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  • スーパーで見つけた謎食材を食べる Vol.1―高知の巨大植物「はす芋」―

    スーパーで見つけた謎食材を食べる Vol.1―高知の巨大植物「はす芋」―

    日ごろお世話になっているスーパー。スーパーは基本的に、その地域の文化圏にフィットする、親しみある商品が売られている。しかし、たまに見慣れない異文化の商品が紛れていることがある。

     

    最近、「はす芋」という謎の食材をみつけた。この記事は、これまでスルーしてきた謎食材を初めて買って、調べて、調理してみたレポートである。

     

     

    「茎っぽいのに芋」とはこれいかに

     

    カレーの食材を買いにスーパーに行くと、見たことのない野菜が陳列されていた。

     

    何かの植物の茎みたいな。やけに大きくて、インパクトがある。なのに、値段はひとつ98円。安い。

    ぶっとい茎みたいな何か

     

    名前を見れば「はす芋」とある。

     

     

    「芋?このビジュアルで?どこが芋なんだ?ほくほくしてるのか?なんだこれは」

     

     

    気になったが、その日はスルーした。スーパーは基本的に、買いたいものをあらかじめイメージしてから行くとこである。なので、謎の食材を見つけてもスルーしちゃうのだ。謎だから。

     

     

    数日たってまたスーパーに行くと、まだ彼らがいた。

     

     

    「半額になっとる!!しかもほぼ手付かずのまま!!!!」

     

     

    やはりというか、私だけでなく、ほかの人にとっても謎の野菜だったのだろう。しかし、ここまで見事にスルーされていると、逆に気になってくる。

     

    売れ行きからみて、このスーパーで、再びはす芋が入荷されるかどうかはかなり怪しいところだろう。別のスーパーで、売ってるのもみたことがない。かといって、いろんなスーパーをまわって探したり、はす芋が売られている場所を調べてわざわざ買いに行くほどの情熱もない。謎だから。

     

    つまり、この機会を逃すと「はす芋ってなんだったんだろう」と思いながら、何年も過ごすことになる可能性が極めて高い。さくっと謎を解くなら、今しかないのだ。

     

    はす芋を前に、「どうする?アイフル?」状態になること約30秒、私は、2パック買うことにした。

     

     

    はす芋の正体を調べる

     

    家に帰ってまず、はす芋のことについて調べてみた。分かったポイントは、以下の通りである。

    • はす芋は、サトイモ科の植物である
    • 高知県の特産品である
    • サトイモ科だが、食べるのは芋ではなく葉柄(葉と茎の間にある柄部分)
    • 火を通してもシャキシャキしているのが特徴

     

    メジャーな食べ方としては、生のまま和え物にしたり、出汁と一緒に煮たりするらしい。“火を通してもシャキシャキしてる”というのが気になるので、色んなレシピサイトで出てくる「はす芋と油揚げの煮物」を作ってみることにした。

     

     

    みずみずしいシャキシャキには棘がある

    いざ、はす芋を調理していく。

    皮をむく

    はす芋の皮は、先端にちょっと包丁を入れると、そこからさけるチーズみたいな感じで剥くことができる。シュルシュル音を立てながらビーっと一気に剥く感覚、めっちゃ気持ちよい。

    びーって剥ける

    とりあえずそのまま食べてみる

    はす芋は、生でも食べられるらしい。薄切りにして、一切れ食べてみることにした。

    包丁で切ると、「サクッ!」と、これまた小気味よい音がする。断面は、スポンジみたいに細かい穴がたくさん空いた、不思議なビジュアル。

     

    理科の授業、顕微鏡で見せられた葉っぱの断面図がこんな感じだったな。

     

     

    食べてみると、なるほどシャキシャキしている。いや、シャキシャキを通り越してサクサクしてる。植物がここまでクリスピー感を出せるものだろうか。面白。

    味は、瓜に近い。メロンの端っこの、一番味がうすい部分みたいな。とても淡白な味わいである。生だと、正直おいしさがよくわからない。

     

     

    下ごしらえをする

     

