口紅のメッセージを書きたい、消したい

ふ凡社鈴木です。

今回は「鏡に口紅のメッセージを残される」というシチュエーションを再現し、自力で消すところまでを体験したお話である。

鏡に口紅のメッセージを書かれたとき慌てふためくことがないよう、いかに対応すべきかを各種試してみた。誰かに口紅で何か書かれそうな予定のある人はぜひ参考にしていただきたい。

きっかけは「ルージュの伝言」

松任谷由実の「ルージュの伝言」という曲がある。映画『魔女の宅急便』の挿入歌として聴いたことがある人も多いことだろう。

歌の内容は

浮気性な恋人に愛想をつかしかけている人が、恋人の家のバスルームに口紅(ルージュ)で伝言を残してから彼のお母さんの元へ逃避行する

というもの。

歌の中では風呂場のどこに伝言を残したのかまでは触れられていないが、まぁ十中八九、鏡に書かれたものと考えてよいだろう。

私は幼いころからこの歌が大好きでずっと聴いているが、口紅で鏡に字を書く感触ってどんなもんじゃろなと気になっていた。さらに、ある程度大人になってからは「実際口紅で鏡に書かれたら処理が大変だろうな」と思うようになった。

これらの疑問を一挙に解消するタイミングが、今やってきたというわけだ。

口紅を買いに行く

まずはキーアイテムの口紅を買いに行く。

口紅を買うのは人生初である。コスメコーナーで買い物するのも初めて。

てっきり口紅は口紅だけでドーンとまとまって陳列されているもんだと思っていもんだから、ブランドごとにまとめられたさまざまな化粧品たちの中から「どれが口紅か」を認識するのがそもそも難しかった。

続いてお財布との相談。あくまで実験用ということで、3000円以上するちゃんとした価格帯のものを買うのはちょっと気が引ける。かとて、思いっきりリーズナブルなものでは雰囲気に乏しい。

ちょうどよい価格帯の商品は、なぜか見事に売り切れていた。口紅を日常的に使う人たちにとっても、この価格帯のニーズは高いのかもしれない。

色もいろいろあるが、個人的にルージュの伝言は鮮やかな真っ赤のイメージ薬局を三軒くらい回って、ようやく色・価格ともにぴったりの口紅を見つけることができた。

メイベリンの「カラーセンセーショナルリップスティックA917である。

まずは本来の用途から

家に帰って、人生初の口紅オープン。

鏡に字を書く前に、どれいっちょ唇に塗ってみるか。

もちろん口紅を塗るのも初体験。肌に触れた感覚は、思ったよりもどっしりしていた。リップクリームよりも硬くてドライな印象だ。

唇は場所によって起伏があったり厚さが違ったりと、複雑なラインをしている。はみ出さないよう口紅を塗るのって、かなりテクニックいるんじゃないか、と思ったけど、意外とちゃんと塗ることができた。あら、素敵じゃない。

何見てんのよ

とりあえず本来の用途を挟んで口紅を安心させたところで、さっそくルージュの伝言を書いていこう。

1筆目はシンプルに「さよなら」

ルージュの伝言の歌詞しかり、口紅のメッセージを残すときは、なんとなくネガティブなシチュエーションのイメージがある。大切なコスメをわざわざ無駄にしてまで書くってんだから、よっぽど強い動機がないとやらないはずだ。

ということで、最初に書く文字はオーソドックスな「さよなら」にした。

鏡に口紅の先端をあてがって手を動かすと、ヌルヌルした感触とともに深紅の線が伸びていく。口紅が柔らかいからか、ちょっとでも力を入れるとゴリゴリ削られる。加減がなかなか難しい。

できた。文字の大きさの感覚が掴めなくて改行が入ってしまった。

怒りを込めておっきな字で書こうとしたけど、ちょっと幅が足りなくて一瞬どうするか悩んだ恋人の気持ちを想像すると、ちょっとカワイイではないか。

消していく

さっそく消していこう。今回はルージュの伝言が残されたときの処理対応事例の紹介も兼ねた実用記事でもあるので、消すアイテムも何種類か試してみることにする。

まずは、どの家庭にもあるティッシュからだ。口紅には油が含まれているみたいなので、ティッシュで拭くとベターっと塗り広がっちゃうのでは、と予想。

そいや!

