すべきポイントを抜き出して分析してみよう。
1位は「君」
頻出ワードランキング、1位はやっぱり夏…ではなく、「君」だった。
たいていの歌は誰かに向けて作られたものなので、当然と言えば当然の結果である。
「君」だけでが391件とダントツ1位なのだが、そのほかの二人称ワードも含めるとその数はさらに増える。「あなた」が39件、「キミ」が8件、「あんた」が3件。英語の「you」は135件。合計すると576件にもなるのだ。まさに君づくし。
ちなみに、↑の「君」391件は「君は」「君に」「君を」といった、いろんな助詞を含めた結果である。特筆して多かったのは「君の」というフレーズで、これが85件もあった。「君の」の後にどんな言葉が頻繁にくっついているかも調べてみよう。
ぱっと見バラけていて、何かが突出して多いという印象ではないが、よく見ると「笑顔」「瞳」「涙」「横顔」「顔」と顔に関する言葉が大きな割合を占めている。TUBE、君の顔を見がち。
なんてったって「夏」
2位は、やってきました、「夏」!!!!!
日本語の「夏」だけで377回、「Summer」が33回、「サマー」2回、激レアな「N・A・T・S・U」といった言い方を変えた別バージョンまで含めると、夏そのものを示す言葉が413件も観測された。
ここでちょっと立ち止まって考えてもみてほしい。1位が「君」だったということは、2位、3位と続いて、人称やこそあど言葉など、日本語的に頻繁に使われる言葉が上位に並ぶ可能性のほうが圧倒的に高いはずだ。それらを差し置いて、2位に夏。マジで凄くないか。
TUBEは、まさに「夏のアーティスト」なのだ。
「夏の○○」のバリエーション
夏の使われ方の中でも特に多かったのが「夏の○○」という表現で、これがなんと142件もあった。どんな単語が夏にくっつきがちなのかも集計してみたところ、上位は以下のように。
一番多い「夏の日」でも10件。もっとたくさん被っているワードがありそうな気がしたが、予想以上に少ない。反対に、142件中1回しか登場していない「夏の○○」は71件もある。
つまり、TUBEの「夏の○○」は相当バリエーション豊かと言える。
「あの夏」は思ったより少ない?と思いきや
歌詞分解の段階で、夏関連の言葉の中でも上位に来るだろうと予想していたのが「あの夏」。集計してみると、登場回数は30件だった。1件「あの頃の夏」があるが、こちらも含め31件としてよいだろう。
数字で見ると思ったより控え目な感じもするが、「あの夏」が出てくる曲は30曲、うちタイトルにも「あの夏」が使われている曲が4曲もある。これを踏まえると、やはりかなりの頻度で「あの夏」が登場していると言えるのではないか。
こんな感じで単にワードの登場回数だけでなく、ワードに関連する要素なども含めて柔軟に分析していたら、2年目の夏が終わった。
足りない、嗚呼TUBEの夏を分析するための夏が足りなすぎる。
3年目の夏に突入
2022年7月、TUBEの夏歌と向き合いはじめて3度目の夏がやってきた。昨年は頻出ワード分析から再開する。
とはいえ、1位から30位まで全てとりあげて行っていたらそれこそ人生の夏が終わっちゃいそうなので、特筆すべきポイントをピックアップしてお届けする。
恋と愛とラブソング率
頻出ワードランキング、3位は「恋」で219件、そして一個挟んで5位に「愛」が173件。愛については、英語の「love」の78件も含めると251件になるから、実質トップ3に食い込んでいるといってよいだろう。さらに、恋愛の関連ワードとして「好き・スキ」が70件。
これをみるにつけても、TUBEの夏歌のラブソング率が異常に高いことが予想される。果たして本当にそうなのか。これも調べましたよ、奥さん。
夏歌250曲の歌詞全体を見直し、「恋に関わる歌(失恋含む)かそうでないか」に分けてみたところ、うち191曲が恋愛に関わる歌だった。実に夏歌の75%近く、恋か愛か失恋を歌っているのだ。
ちなみに191曲は、判定が微妙な曲は除いた結果だ。
例えば、「Bravo!」という歌は基本的にはサンバで盛り上がっている内容なのだが、中には”恋も愛も溶けて”というフレーズが入っている。こんな具合に、主題ではないものの恋や愛要素も微妙に含まれている歌もかなりある。これらも含めると、ラブソング率はさらに増えるだろう。
夏と恋と愛に生きる歌手、TUBE。