    はす芋は一応生でも食べられるが、下処理をしたほうがよさそうだ。

     

    というのも、はす芋には「シュウ酸カルシウム結晶」という成分が含まれていて、この結晶が針のような鋭い形をしているらしい。何も知らずに素手で触りまくったりすると、この細かな針が細胞に刺さりって、ピリピリした痛みを引き起こすことがあるそうだ。怖っ。

    シュウ酸カルシウム結晶の結晶。命を刈りとる形をしている(画像は『シュウ酸カルシウム針状結晶とプロテアーゼの相乗的耐虫効果』より引用)

     

    「生のままで食べる場合は、塩水にさらし、加熱する時は一度茹でると良い」、とのことなので、今回はゆでることにする。

    鍋に入れると、あらためて「ぶっといな」と思う

     

    油揚げとともに煮る

     

    ゆでて水気を絞ったはす芋を、薄切りに。そのまま、油揚げと一緒にだし汁で煮る。

     

    ひと煮立ちしたら、あっという間に完成だ。

     

     

     

    いざ実食。

    完成したものがこちら

    これが、はす芋のスタンダード

     

    いい感じではないか。早速食べてみよう。

     

     

    「あっ、うまい!!!(写真とるの忘れた)」

     

    スポンジ状の空洞のおかげか、はす芋がたっぷり出汁を吸っている。「出汁をたっぷり吸うために、あの形になった」と考えるほうが自然だな、と思うレベルでよく吸っている。噛めば噛むほど、だしがしみだしてくる。美味しい。

     

    確かに、火を通してもなおシャッキシャキだ。煮物なのにシャッキシャキ。今まで味わったことのない不思議な食感。面白い。

     

    はす芋そのものは淡白な味だから、はす芋の味わいを楽しむというよりは、色んな出汁や調味料、食材と組み合わせて食感を楽しむタイプの野菜なのかもしれない。

     

     

    はす芋が何かはよくわかったが・・・

     

    はす芋が何者で、どう調理すればよくて、どんな味わいなのか。すべての疑問が順当に解決した。ありがとうはす芋くん、君が何者はよくわかった。そのうえで問いたい。

     

     

    鈴木「君は、ほかになにか面白いことできないのかね」

     

    はす芋「えっ」

     

     

    はす芋のほかのレシピは、検索するといくつか出てくるが、まず情報の絶対量が他の食材に比べ圧倒的に少ない。加えて、調理方法にそこまでバリエーションがないのだ(和える、煮る、生のまま添えるくらい)。広くメジャーな食材なら、洋風・中華風など国籍をまたいだ調理法も豊富に出てくるが、はす芋についてはゼロ。

     

    はす芋「面白いことといいますと」

     

    鈴木「たとえばほら、洋食になるとか」

     

    はす芋「えっ」

     

     

    どうせ記事にするなら、新しいこともやりたい。ということで、残ったはす芋を使って、ビシソワーズ(冷たいジャガイモのポタージュ)を作ってみることにした。

     

    はす芋、文化を超える

    ビシソワーズの作り方は簡単。

     

     

    1,みじん切りにした玉ねぎと、薄切りにしたジャガイモをバターで炒める

     

    2,水と薄切りにしたはす芋を加えて、ジャガイモが柔らかくなるまで煮る

    うっすら焦げ目がついているのが、はす芋

     

    3,2でできたやつを、フードプロセッサーにかける

     

    4,なめらかになったものを再び鍋にいれ、牛乳と混ぜてひと煮立ちさせる

     

    もはや、はす芋の跡形もない

     

    5,完成したものを、冷蔵庫で冷やせば完成

     

     

    ようは、プレーンなビシソワーズに、はす芋を加えた改良版だ。

     

    そもそも、水分量が多いはす芋を、ミルク系と合わせて大丈夫なのか。はす芋の味わいは淡白である。フードプロセッサーで細かくしたら、アイデンティティであるシャキシャキ食感も消えて、マジで普通のビシソワーズになるだけではないか。

    企画倒れになりそうな予感をビシビシ感じる中、とりあえずビシソワーズが完成した。

     

    完成、実食。意外や意外

     

    完成したビシソワーズがこちら。

     

     

    食材を粗びきにしたので、全体的にとろりとしている。いざ実食。

     

     

     

     

     

    「おぉっ!シャキシャキしてる!!!マジか!!!!」

     

     

    なんと、はす芋は細かくプロセスされてなお、シャキシャキ感を残していた。余ったはす芋を使ったので、ジャガイモと玉ねぎの量に対してその割合は少ないはず。なのに、一口食べるごとにちゃんとシャキシャキするではないか。すげえ!!!

