どうも、ふ凡社鈴木です。
この記事は、『鬼滅の刃』を見たくない友人に対して「鬼滅を1回見つけるごとに100円あげたらどうなるか」という社会実験を試みたレポートである。
てこでも鬼滅をみたくない男
2020年、『鬼滅の刃』は非の打ち所がないほどに流行った。
ニュースは連日鬼滅関連のトピックを伝え、街中には鬼滅関連のアイテムが溢れかえり、公開された映画は多くの人の心を震わせ、興行収入歴代1位を塗り替えるという快挙を達成した。
一方で、当然ながら国民全員が鬼滅を履修している訳ではなく、選択的に「鬼滅を読まない」と決めた人もいる。
友人のりばすと氏もその1人だ。
12月23日、Twitterのタイムラインに、りばすと氏による以下のようなツイートが流れてきた。
鬼滅の刃をテレビでゴリ押しされるのイヤイヤ期なんだけど、昨日ひっさしぶりに高校生クイズつけてみたらドンピシャで鬼滅の刃知識クイズやってて泣いてしまった
— りばすと (@Dash_Kojima) December 12, 2020
逆張りクソオタクのりばすと氏は、鬼滅の社会的影響が大きすぎるが故に己の内なる天邪鬼が発動、「テコでも鬼滅を見たくないモード」に入ってしまったのだ。
たしかに。この1年、鬼滅に関する情報を1度もみずに一日を過ごすのは至難の業だったことだろう。鬼滅を読んでいない人が、外部から鬼滅を履修するよう圧力をかけられる事態が多発し「キメハラ」という言葉も生まれたくらいだ。りばすと氏の苦労が偲ばれる。
ふ凡社鈴木は鬼滅が大好きなので、そんな無駄な抵抗に日々神経をすり減らすりばすと氏を憐れむとともに「もう鬼滅を読んで楽になっちゃえばいいじゃん」とたびたび勧誘してきた。ごりっごりのキメハラである。
当たり前だが勧誘すればするほどりばすと氏の心は頑なに閉ざすばかり。心の城の堅牢っぷりったるや、無限城の如しという感じである。
「逆鬼滅の刃チャレンジ」の逆をやる
もはやりばすと氏を鬼滅に勧誘することはあきらめたが、最近彼が以下のようなツイートをしているのを見かけた。
天邪鬼な逆張りクソオタクなので数日前から「鬼滅の刃ないしその関連単語を一度も認識せずに1日を過ごせるか」という逆鬼滅の刃チャレンジをしているのですが、今のところ全戦全敗です
— りばすと (@Dash_Kojima) December 23, 2020
なるほど、鬼滅を一日も見ない「逆鬼滅の刃チャレンジ」か。何が彼をここまで頑なにしたのかはもはや問うまいが、ここで一つ興味が湧いた。
「じゃあ、逆に鬼滅関連の情報を見つけるたびに報酬が発生するとしたら、りばすと氏の心にどんな変化が起きるのか?」
逆鬼滅チャレンジの逆である。毒に毒を重ねることで毒が裏返ったりしないだろうか。
やってみたい。勧誘とかそんなのは一旦おいておいて、純粋に実験としてやってみたい。タモリさん、これってトリビアになりませんか?
ダメもとでりばすと氏に「りばすと、お前もモルモットにならないか」と実験への参加を打診してみたところ、まさかのOKが出た。
かくして、一大コンテンツと逆張り天邪鬼による奇跡の邂逅が実現したのである。
鬼滅探しのルールを説明するぜ
鬼滅探しの旅、ルールは以下の通りだ。
1、時間は1日、外出してから帰宅するまで
2、鬼滅関連のコンテンツを見つけたらLINEで鈴木に報告、その場で判定
3、公式コンテンツは1個100円、非公式コンテンツは1個200円報酬が発生する
4、1カ所につき1個カウント
5、1日の予定の中でふと見つけたものだけを加算
3について、「非公式コンテンツ」とは、店頭の手書きPOPなど、個人の手で作られた鬼滅関連アイテムのことを指す。
4について、例えば鬼滅関連のグッズが複数集まったコーナーなどを見つけた場合、その場にあるアイテムごとに加算するのではなく、ブロックで1カウントとする。
5について、鬼滅関連の情報を探すことを「行動の主たる目的にしない」という制限を設けた。ポイントを稼ぐため探そうと思えば、マジで報酬が青天井になることが予想されるからだ。
あくまで、「普通に生活している中でどれくらい鬼滅にエンカウントするか」という趣旨にのっとってやってもらうことにした。
さぁ、この条件でりばすと氏はいったいいくつの鬼滅に出会うのか。彼の内に何が起きるのか。
出かける前から鬼滅
年末の某日、りばすと氏による鬼滅探しの一日がスタートした。
さぁ1発目はどこで見つけるかしら、と思ったら、秒で報告が来た。鬼滅の主人公、炭治郎の声を務める声優・花江夏樹さんをテレビで見たそうだ。なるほど、メディアでの遭遇パターンもあるのか。
家を出る前からいきなり”1滅”獲得だ。そこから外出20分くらいで、また通知がピロリ。
なんと、外出1発目から非公式が飛び出した。確たる情報は一切書かれていないが、これはもう間違いない。
その後も、出るわ出るわの発見報告。
もうほんとうに、街中どこに行っても鬼滅にあたるのだ。ここで、りばすと氏が「なぜ鬼滅に囲まれているように感じるのか」について一言。
電気屋では、同じ建物の中でも鬼滅コーナーが点在していたという。
当たり前と言えば当たり前だが、狭い空間のなかで複数の鬼滅関連の情報が展開されている、という現象がそこかしこで起きているがゆえに、鬼滅を読まない人にとっては「世界が鬼滅に包囲されている」という錯覚を覚えてしまうのかもしれない。
ある種、血気術のような感じなのだろう。
血鬼術にあてられたりばすと氏はその後、鬼滅以外の情報も鬼滅に見えてしまう現象がちょいちょい発現することになる。
りばすと氏はその後も、順調に鬼滅とのエンカウントを重ねていく。
ブーブー言いながらも律義に鬼滅を見つけてくれるりばすと氏。そうこうしている間に、獲得報酬は1000円を超えた。
結局、トータルで何滅稼いだのか
鬼滅をみない人による鬼滅探しの旅は、いよいよ大詰め。
そして、ついに迎えた最終局面。ラストは意外な2滅だった。
いや、クオリティ雑か!!!!!!!!!