恋や愛に関する言葉は、意味的にそれ単体で完結しているケースが多い。そのため、他のワードとの関連性などの掘り下げる余地はあまりなさそうだ。
強いて言えば、全体の中でも割合が多かった、「恋の」「愛の」というフレーズのあとにどんな単語がくっついているかが気になる。集計した結果がこちら。
恋の〇〇、愛の〇〇ともに被りがほとんどなく、こちらもまあバリエーション豊かだ。
個人的には、「恋のサーキットcity」がお気に入り。「うーん、ここまさに恋のサーキットcityだな!!!!」といった文脈で、いつか使う日が来るといいなと思う。
TUBEはだいたい海にいる
夏と言えば海。当然夏歌を歌い続けてきたTUBEにとっても、海は切っても切り離せない存在である。歌詞を分析してる間の体感としては「TUBE、マジで夏はほとんど海にいるんじゃないか」と思うほど海要素が登場する機会が多かった。
海関連の言葉の集計と分析に入る前に、海が舞台、もしくはモチーフにした「海ソング」の割合はどれくらいあるのかを見てみよう。先のラブソング率と同じ要領で、歌詞の中に海に関連する言葉が登場する曲を振り分けてみる。
結果、夏歌250曲中、海ソングは156曲もあった。夏歌全体の実に60%以上が海。なんの因果か、地球全体の面積における海の割合に迫る勢いではないか。
海ソングを大別すると、実際に海にいる「海が舞台の曲」、海にはいないけど海に思いを馳せている「海を想う曲」、比ゆ的に海に関する表現を取り入れた「比ゆ的な海の曲」の3種類に分けられる。
割合でいうと、海ソング156曲中、海が舞台の曲が124曲と圧倒的。海を想う曲・比ゆ的な海はともに16曲だった。ほとんど、とまではいかないが「TUBEは夏、だいたい海にいる」といって差支えなかろう。
海ソングの割合が分かったところで、海に関する言葉の集計に入る。
シンプルに海そのものを示す言葉の数は、「海」だけで114件、Seaが21件、Oceanが7件で計142件。さらに「海風」や「seaside」など海がくっつく言葉が32件。
そのほか、浜辺、砂浜、サーフィンといった海の関連語が無数に登場する。先の海ソング率を調べる際、海に関連するキーワードも同時に書き出した結果がこちら。
海そのものを表す言葉
海、sea、オーシャン(ocean)
海の景色
ビーチ(beach)、シーサイド(seaside)、入江、ラグーン、岸辺、沖、砂浜、浜辺、磯、海岸、水平線(ホライズン)、波打ち際、岬
海で起きる自然現象
潮、潮風、潮騒、なぎ
海でのアクティビティ
サーフィン(surfin)、サーファー(surfer)、サーフボード(surfboard)、
波乗り、cruise、ヨット、マリーナ、ウェットスーツ、航路、sail away、海パン
その他
海鳥、オペラハウス、珊瑚、太平洋、テトラポット
ビーチ、渚、砂浜など海周辺を表す言葉が78件。海と切っても切り離せない「波」と「潮」に関する言葉が138件。海に関する主だった言葉たちだけでも400件近くある。
ここにさらに、凪などの登場頻度が少ない言葉、サーフィンなどのアクティビティ関連の言葉、海でしか見られない生き物・施設・乗り物なども含めるとどうなるか。
関連語も全部ひっくるめたランキングを作ったとしたら、ほぼ間違いなく、海関連のワードがトップに食い込むことが予想される。
夏と恋と愛と海に生きる歌手、TUBE
あの○○
「あの○○」の形を取る言葉は、全部で135件あった。その中から多かったものを並べると、最も多かったのが「あの頃」で31件、「あの夏」が30件、「あの日」が24件、「あの娘」が17件だ。夏の項目で述べた「あの夏」は、複合技の「あの頃の夏」もカウントすると31件になるので、あの頃と合わせて同列一位だ。
さらに言うと、TUBEの歌に出てくる「あの頃」にしたって、前後の文脈を見ると夏の季節を指している可能性が高い。ここまではさすがに調べていないが、やはり「あの夏」の登場回数は多いのだ。
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はじめまして。
いや~、素晴らしい!感慨深いですねえ。
永久保存版にしたいですね。こりゃ。
最後の歌詞なんて、そのままいただきましょうか、なんて、ほんとTUBEそのものですわ。
2022年9月3日のハマスタライブ、どこかで観てるんでしょうなあ。
いや~、読み応えありましたね。
最高です!