     

     

    そして、味のほうにも、ほんのりではあるが、はす芋のさわやかな風味が残っている。ジャガイモの味とも、けんかしていない(同じイモ科だからだろうか)。普通にしっかりおいしいじゃないか!素晴らしい!!

     

    こうして、はす芋とのエンカウントは成功に終わった。いやあ、面白かった。はす芋、消える前に買ってみてよかった。堪能した。

     

     

    謎の食材を買って、調べて、料理して、食う。日常の延長で、手軽にアクセスできる探求の楽しみを見つけた。また見慣れない食材を見つけたら、記事にしようと思う。

     

    (ふ凡社家庭部)

  • 滝行に行ってきた

    滝行に行ってきた

    ふ凡社代表取締役RPG(Regular Pink Green tea)の鈴木です。

     

    滝行に行ってきた。

     

     

    先日このブログでインタビューした肘@失恋フェス氏が主催する、失恋記念企画に参加したのだ。

    初見の方向けに軽く背景を説明すると、肘@失恋フェス氏は、失恋をコンテンツに昇華する企画「失恋フェス」を主宰し、色んなアクティビティに精力的に取り組んでいる。中でも滝行は、肘氏にとって記念すべき最初の失恋企画であり、記念すべき最初の暴挙である。

    滝行はその後、失恋フェスを象徴する周年行事として毎年開催され、今年で3回目を迎える。今回は、東京西多摩の臼杵山にある天光寺で行われた。

    エンジョイ勢でも滝行をやっていいのか

    滝行にあたって、私は「滝に打たれる」以外の情報を何も持ち合わせていなかった。

    「滝行?うん、行けたら行く!」

    と、”誰かの宅飲み”に参加するくらいの温度感でエントリーしてしまったが、大丈夫だろうか。

     

    フリー素材「宅飲み」で出てくる写真

     

    寺の領地に入った瞬間、なんか霊験あらたかなセンサーにより、エンジョイ勢であることがばれ、レーザーで焼かれたりしないだろうか。

    一抹の不安共に、ひとまず天光寺のHPを見てみた。

    画像は天光寺のHPより

     

    あっ、ふらっとでいいんだ。よかった。

    こうして私は、「ふらっと」「滝に打たれる」の二言だけ握りしめて、武蔵五日市駅に向かった。

    まずは滝行の準備から

    当日集まったのは、肘氏を含めて11人。回を重ねるごとにじわり、じわりと人数が増えているらしい。改めて、滝行で10人集めることができる肘氏の失恋力の高さに感服するばかりである。

    武蔵五日市駅からバスにゆられること40分ほど、山の斜面にそびえる天光寺に到着した。バスの外に出た時点ですでに、若干肌寒い件について、気づかぬふりをする。

    天光寺の外観はこんな感じ。(写真を撮り忘れたのでHPより拝借)

     

    寺についたら、すぐ滝行に入るわけではない。まずは祈りの基本的な作法についての座学があり、その後に「お百度参り」をやる。もろもろの準備を整えてから、滝へ行くのだ。

    まずは、修行用の白装束に着替える。薄い装束の下はパンツ一丁だ。この日は最高気温10度、最低5.2度くらい。うすら予想はしていたが、装束に着替えた時点で、割としっかり寒い。

