バンジーで「アサシン飛び」をするの巻

ふ凡社代表取締役KPI(Kome Purin Ikasumi)の鈴木です。

バンジージャンプをすることになった。

 

GWのど真ん中、元号も変わって、なんだか景気の良い空気が流れる中、いきなり死の危険のあるアクティビティに身を投じようというのだ。

 

私はバンジーをやったことがない。ただテレビなどで何となく

 

初めてバンジーをやる人像

 

というのは知っている。

 

鈴木のイメージする「初バンジーのテンプレート」

 

内股をカタカタさせながら猫背で高台に立ち、足元をチラッと覗き見て

 

 

うわたっか!無理無理無理無理絶対無理!!!

 

とわめき散らし、

 

 

「スリー!ツー!ワ・・・いや待って!待って!!待って!!!やっぱ無理やわ!!!

 

と、悪あがきを幾度か繰り返し、見かねたインストラクターの後押しで半ば無理やり谷底へ突き落とされ、

 

ひ゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

 

と叫びながら落ちていき、

 

ウォォォォォォォォォォ

 

と唸りながら二三度バウンドする間に落ち着きを取り戻し、最後はケタケタと笑いながらワイヤーで巻き上げられる。

 

地上に戻ったら

 

いやぁ、死ぬかと思ったけど、飛んでみたらめっちゃ楽しかったわ

 

とヘラヘラ笑いながら、カメラに向かってピースなどする。

 

 

さしずめこんな感じではないか。

 

俺の初バンジーは一味違う

 

これまで順当な人生を歩んできた人間であれば、このテンプレートに乗っ取った模範的な初バンジーを遂行しただろう。

 

私は、5歳まで馬に育てられたので、その限りではない。初バンジーで「アサシン飛び」をやることにした。

 

アクション映画なんかで、こんなシーンを見たことがないだろうか。

 

「アサシン飛び」のテンプレート

 

カリスマのアサシン(暗殺者)が、ビルの上でなにやらいそいそと準備を整えている。傍らには、ひょんなことから彼と行動を共にすることになった、冴えない一般男性が。

 

 

一体何をやろうとしてるんだ!ちゃんと説明しろ!

 

とわめきたてる男を気にもとめず、アサシンはクラッシックを口ずさみながらいそいそと装備を装着し、ビルの淵に立つ。

 

 

待て!待て!!待て!!!、アンタまさか・・・

 

と息を呑む男に、アサシンはくるりと振り返って一言。

 

「あとは任せたよ」

 

とにっこり微笑んで、流れるように後ろ向きで落ちていく。

 

おいおいマジかよ!!!!クソっ!!!とんだイカれ野郎だ!!!!

 

これがアサシン飛びである。これをやる。

 

 

群馬より愛をこめて

 

令和元年五月の始め、木曜の朝。私は、スーツ姿で群馬の上毛高原に立った。

群馬に降り立つカリスマアサシン。余裕を見せるため、いつも腕を広げながら生活している

 

駅からバスで約30分、トコトコ揺られて、猿ヶ京バンジーに到着。

 

事前の情報で、62メートルの高さの橋の上から渓谷に向かって飛び降りるということだけ聞いていた。ただ、62メートルがいかほどのものかわからないし、ましてその高さから飛び降りたことなんてないので、どんな感じなのか全く想像がつかない。

 

現地について、下見で橋の上に立ってみた。

 

川を行くカヌーの、シルバニアファミリーもびっくりの小ささ

 

高い高い高い。高いわ。スカイツリーか貴様。

 

少し下を覗いただけで、ボクノフグリがひゅんとする。しかし、景観は美麗そのもの。水は深いエメラルドグリーン、空は透き通る青、木々はいい感じの緑。空気もおいしい。素晴らしい。絶好の暗殺日和である。

 

 

早速受付を済ませる。バンジーの値段は1ジャンプ1万1000円。高い高い高い。高いわ。フォアグラか貴様。

しかし、今の私は凄腕のアサシン。1つのミッションを達成するたびに多分3億円くらいもらっているので、ポケットティッシュを買う感覚で諭吉と英世を差し出す。

一抹の不安を煽る謎マネキン

 

