「TUBE節」も見えてきたネ
これまで単語レベルの集計結果を見てきたが、TUBEの夏歌を分析する過程で、研究の解像度をさらに上げる重要な要素を見つけた。それが「TUBE節」だ。
TUBE節とは、TUBEの夏歌の中に登場する、独特の言い回しというか、特定の構造を持つフレーズたちのことである。
頻出ワードランキングは単語単位の記録なので、それを眺めるだけでは「TUBEの夏の空気感」がなかなか見えてこない。このあたりもカバーするためには、TUBE節にスポットを当てるのが必須だ。
歌詞の分析をする作業の中で「このパターン良く出てくるな」と感じたものを別途書き留めておいた。注目すべきTUBE節をいくつか見て行こう。
「〇〇して××して」
TUBEの夏歌には、意味や音的に対となる2つのフレーズを並べる構文が頻繁に登場する。
例えば「求めて奪って」「寄せて上げて」といったものだ。集計してみたら、これが予想をはるかに超えてたくさんあり、かつバリエーションも豊富であることが分かった。一覧をご覧いただきたい。
見てくれこのボリューム。実に味わい深くないか。
何が、とは言葉に表せないのだが、この一覧に「TUBEっぽさ」凝縮されている気がする。
「泣いて笑って恋する」を見て「3連キタ!」とテンションアップ。そこからさらに「流れる星に祈ったり 流した汗に誓ったり」や「揉んじゃってそれが青春 なんちゃってテレる君」なんて複雑なパターンが登場した日にゃ「もう、やりすぎだよぉ~!!!」と思いながらもニヤニヤが止まらない。
『燃える煙るモナムール』という、タイトルにまで「○○して××する」構文が取り入れられた曲に至っては、1曲の中に5種類もこの構文が登場する。失禁モノである。
「○○も××も」
前段の「○○して××して」と同じ系列で「○○も××も」構文も頻出。先の構文が主に「行為」を伴う形だったのに対し、こちらは「名詞」を並べるのが多い。
『めぐりくるSeason』という曲の中に「涙も笑顔も太陽も君も」が出てきた時に「すげぇ、ついに4つが出てきた!これが最高記録だろうなぁ」と思った。ところが『恋のMagma』で再び4連続が登場。
さらに1997年※にリリースされた『Purity~ピュアティー~』中には
「大人・子供 男と女 山と森と川と湖」
とあり、「○○も××も」構文は極みに到達する。ここまでくると「ちょっと!さすがにやりすぎだよぉ~!!!」と思いながらもやはりニヤニヤが止まらない。
※コメントをいただき、『Purity~ピュアティー~』は当初書いていた「2003年」ではなく、1997年リリースの誤りであることが分かりました。お詫びして訂正します。
「〇〇よな」
TUBEは、「ような」を「よな」と略しがちである。「燃えるような→燃えるよな」「溶けちゃうような→溶けちゃうよな」といった具合。
集計してみると「とろけちゃうよな」が特にお気に入りのようだ。
もちろん、普通の「ように、ような」も頻出(70件近くあった)していて、割合としては「よな」率はそこまで高くなかった。それでも歌詞の中に「よな」を見つけると「おっ、やっぱTUBEは”よな”だよな」と思っちゃう不思議な存在感がある。
「だね・よね・いね」
私が最初に聞いたTUBEの曲『あー夏休み』の中には、”一度お願いしたいね”というフレーズが出てくる。はじめて聴いたとき「粋でおちゃらけた、良い意味で小憎らしい感じがするな」と思った。
TUBEの夏歌の中には、このように語尾を「ね」にするパターンがたくさん登場する。代表的なものが「○○だね」「○○よね」「○○いね」の3種だ。集計してまとめたものがこちら。
「ね」を語尾にすると、誰かに優しく呼びかけるような親しみやすさが出る。この言い回しもまた、「TUBEっぽさ」を醸し出す重要なファクターと言えよう。
TUBEっぽい擬音たち
TUBEの夏歌の中には、さまざまな擬音が登場する。「ハラハラ」「ドキドキ」といったオーソドックスなものだけでなく、あまり耳慣れない、されどTUBEは頻繁に使っている気がする擬音がある。
代表的なものを紹介しよう。
これらの擬音たちは、TUBEの夏歌の中でも特にテンションの高い曲の中で多用される。ジャンジャン、バンバンなど、正確な意味は分からないが「なんとなく陽気でエネルギッシュなニュアンス」が伝わってくるのが良い。
またMela Mealやsowa sowaなど、一般的な擬音をアルファベットにしがち。これらもまた、全体の総量から考えると登場頻度はそこまで多くないが、ポイントポイントで使われるので妙に印象に残るTUBE節である。
代表的なTUBE節をたどることで、単語単位の細かな分析だけでは見えてこない、独特の空気感への理解がより深まった。
夏の終わりが近づいてきたね
TUBEの詩を分析し、ランキングを作り、代表的なTUBE節もさらってみた。この時点で8月も25日を過ぎ、TUBEと過ごす3度目の夏も終わりに近づいてきた。
詩と言葉単位の分析でやれそうなことはまだまだたくさんあるが、このままいくと4年目の夏に突入してしまうので、いったんここで区切りをつけることにする。TUBEの夏歌研究も大詰めである。
次ページ:研究の集大成「TUBEっぽい詩」を作る
はじめまして。
いや~、素晴らしい!感慨深いですねえ。
永久保存版にしたいですね。こりゃ。
最後の歌詞なんて、そのままいただきましょうか、なんて、ほんとTUBEそのものですわ。
2022年9月3日のハマスタライブ、どこかで観てるんでしょうなあ。
いや~、読み応えありましたね。
最高です!