    着替えてからスタッフによる作法の座学を受けたのち、お百度参りへ。

    お百度参りは、何かを祈願するために神仏を100回繰り返し拝む礼拝法で、時代劇なんかでおなじみのあれだ。

    天光寺では、真言宗の開祖・空海の像に向かって「※南無大師遍照金剛(なむたいしへんじょうこんごう)」と叫びながら走り回る形で行う。

    ※「南無大師遍照金剛」には「空海に帰依する」という意味がある。今回の修行で随所に登場する重要フレーズだ。

    修行開始の前に、スタッフが参加者の「頭・首・足」三か所に「塩と酒」を振って清めていく。

     

    装備は、薄手のバスローブが如き頼りなさ。体はプルプルと小刻みに震えている。そんな状態で、冷たいお酒を首筋にかけられるもんだから「ひゅひっ」と小さな声が出る。

    いやいや、でもこの程度でひるんではいけない。なんつったってこれから、この数万倍くらいの量の水を浴びるんだから。正気か。

    お百度参りはポロリとの戦い

    清めを受け、お百度参りに突入する。

    ルールを説明しよう。フィールドには、コンクリートでできた一本道が5本ほど用意されている。道は1本5メートルくらいの長さで、前方と後方に2本の柱が立っている。

     

    これがお百度参りプレイスだ

     

    各道に参加者4人くらいがあてがわれ、前方・後方に分けてスタンバイ。

    まずスタート位置で「南無大師遍照金剛!!!」と叫んで一礼し、対岸に向かってダッシュする。

    反対側についたら、再び「南無大師遍照金剛!!!」と叫び、一礼。そして、元の場所にダッシュして戻る。で、また叫んで一礼、ダッシュ。これを延々繰り返すのだ。

    本来は往復1セット×108回やるそうだが、今回は半日修行ということで15分間のタイムアタックエディションだった。

    スタッフ「お百度参り~はじめ!」

    号令と共に、参加者が一斉に叫び、走り出す。1本5メートル程度の短い間隔とはいえ、連続して走り続けるとこれがなかなかに辛い。対岸についたらすぐ「南無大師遍照金剛!!」と叫んで、またすぐ対岸に走らなければいけないので、息をつく間はほぼない。

    そして一つ、余計な誤算があった。帯をしっかり結んでいなかったがゆえに、走っている間に、装束がはだけまくるのだ。

    でも、止まって結びなおすわけにもいかないので、手や脇で装束を抑えながら走り続けるほかなかった。イメージとしては、名画「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスが爆走している姿を想像していただければ良い。

     

    戦慄のチュートリアル

    なんとかポロリを免れ、お百度参りが終了。いよいよ滝行へ向かう。

    白装束の集団を乗せたミニバンは、自然豊かな山道をぶいぶい進む。道幅が次第に狭く急になり、車体が揺れる揺れる。視界は背の高い木々で埋まり、「この先、滝、あります。」感が甚だしい。

    お寺を出てから約10分後、バスは急こう配な坂道に停車した。体幹をやられながらバスを降りると、視線の先に舗装されていない山道が見えた。ここから先は、歩いて滝に向かうのだ。

    山道に入る前に、スタッフから滝行のチュートリアルを受ける。

     

    不穏なチュートリアル

    滝行の流れは以下の通りである。

    1、最初に胸・肩にかけ水する
    2、桶の水を頭からかぶる
    3、南無大師遍照金剛を3回叫ぶ
    4、最初は滝に背を向ける
    5、続いて、滝の深くに入る
    6、さらに、滝に座って2分キープ

    「滝の水は皆さんが思ったより冷たく、重い」

    「いきなり滝に入るとパニックになったり呼吸ができなくなる人もいるので、段階踏んでやる」

    「滝に入る前にリタイアする人もいるけど、もったいないので2分頑張ろう!」

    スタッフの口からは、次々と不穏なワードが飛び出すが、きっと、安全に万全を期すために、多少盛って注意喚起しているのだろう。そう思うことにする。

    パット見、割と大丈夫そうな滝

    雲行き怪しいまま説明が終わり、滝への山道に入る。山道は、何となく人が通る導線はあるものの、ほぼ自然のまんま。岩だらけの急な道をサンダルで登っていくので、足腰に来る。

    ひいひい言いながら、山の斜面に設けられた脱衣所に到着。荷物を置いて、準備を整える。

    旅館の温泉に向かう宿泊客ではない

     

