18万円のティラノサウルスを買った話

待望の発送連絡からの「新たな不安」

2023年1月、メーカーから「まもなく商品の発送準備が整います」というメールが届いて飛び上がった、2021年7月に予約したから、1年半くらいかけてようやくその時が来たのだ。

嬉しさと同時に、また別の大きな不安も生まれる。「そもそも無事に届くか」だ。

壊れやすい材質でできたフィギュアは、「輸送中の破損」のリスクと常に隣りあわせである。私自身、これまでもたびたび輸送中破損の憂き目にあっている。

まして今回は超巨大でパーツも多く、また壊れやすい素材のフィギュアである。さらにそれを、海外の工場からえっちらおっちら日本まで運んでくるわけだ。不安しかない。デカいフィギュアは、届くまでの心配もビッグなのだ。

18万のフィギュアは箱から出すにも一苦労

ソワソワソワソワソワソワしながら待つこと約1週間、ついに現物が我が家に届いた。

「でけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!まず、箱が!!!!」

ティラノサウルスなら今俺の横で寝てるぜ

箱だけでも我が家の小型洗濯機とほぼ同じ大きさ。そして当然だが、めちゃくちゃに重い。

私は玄関から引きずる形でなんとかキッチンに運んだが、宅配のお兄さんはマジでこれ一人でどうやってここまで運んだんだろう。浮遊魔法を使ったとしか思えぬ。

続いて段ボールからフィギュア本体が入った箱を取り出すわけだが、この時点ですでに大変。

箱の中に箱がある

箱自体を持ち上げることができないので、段ボールごと90度倒して、本体の入った箱を引きずり出すほかない。

横倒しするのも一苦労

さぁて…

無事化粧箱を取り出せたところで、ようやくスタートラインだ。いよいよ、フィギュア本体を取り出す作業に入る。発泡スチロールの梱包材ごと箱から引っ張り出す形になるわけだが、フィギュア自体の重さと、段ボールと発泡スチロールとの摩擦でなっかなか引っ張ることができない。

うんとこしょ、どっこいしょ、それでもフィギュアはぬけません

「こりゃ一人じゃ無理だ」と悟り、撮影協力してくれた友人に箱を抑えてもらった。全身の体重をかけて引っ張り出す。その姿は「大きなかぶ」を引き抜こうとしてるじいさんそっくりである。

まずベースを取り出す

梱包材は上下で分割されており、上半分に恐竜本体が、下半分にフィギュアを飾る用のベースが入ってるようだ。なので、まずベースから取り出す。

細心の注意を払ってカッターでビニールテープを切り、蓋を引っこ抜く。

ベースを保護する薄紙を取り払うと、「JURASSIC WORLD」のロゴがドーンと描かれた巨大な塊が。もうこの時点で大興奮である。

ベースに手をかけ、梱包材からそうっと持ち上げようとする、が。

「重い重い重い!!!」

これ罪人の膝の上に乗せるやつだ

腰が砕けそうな重さである。写真を見れば、そのデカさ&ぶ厚さがお分かりいただけるだろう。ベースだけで15kgくらいあるんじゃないか。15kgつったら、イングリッシュコッカ―スパニエルくらいの重さである。

イングリッシュコッカ―スパニエルの子犬

ベースに破損が無いかを確認し、腕と足をプルプルさせながらなんとか展示スペースに運びきった。

「足を滑らせたら終わり」という緊張感がある

無事ティラノサウルスと対面できるのか・・・?

続いて、いよいよ恐竜たちとの対面である。

恐竜たちを覆うシートを慎重にはがし、先にカルノタウルス(ティラノに踏んづけられるほう)を出す。

ミイラの棺桶を開ける考古学者の気分

カルノタウルスだけでも、かなりデカい。

今回のフィギュアではわき役だが、造形から塗装まで一切の妥協無く作りこまれている。これが高額フィギュアのクオリティ。

カルノタウルス、実は肉食恐竜で一番好き

破損がないかを隅々まで確認し、カルノタウルスをベースに設置。

赤子をベッドに寝かす時のようにそっと置く

そしてついに、主役のティラノサウルスとのご対面。細かいパーツに触れないよういっそう慎重に持ち上げ…

ジャーン!!!!

でかい魚を釣り上げた人みたいになってる

見てくれこのデカさ、この迫力。その姿は、劇中からそのまま飛び出してきたようなリアルさである。もちろん、いままで手にしたティラノサウルスの中で一番大きい。

隅から隅まで愛でつつ、状態を確認する。よし、大丈夫そうだ。

さっそくティラノを飾ろうと動き始めた刹那、友人が声をあげた。

友人「あれ、待って。歯、欠けてない?」

この一言で、時が止まる。

あーっ、ホントだ!!!!!

キレ―に4本無い

みれば、前歯が4本とも欠けているではないか。そう、デカすぎて角度的に正面から確認できておらず、また、まさか4本も欠けてるなんて思わないもんだから、完全に見落としていたのだ。

これにはさすがにがっくり。我が家のジュラシック・パーク竣工式は、興奮のピークで一時中止と相成ったのだった。

ジュラシック・パーク計画の振り出し

輸送中に折れたんだろうなと思って箱の中を確認したが、不思議なことに折れた4本の歯がどこにも見当たらない。

翌日初期不良をメーカーに問い合わせたところ、なんと輸送中の破損ではなく「出荷段階での初期不良品だった」ことが判明した。

「商品的に一番大事な箇所(主役の顔)のトップの歯が4本も折れてるのに、気づかないで出荷しちゃうことなんて、ある???」

と思ったが、初期不良なら致し方ない。

ティラノサウルス不在だとカルノタウルスが泥遊びしてるだけに見える。カワイイ

さらにメーカーから「初期不良品でも原則は修理対応」となる旨の連絡が来て二度ズッコケたが、交渉の末新品との商品交換対応してもらえることになった。よかった。

しかし安心してはいられない。次に待ち受けているのはそう、地獄の再梱包作業である。

逆再生の図

開封時よりさらに苦労してなんとか再梱包し、メーカーに返送。回収の荷を受け取りに来た宅配員さんは、またしても素手でこの箱を引き取って行った。心から尊敬する。

交換品は海外の倉庫から再度送りなおすとのことで、届くまで2か月はかかるとのこと。大きなフィギュアは、返品交換対応も大変なのだ。マジで。

一連の対応の間に、ティラノサウルスと一緒に飾ろうと思って買っていた『ジュラシック・パーク』に登場する「蚊入り琥珀」のレプリカが届いたので、先に飾った。

全ての始まりとなった、蚊入りの琥珀

ぽつん

映画第一作を見た人なら伝わると思うが、「ジュラシック・パーク計画が振り出しに戻った感」がすごい。

そして迎えた2ヶ月後

琥珀を眺めながら待つこと2か月後、交換品が届いた。

良かった、ティラノサウルスの前歯、ちゃんと4本ある!!!

子どもの乳歯の生え変わりを確認する母の顔

2度目の正直、全てのパーツが無事完品であることを確認し、ついにティラノサウルスをベースに立てることができた。

完成。もう泣いちゃう。

ようこそ、ジュラシック・パークへ

一世一代の大きな買い物、ここに至るまで長い長い道のりだった。フィギュアの購入には相当慣れているつもりだったが、準備からトラブル対応まで含めて、想像をはるかに超えて大変だった。

それでも、毎朝目覚めるたびにカルノタウルスを元気に踏んづけるティラノサウルスを見ることができる生活は、本当に幸せである。

「ふ凡社くんちにでっかいティラノが来たんだって!」と駆け付けた友だち。小学生感がある

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