あれ、意外と消えるな・・・

気合入れてこすったら、一発でけっこう消えるではないか。

拭いた後に油汚れが残りはするものの、根気よく磨けばティッシュでもあらかた口紅を落とすことができた。最弱を予想をしていたティッシュ氏が存外の働きを見せてくれたので、残りの撮れ高が心配になってくる。

キッチンペーパーは、より消える

続いて、キッチンペーパーはどうか。フライパンの油汚れをふき取る時に使ったりもするので、ティッシュよりもさらに対口紅の相性が良い気がする。

2回目のメッセージはカタカナで小さく「サヨナラ」

いじらしく別れを告げる感じを演出しようとしたが、口紅は筆先が大きいので小回りが利かない。小さく書こうとすると結果的に昭和のホーロー看板に書かれた文字みたいな力強さになっちゃうので、ルージュの伝言を控えめに残したいと考えている人は注意されたし。

字は小さいが、密な分、口紅の量はごってりたっぷりだ。さて、キッチンペーパのお手並み拝見。

 

おおっ!!!ひと拭きでかなり落ちるぞ!!!

1回で持っていく口紅の量はティッシュに比べて圧倒的に多い。一拭きごとに折りたみながらやれば、3ストロークほどで油汚れの後も残らないほどきれいになった。

さよなら、サヨナラ。

ティッシュの場合、鏡に油分が残るため、完全に綺麗にするには水拭きが必須だったが、キッチンペーパーはその手間もない。とりあえず家にキッチンペーパーがあれば、急なルージュの伝言にも対応できそうだ。

ウェットティッシュはどうか

続いてウェットティッシュ。

書いた文字はドでかく「最っ低」。真ん中に”っ”が入っているのがポイント。ちいさい”っ”が入ることで、取り返しのつかない怒りを買った感がグッと増す。

私は個人的に、「世の中大概の汚れはウェットティッシュで何とかなる」と思っている。全権の信頼を置いているウェットティッシュ君、さぁ今日もその力を見せておくれ。

うーん、ぴしゃっと消える!マーベラス!!!

予想通りの手堅い働きを見せてくれたウェットティッシュ氏。水分が含まれている分、乾拭きの工程が追加されるハンデはある。しかし、キッチンペーパーみたいに一回一回折りたたまずに連続でふき取ることができるので、掃除の時間的にはウェットのほうが楽である。

アルコール入りのものであれば、同時に鏡の除菌もできるので一石二鳥だ。

真打ち・メイク落としシート

今回の企画にあたり、口紅とともに初めて購入したアイテムがある。メイク落としシートである。

やはり餅は餅屋ということで、メイク落としに特化したアイテムの威力がいかほどのものかを知りたいじゃないか。

書いた文字は・・・

「あぁっ!鏡にルージュの伝言が!しかも2番の出だし!!!!」

でも大丈夫。私にはメイク落としがある。やっちまいな!

 

「んふふふふっ」と声が出るほど消えた。何だこれスゲェ!

ウェットティッシュとあんまり変わらないんじゃないか、ちょっと心配したが、杞憂だった。ひと拭きで↓の掃討力。

”ころよ”が無くなると英作文の問題感がある

力を入れなくてもするんと落ち、シートが通った箇所は拭き残しもない。さすがはメイク落としに特化した商品、圧倒的だ。

1枚でどれくらい落ちるもんか気になったので、さらに鏡いっぱいに文字を書いてみる。

あの人が残した平家物語も・・・

残されたシートのビジュアルが色んな意味で重いわ。

1枚で滅亡。

あの人との想い出もいっしょに、春の夜の夢の如く消える。

今回の企画で1本使いきった

口紅でメッセージを書くの、消すの、どちらも大変楽しかった。まとめると、

・時間はかかるがティッシュでも口紅は落ちる

・キッチンペーパーやウェットティッシュがあると尚良い

・恋人が残してくれたメイク落としシートがあれば、お掃除が楽しくなる

である。これで、いつルージュの伝言を残されてもへっちゃら。むしろメイク落としめっちゃ余ったから、いくらでも書いてほしいくらいだ。

ちなみに、今回の実験でちょうど口紅まるまる一本使いきった。これから口紅で誰かにメッセージを残す予定がある方は、書ける文字数の目安になれば幸いである。

指も使えばもっと書けるかもしれない

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