    いよいよ、滝とご対面。高さ5メートルくらいのところにある岩の裂け目から、景気よく清水が流れて出ている。

    思ったより小さめの滝

     

    写真を見ていただいたらわかるかと思うが、思ったより、激しくない。水の勢いだけ見れば、スーパー銭湯とかによくある打たせ湯の、“ワイド版”って感じ。

    「あっなんか、大丈夫そう」

    と思った。

    修行中、「南無大師遍照金剛」を叫び続けるわけだが、連続で叫んで呼吸が乱れないようにするために、滝行中の人と、待機中の人が交互に真言を叫ぶシステムになっている。コールアンドレスポンスというやつだ。

     

    鈴木は何を祈ればいいのか。

    今回、失恋フェス一行のほかに、もう一団体参加者があった。先にその団体が滝行に入り、我々はしばし待機することになった。

    第一陣の皆さんを眺めている途中で、一つ大事なことを思い出した。

    「そういや、何を祈願するか決めてなかったな」

    滝行といったら、何か願掛けのためにやるイメージがある。スタッフも、「自分か、誰かのために願をかけてください」と言っていた気がする。しかし私には、これといって”かけたい願”が無かったのだ。

    「うーん、せっかくなら自分以外の誰かのために願をかけるか。だれにかけよう」

    願掛けと言ったら大切な人。幸せになってほしい人。王道は家族かしら。あっ、でもお世話になっている友達もたくさんいるぞ。いや、やはり、いつも一番近くにいてくれる恋人か…。

    ひとしきり悩んだ末、答えが出た。

     

    「よし。世界中にいる猫ちゃんの幸せを願おう」

    この世に、猫ちゃんの幸せ以上に優先されるべきものなどない。ふ凡社鈴木は、世界中の猫ちゃんたちに幸せを届けるため、滝に打たれるのだ。これが私の生きる道である。はい、決まり!

     

    滝の中はワンダ ヘル ワールド

     

    無事、滝行の目的も決まったところで、第一陣の滝行が終わった。一人滝に入る前にギブアップした方がいたものの、ほかの皆さんは何の滞りもなく滝行を終えた。

    私は、後方で待機している間に緊張も解け、イメトレもバッチり。なんなら早く順番が来ないかなとワクワクしていた。早く、早く猫ちゃんの幸せを祈らせてくれ。

     

    前の団体と入れ替わり、失恋フェス一向は滝の麓へ。私の順番は4番目になった。

    鈴木「鈴木、行きます!」

    意気揚々と叫び、水に入る。アドレナリンが出まくっているのか、冷たさを感じなかった。

    水に入って、まず山・滝の神様に挨拶する

     

    ス「では、体に水を被ってください」

    鈴「はい!!!!」

    景気よく体に水をまぶす。

     

     

    これもへっちゃらだ。全然冷たくない。なんつったって私には、世界中の猫ちゃんたちがついている。

    ス「はい、じゃあ頭から水を被ってください!」

    鈴「はい!!!」

    スタッフから差し出された桶を掴み、

    鈴「うぉりゃっ!!!!!」

    と一気に水を被る。

     

    鈴「あっ、やばい、死ぬ」

     

    ちょっと、ちょっと待ちたまえ。頭からかぶった瞬間、めちゃくちゃ寒いじゃないか。さっき体にまぶした水はなんだったのかね。あれは嘘かね、君。私をだましたのかね。

    ス「はい、南無大師遍照金剛、3回!!!!」

    スタッフの声で我に返る。そうだ、私これから、この水に打たれるんだった。正気か?

    …人間、何やってんだ?

    しかし、もう後のフェスティバル。ここまで来たらもう引き返せない。叫ぶしかない。

    鈴「南無大師遍照金剛!南無大師遍照金剛!!南無大師遍照金剛!!!」

    ス「はい、じゃあまずは滝の近くに入って!」

    既に、頭がぼんやりしている。足元がおぼつかないまま滝の近くに歩き、

     

    レフェリーに安否確認されてるボクサー感ある

     

    そのまま滝に背を向ける。

     

     

    鈴「なみゅ!!!!」

    背中に衝撃が走る。水が、めっっちゃくちゃ重たい!!!