 

その後、要約すると「僕は死んでも文句は言いましぇん!!!!」という旨の誓約書にサインし、スタッフの指示に従って装備を取り付けていく。この時からすでに私の心は暗殺者。頭の中ではムソルグスキーの「展覧会の絵」が流れている。

 

掌に、器具を装着した後の体重を書かれる。今までアサシンが葬ってきた人数っぽくてよい。

 

本日のターゲットは、さるイタリアンマフィアの幹部・トンマーゾ。愛人のステファニーとともにバカンスで群馬を訪れ、猿ヶ京で釣りを楽しんだ後、登利平の鶏飯を食べに行こうという計画を立てている。

 

しかし残念ながら、彼の口に鶏飯が入ることはない。

この時、頭の中ではトンマーゾの人生をなぞっている。ターゲットの人物像をしっかり知った上で仕事にかかるのが、カリスマの流儀なのだ。

 

 

いよいよジャンプ台に立つ。

 

「1、2、3ですぐ飛んでもらいます。溜めてやると、飛べなくなっちゃうから」

 

とスタッフ。実際、スタッフは飛び降りる人たちの背中を少し押しだすようにアシストしていた。なるほど、確かに1回1回個人の裁量に任せていては、回転率が下がってしまうのかもしれない。

 

ちなみに、スタッフは外国人が多く、全体的にテンションが高い。小粋なジョークを挟みながら、ノリノリで参加者を谷に突き落としていく。場を盛り上げるのも、皆の気を大きくしてバンバン飛ばせるために必要な演出なのだろう。

スタッフは、私が観光に来た冴えないサラリーマンだと思い込んでいる。日常に溶け込むのもアサシンの妙技なのだ

 

でも大丈夫、なぜなら私は死のキューピッド。スタッフのアシストなどなくとも、難なく飛べるはずだ。

 

死のキューピッド「後ろ向きに飛んでもいいですか?」

 

スタッフ「大丈夫ですけど、結構怖いんで、初めてなら前から飛ぶのをおススメします

 

HAHAHA、私を誰だと思っている。豊後の死神と恐れられた男ぞ。頭が高い頭が高い。頭が高いわ。悪代官か貴様。

 

渓谷に背を向け足場に立ち、準備は整った。さぁトンマーゾ、個人的な恨みはないが、お前は数多くの善良な市民を悲しみの淵に突き落としてきた罪深き男。せめて清らかな翠玉の水に抱かれ逝け。

 

 

呼吸を整え、風の音に耳を澄ます。イメトレは完璧。オプションの写真撮影も申し込んだから、きっと初バンジーとは思えない余裕しゃくしゃくの絵が撮れることだろう。勝った。勝ったわこれ。

 

これより猿ヶ京は、死の谷へと変わる

 

スタッフ「3、2、1 ハイっ!」

 

その言葉とともに、体がゆっくり傾いていく。その時、事件は起こった。

 

スタッフ「あっ、ちょっと待って(ボソッ)

 

ファッ!?!?!?

 

 

まさか、まだ準備完了してなかったのか!?!?

 

あっ、死…

 

その間わずか1秒、リアルに景色がスローモーションで見えた。だから、スタッフの口元もはっきり見えた。

 

 

 

 

 

 

 

コイツ!!!!ニヤニヤ笑ってやがる!!!!

 

 

 

 

 

騙しやがったなちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

いともたやすく行われるえげつないジョーク

 

そこから先は、覚えていない。気づけば私は、ケタケタ笑いながらキリキリと巻き取られていた。なんか景色がきれいだったと思う。

 

生前硬直したまま巻き上げられるアサシンの図

 

これが、私のヴァージンバンジーの顛末である。最初の一瞬で感じたのは、確かに「」だった。心臓に悪い(物理)ジョーク。フォーリナーのノリはトゥークレイジーである。

 

 

ともあれ、1発目で稀有な体験ができてとても満足した。暗殺には髪をポマードでオールバックにして、黒い蝶ネクタイを締めたほうがより良い、という気付きを得たのも収穫だった。

 

命拾いしたな、トンマーゾ。

 

(ふ凡社編集部)

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