素晴らしい、マジで一日鬼滅だらけだった。「注意して探してみたら案外エンカウント数少ないかも?」と心配していたが、杞憂だった。冨岡杞憂だ。
結果発表!いったい何滅稼いだのか
さて、りばすと氏が稼いだ報酬を計算してみよう。
- 朝のテレビ→1滅
- Twitter広告×2→2滅
- 手書きPOP×2(煉獄さん保険、靴下)→4滅
- クレーンゲーム→1滅
- 音ゲー→1滅
- 売り場×3(ヨドバシ・ロフト・鬼ディーランド)→3滅
- 鬼滅迷子の女の子→1滅(ボーナス)
- 自販機→1滅
- 居酒屋の雑岡義勇→2滅
計16滅、値にして1600円の獲得ナリ。
なんだろう、もっとこう、報酬が出ることでりばすと氏の鬼滅に対する姿勢が少しは懐柔するかと思ったが、びっくりするほど仏頂面だった。
りばすと氏に感想をインタビューする
さぁ、りばすと氏に今回の感想を聞いてみよう。
鈴木:どうでした、今回鬼滅を自ら探しに行ってみて
りばすと:なんとなく鬼滅がありそうだな、と予感した場所は大丈夫だったんですが、予想外のところでエンカウントする「不意打ち滅」に出くわした時はかなり気が滅入りましたね
鈴木:1回につき100円も貰えるのに?
りばすと:報酬がもらえるとしても…いや、1回につき100円もらえるな、と思って探している自分は正直いました
鈴木:心のどこかに?
りばすと:はい、心のどこかに(笑)予想した先で鬼滅を見つけた時は、ポイント稼ぎ的な意味でやったね!ってちょっと思いましたけど、予想してない時にやって来る鬼滅はやはり「滅」の気持ちになりましたね
うん、なるほどなるほど。やはり報酬系が刺激されるからとて、りばすと氏の鬼滅に対する頑なな気持ちが大きく変わることはなかった。
でもいいのだ、この企画は、あくまでりばすと氏の心に変化が起きるかどうかという事実を確認することが主であり、彼に鬼滅を好きになってもらうことが目的ではないのだから。
鈴木:やはり、ダメなものは駄目だったんですね。
りばすと:うん、そうですね。でも実は私…
鈴木:うん
りばすと:その翌日、映画を観に行きました
鈴木:マジで!?!?!?!?!?なんで!?!?!?!?
鈴木:しかも、本編未履修だったんでしょ?
りばすと:うん。そうですね。
分からない。何を言っているかさっぱり分からない。たとえ地球が反対にまわっても、りばすと氏が鬼滅を履修することはないだろう、と思っていたのに。いったい何が起きている。
鈴木:えっ、でっ、どうだったの?
りばすと:いやぁ、面白かったっすね。煉獄さんめっちゃカッコよかったな
鈴木:wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
完全に懐柔されているじゃねぇか。りばすと氏いわく、映画は漫画やアニメ本編を履修していない初心者の人でも楽しめるような工夫がなされていて、大変良かったという。今までのやり取りはいったい何だったんだ。
鈴木:てことは、鬼滅に対する心象はもう・・・?
りばすと:だいぶ良くなりましたよね。煉獄さんかっこいいなって。アニメも2クール目から見ようと思いました
鈴木:それでも1クール目は復習しないんだ
りばすと:はい、映画でだいたいこれまでの流れ分かったんで、2クール目からで大丈夫です
【結論】
鬼滅を見たくない人は、報酬アリで鬼滅を探すと1日1600円獲得し、その後映画を観たくなる
こうして、世界にまたひとつ新たなトリビアが生まれた。
まさか、最後りばすと氏が映画を観に行くエンドになるとは塵ほども想像していなかった。マジで、それくらい幾度となくキメハラを撥ねつけられてきたのだ。まさに「よもやよもや」である。
年の瀬の忙しい時期に、意味不明な企画に乗ってくれたりばすと氏に心より感謝を申し上げるとともに、今後の彼の鬼滅に対するスタンスの変化を引き続き追っていきたい。
それでは皆さん、良いお年を!
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