    まだ背中の一部を水に打たれただけで、この重さ。鈍器か。

    鈴「…ぅたいし遍照金剛!」

    一瞬意識が飛びかけたのをぐっとこらえ、何とか真言を叫ぶ。

    ス「はい南無大師遍照金剛!」

    鈴「南無大師遍照金剛!」

    ス「南無大師遍照金剛!」

    鈴「南無大師遍照金剛!!」

    ス「はいじゃあ滝に背をつけて!!!」

    生まれたての小鹿に等しい体幹にむち打ち、いざ滝の深部へ。

    鈴「南無大師へんっっっっ#$&%&’!!!!」

     

     

    あたり前だが、滝の直下はもっとやばかった。首筋に、重たい水が絶え間なくたたきこまれる。そしてめちゃくちゃ冷たい。呼吸が詰まる。

    ス「はい南無大師遍照金剛!」

    鈴「なっ、南無大師遍照金剛!!」

    ス「南無大師遍照金剛!」

    鈴「南無大師遍照金剛!!!!」

    もうなんというか、コマンドが2つしかないのだ。「息する」か、「叫ぶ」かの二択。ここまで行動の選択肢が絞られた状態、赤ちゃんの時以来である。

    ス「南無大師遍照金剛!」

    鈴「… nぅあむ大師…遍照金こぉぅ(裏声)!!」

     

     

    どっかのタイミングでペース配分をミスったのか、一回叫ぶごとに声が脳の中で反響して、頭が割れるように痛い。でも、止まると呼吸が詰まる。視界はどんどん白くなり、体の感覚はとうにない。

    ス「南無大師遍照金剛!」

    鈴「南無……」

    ついに沈黙。MajiでSyoten 5秒前。

     

    ついに、声が出なくなった。いかん、このままではドクターストップがかかってしまう。ってか、もう出たい。とっととこの地獄を抜け出したい。

    ?「まけないで…」

    鈴「(はっ!?この声は?)」

    ?「鈴木、まけないで…!」

    鈴「(君はひょっとして…猫ちゃん?)」

    目を閉じると、額のあたりに三匹くらい猫ちゃんが飛び回っている。

     

    そうだ、私はなぜここにいるのか。猫ちゃんの幸せを祈るためだ。度重なる肉体的ショックで、すっかり忘れていた。

    なぜ辛いのか。足りないからだ、猫ちゃんへの愛が。

    鈴「なむたいしへんじょうこんごう(小声)」

    枯れかけていた私のパトスが、静かに息を吹き返す。

    ス「…南無大師遍照金剛!」

    鈴「南無大師遍照金剛」

    いったん叫ぶのを止め、自分に聞こえる程度の音で頭への衝撃を緩和しつつ、少しずつ呼吸を整えていく。

    ス「南無大師遍照金剛!」

    鈴「南無大師遍照金剛(猫ちゃん!)」

     

    猫「マケナイデ…」

    ス「南無大師遍照金剛!」

    鈴「南無大師遍照金剛!(猫ちゃん!!)」

     

    ス「南無大師遍照金剛!!」

    鈴「南無大師遍照金剛!!(猫ちゃん!!!)」

     

    猫「チャオチュールちょうだい」

    ス「はい!最後に、南無大師遍照金剛!」

    うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!猫ちゃんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!