あ、私もTUBEファンでございます。
おきた様
コメントありがとうございます!最後の歌詞は「ファンの方から見たらお粗末なものかもしれない」と半ば恐れながら作ったので、そう言っていただけて本当にうれしいです!ハマスタライブを前にドキドキが止まりません
TUBEファンです。
研究(宿題)読ませて頂きました。
TUBEファンとしてはとても興味深い内容でした‼️
本当に大変な作業だったと思います
実際に曲自体を聴いてどう感じたか…気になる。
私も野外参加します
一緒にライブ楽しみましょう❣️
夏子様
コメントありがとうございます!CDを聴いただけで感動に打ち震えているので、いきなりLIVEに行って心は耐えられるだろうかとやや心配なくらいです(笑)夏子様も行かれるとのこと、楽しい時間になること祈っています!
ふ凡社さま
昨日朝こちらにたどり着き食い入るように読みました!三年ですか!お疲れ様でした!
きっとTUBEのメンバーさえも気づいていないだろう考察。なかでも【TUBE節】にはうなずきながら拝見しました~
明日は三年ぶりね横スタです(^-^)お互いに楽しみましょう~
うさお様
コメントありがとうございます!読んでくださったファンの方からも「TUBE節」について共感の反応いくつかいただいていまして、やっぱりファンの方もなんとなく「TUBE節」の存在を感じていた方がいらっしゃったのだなと思いました。LIVEにも行かれるとのことで、一緒に楽しめると良いなと思います!
ふ凡社 鈴木様
はじめまして!シェアさせていただきました牛島です‼️
チューブから来ましたが口紅平家物語やらクルトンやら、底なし沼な世界なのでこれから楽しみに拝読させていただきます!
9/3楽しみです!
牛島様
コメントくださり、またシェアもしていただき感謝申し上げます!
他の記事にも興味を持っていただけたこと大変うれしく思います。好奇心に任せて変なことばかりやっているブログではございますが、よろしければ今後ともどうぞよろしくお願いします!
感動しました。
明日(9月3日)、横浜スタジアムにてお会いしたいですね。
お作り頂いた「TUBEっぽい詩」は本当にTUBEっぽい感じがしましたが、何故か頭に浮かんでくるフシがワンサカ娘の「レナウンの唄」だったりして、もうそれ以外思いつかなくなってしまった(笑)。
今後のご活躍をお祈り申し上げます。
TUBEの歌詞についての考察は、過去に「夏」や「海」などの言葉に注目したものはあったものの、あの夏~系のものを夏の歌とするかや、言い回しについて扱うものは初めて拝見しました。
大変な作業だったと思われます。お疲れさまでした。
ところで、『Purity~ピュアティ~』は1997年の楽曲です。
お節介ですみませんが訂正していただきたく思います。
ぜひこれからは、歌詞だけでなく前田亘輝のボーカルとメンバーのサウンドが一体となった楽曲をお楽しみください。
サマー・ボーヤ様
コメントくださりありがとうございます!また、『Purity~ピュアティ~』のリリース年が間違っていたこと、大変失礼頂きました。修正いたしました。ご指摘いただき有難うございます!
これから、記事の答え合わせをするような気持ちで、TUBEのサウンドを楽しみたいと思います!
すごい研究レポートです!
お疲れ様でした。
TUBEファンでもなかなかここまでできないと思います。
横浜スタジアムライブの感想も、どこかで書いてください。
酒林朱夏様
コメントくださりありがとうございます!
スタジアムライブも本当に素晴らしく、改めて感想を追記させていただきました。こちらも機会あればぜひご覧いただければと思います!
はじめまして。
とっても感慨深いレポート、拝見しました。
私より全然ファンになってませんか?(o^-^o)
いつか私たち仲間とも交流を持っていただけると嬉しいです。
もう、みんな会えるのを待っています
ライブも参加して楽しめたようで一緒に感動してくださってるようで嬉しいです