あ、私もTUBEファンでございます。
おきた様
コメントありがとうございます!最後の歌詞は「ファンの方から見たらお粗末なものかもしれない」と半ば恐れながら作ったので、そう言っていただけて本当にうれしいです!ハマスタライブを前にドキドキが止まりません
TUBEファンです。
研究(宿題)読ませて頂きました。
TUBEファンとしてはとても興味深い内容でした‼️
本当に大変な作業だったと思います
実際に曲自体を聴いてどう感じたか…気になる。
私も野外参加します
一緒にライブ楽しみましょう❣️
夏子様
コメントありがとうございます!CDを聴いただけで感動に打ち震えているので、いきなりLIVEに行って心は耐えられるだろうかとやや心配なくらいです(笑)夏子様も行かれるとのこと、楽しい時間になること祈っています!
ふ凡社さま
昨日朝こちらにたどり着き食い入るように読みました!三年ですか!お疲れ様でした!
きっとTUBEのメンバーさえも気づいていないだろう考察。なかでも【TUBE節】にはうなずきながら拝見しました~
明日は三年ぶりね横スタです(^-^)お互いに楽しみましょう~
うさお様
コメントありがとうございます!読んでくださったファンの方からも「TUBE節」について共感の反応いくつかいただいていまして、やっぱりファンの方もなんとなく「TUBE節」の存在を感じていた方がいらっしゃったのだなと思いました。LIVEにも行かれるとのことで、一緒に楽しめると良いなと思います!
ふ凡社 鈴木様
はじめまして!シェアさせていただきました牛島です‼️
チューブから来ましたが口紅平家物語やらクルトンやら、底なし沼な世界なのでこれから楽しみに拝読させていただきます!
9/3楽しみです!
牛島様
コメントくださり、またシェアもしていただき感謝申し上げます!
他の記事にも興味を持っていただけたこと大変うれしく思います。好奇心に任せて変なことばかりやっているブログではございますが、よろしければ今後ともどうぞよろしくお願いします!
感動しました。
明日(9月3日)、横浜スタジアムにてお会いしたいですね。
お作り頂いた「TUBEっぽい詩」は本当にTUBEっぽい感じがしましたが、何故か頭に浮かんでくるフシがワンサカ娘の「レナウンの唄」だったりして、もうそれ以外思いつかなくなってしまった(笑)。
今後のご活躍をお祈り申し上げます。
TUBEの歌詞についての考察は、過去に「夏」や「海」などの言葉に注目したものはあったものの、あの夏~系のものを夏の歌とするかや、言い回しについて扱うものは初めて拝見しました。
大変な作業だったと思われます。お疲れさまでした。
ところで、『Purity~ピュアティ~』は1997年の楽曲です。
お節介ですみませんが訂正していただきたく思います。
ぜひこれからは、歌詞だけでなく前田亘輝のボーカルとメンバーのサウンドが一体となった楽曲をお楽しみください。
サマー・ボーヤ様
コメントくださりありがとうございます!また、『Purity~ピュアティ~』のリリース年が間違っていたこと、大変失礼頂きました。修正いたしました。ご指摘いただき有難うございます!
これから、記事の答え合わせをするような気持ちで、TUBEのサウンドを楽しみたいと思います!
すごい研究レポートです!
お疲れ様でした。
TUBEファンでもなかなかここまでできないと思います。
横浜スタジアムライブの感想も、どこかで書いてください。
酒林朱夏様
コメントくださりありがとうございます!
スタジアムライブも本当に素晴らしく、改めて感想を追記させていただきました。こちらも機会あればぜひご覧いただければと思います!
はじめまして。
とっても感慨深いレポート、拝見しました。
私より全然ファンになってませんか?(o^-^o)
いつか私たち仲間とも交流を持っていただけると嬉しいです。
もう、みんな会えるのを待っています
ライブも参加して楽しめたようで一緒に感動してくださってるようで嬉しいです