ふ凡社鈴木です。
4か月にわたる転職活動を経て、トゥギャッターという会社が運営しているメディアの編集部で働くことになった。トゥギャッターの会社概要などは一旦すっ飛ばして、入社早々衝撃的な出来事があったので聞いてほしい。
勤務開始から1週間後、会社から5000円相当の豚肉が届いた。えっ、何故?しかも、これから毎月良い肉が届くらしい。えっ、何故?
何を言っているのかわからねーと思うが、私も何をされたか分からなかった。新たな職場のクレイジーな福利厚生について、起こったことをありのままに書く。
毎月29日は「肉の日」
勤務2日目のこと。私は入社後の諸手続きと業務のオリエンテーションで、てんやわんやしていた。新しい環境に入った時の御多分に漏れず、未知の情報だらけのシャワーに脳が処理落ちしていたのだ。
そんな中、先輩社員から、1本のメッセージが届いた。
「弊社では、毎月29日が『肉の日』として休日となります。お肉を食べて休息をとってくださいという日です。
※なお、会社より肉の支給があります」
毎月29日、休み、肉の日、肉の支給………は?
ここに来て、私の頭はショートした。
「ちょっと待ってください、トゥギャッター社では毎月29日が休みになり、さらにお肉も貰えるってことですか?」
全然意味がわからず、オウム返しをするほかなかった。
「そうですね!肉の日は、最近できた福利厚生の制度なのです」
本当にそのままだった。嘘だろ。スーパー以外で毎月29日が肉の日になること、ある?
これは罠ではないのか
嬉しい。正直めちゃくちゃ嬉しいが、若干怖くなったのも事実である。
だって、株式会社の運営にあたり、社員の年間休日を突然12日分増やし、かつ肉まで支給するメリットがいったいどこにあるというのか。わからない。そんなうまい話があるだろうか。これは何かの罠ではないか。
半信半疑のまま一旦業務に戻り、またあわただしく過ごした。9月28日になると、社内で「明日は肉の日なので休みです」とアナウンスがあった。本当に休むんだ。マジか。
何でもない平日が突然休みになる不思議な感覚とともに、29日を迎えた。しかし、29日が始まった時点でお肉は届いてなかったので、「やはり何かの聞き間違いだったのだろう」と納得した。スタートダッシュの疲れの中、一息つけるだけも大変ありがたい。その日はのんびり過ぎた。
夕方になって、社長から1本の連絡があった。
「お肉届かないなと思ったら、発送開始されたのが今日で、沖縄の会社っぽいので今日は届かないと思います!」
なんと本当にお肉が手配されていた。馬鹿な。
通算4回くらいの「マジか」を経て、我が家にあぐー豚が届いた。
他人のお金で食べる肉は蜜の味
あぐー豚は、言わずと知れたブランド肉。沖縄固有の希少な豚で、霜が降った肉質と、甘み・うま味を備えた脂が特徴らしい。(沖縄県アグーブランド豚推進協議会のHPに書いてあった)
今回届いたのは、豚バラ、ロース、ももの薄切り肉が各200gずつ。豚さんのヒットメドレーという感じのラインナップだ。
よく考えたら、豚肉の各部位を一度に手に入れるのは初めてだ。自炊で買うお肉は、たいてい一回一品一部位で完結するから。
他人のお金で食べるお肉は蜜の味。一人暮らしの自炊において「お肉代が浮くこと」は、マリオカートでスタート前から赤甲羅3個持ってるレベルの精神的アドバンテージがある。せっかくなので、豚肉を徹底的に楽しもうではないか。
一品目:ゴーヤチャンプル
まずは、おなじみ豚バラ肉から。「沖縄・豚バラ」ときたら、なんつったってゴーヤチャンプルだ。
あぐー豚の豚バラはしっとりしていてきめ細かく、人肌で脂がほどけるほど柔らかい。
フライパンで火を通すと、いつもスーパーで買う豚バラ肉と比べて、とても濃い脂の香りが広がった。この時点で期待値爆上がりである。
炒めた豚肉をいったん取り出して、残った油で豆腐・ゴーヤ、玉ねぎを炒める。素材に火が通ったら豚肉を戻し入れて、だしの素を振り、溶き卵を流し入れて、さっと炒めたら完成だ。
二品目:日田焼きそば
残った豚バラ肉を使って、日田焼きそばを作った。日田焼きそばは、我が故郷大分県は日田で生まれた焼きそばである。「想夫恋」というお店が発祥で、特徴は以下の通りである。
- 麺の表面をたっぷりの油でカリッと焼く
- ソースは甘さ控えめのスパイシーな味わい
- 麺と同量くらいモヤシを入れる
これがまぁ本当においしくて、何度食べても飽きない。私は上京してから、月に3回くらいは「想夫恋食べたい」とうわごとのように呟く生物と化した。今回は、友人が想夫恋のオンラインショップで買った家庭用セットを提供してくれたので、ありがたく使わせてもらった。
三品目:もも肉と野菜の重ね蒸し
あっさりした味わいのもも肉は、野菜と合わせて蒸し料理にした。作り方はいたって簡単。キャベツと人参を切って耐熱皿に入れ、その上にもも肉を敷き詰めてレンチンするだけだ。
刻んだ長ネギにごま油、レモン、塩とだしの素を混ぜて作る「ネギ塩だれ」と共に食べる。
四品目:トマトとチーズのミルフィーユカツ
赤身と脂身のバランスが良いロースは、ミルフィーユカツにする。私は普段、よほどのことがない限り揚げ物を作らない。よほどのこととは、例えば会社からあぐー豚が届いた時などである。つまり今回だ。
揚げ物は後の掃除が大変なだけで、作る過程はわりとシンプルである。まず、「ロース→トマト→ロース→とろけるチーズ→ロース」の順で具を重ねてから、形を整える。
固めたタネに、小麦粉→卵→パン粉をつけて、180度の油で5分くらい揚げれば完成だ。
食レポはばっさりカット
届いた豚肉をフルに活用した食卓が完成した。並べてみると圧巻である。本来ならここで丁寧に実食の食レポをするところだが、カットする。食べている間、「おいしい」以外の言葉を司る言語中枢がまったく仕事をしてくれなかったからだ。
しかし。なんつったってまだ社の利益に一銭も貢献していないのに、かような良い思いをよいものか。なんだか先物取引をしている気分である。
回を重ねるごとにしっかりお肉を楽しめるよう、御社で馬車ホースのように働くことを誓った。
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