     

     

    鈴「南無大師遍照金剛!!!!」

     

     

    ス「はい、終わり!!!」

    スタッフの腕をつかんで、滝から引っ張り出される。

    頭はぐらっぐら。まともに歩けない。額を飛び回る猫ちゃんたちは、気づけば20匹くらいに増えていた。猫カフェか。

    何とか滝の入り口に向かって、最後に滝の神様に一礼、山の神様に一礼、そして応援してくれた皆さんに一礼する。

     

    猫ちゃんたち、ボク、勝ったよ

     

    滝イキリできる側の人間へ

    滝を出ると、今までの地獄が嘘のように、視界が晴れていた。なんだか体もぽかぽかしている。

    脱衣所に戻る前の道で、参加者の皆さんが「お疲れ様です」と労ってくれた。安心と嬉しさで、自然、満面の笑顔になった。

    こうして、人生初の滝行が終わった。マジで、死の淵に追いやられるほど過酷だった。

    肘氏にインタビューした際、

    「滝行を経験した後、なにかと滝の話もちだして、“滝イキり”したくなるんですよね」

    と話していた。正直まったく意味が分からなったが、実際やって理解した。これはイキりたくもなるわ。

     

    これから履歴書を書く機会があったら、資格欄に「滝行、履修済み」と書こうと思う。世界中の猫ちゃんたちに幸あれ。

     

    滝行が終わって、自然と一体化する鈴木

  • 「第2回なんちゃってフェスカラオケー冬の陣ー」開催中止・延期のお知らせ

    「第2回なんちゃってフェスカラオケー冬の陣ー」開催中止・延期のお知らせ

    ふ凡社鈴木です

    3月1日に開催を予定していました「第二回なんちゃってフェスカラオケ―冬の陣―」につきまして、コロナウィルスの影響を鑑みて、延期にすることにいたしました。

    参加予定の皆様に、個別に可否のご意見いただき、一度は「予定通り開催」の方向で調整を進めて参りましたが、本日政府より発表あった「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を始め、改めてコロナの社会的脅威甚だしいこと考慮の上での決断となりました。

    参加表明してくださった皆様におかれましては、情報二転三転してしまったこと、直前のご報告となってしまったこと心よりお詫び申し上げます。

    フェスカラオケはクレイジーにはっちゃけるイベントですが、やはり、「体調万全・意気軒昂・憂い無し」の三拍子揃ってこその狂宴。何卒ご理解いただければと存じます。

    また、現状未定ですが、影響が落ち着きました頃に、必ずや振り替えを実施します。その際は、今回出場を表明してくださった皆様のご都合を可能な限り調整の上、日程を改めさせていただく心づもりです。

    次回開催の折は、ぜひまたエントリーのご検討いただければ幸いです。

    鈴木も、今回のために用意していたパフォーマンスを更に磨いて備える所存です。

    また皆様の華麗なパフォーマンスを見れる日が来ることを、心より楽しみにいたしております。

    引き続き「なんちゃってフェスカラオケ」をよろしくお願いいたします。

    なんちゃってフェスカラオケ実行委員会

  • 【参加者募集】「なんちゃってフェスカラオケー冬の陣ー」開催のお知らせ

    【参加者募集】「なんちゃってフェスカラオケー冬の陣ー」開催のお知らせ

    ふ凡社代表取締役NTR(Nori Tacos Recipe)の鈴木です。

     

    2020年3月1日(日)に

    「なんちゃってフェスカラオケー冬の陣ー」

    を開催することにした。

    フェスカラオケとは

    なんちゃってフェスカラオケとは、ステージのあるカラオケボックスで、歌うだけでなくMCまで含めたパフォーマンスをやってもらう、超参加型のカラオケ企画である。

    2019年夏に第1回を開催したところ、生粋のエンターテイナーたちが集い、めちゃくちゃ楽しかった。(当日の様子は、レポート記事にてご覧頂きたい)

    あの素晴らしい熱気をもう一度ということで、第2回をやることにした。

     

    新企画もやる

    2回めにして、1つ趣向を変える予定だ。

    次回は、フェスだけでなく、紅白歌合戦もやる。 

    前半は、第1回と同じようにフェス形式で、ご自身が思う「アーティスト像」を全身で披露するパフォーマンスをやっていただく。

    フェスが一巡した後は、参加者を2チームに分け、採点機能を用いた紅白戦をやるのだ。

    紅白戦のルールは、ひたすら自由である。

    フェスに続いてMCとパフォーマンスを交えるのも良し、自分がリラックスして歌える渾身の十八番を歌うもよし、その場の流れや空気に合わせて、選曲を変えるのも良し。

    前半は、ある程度の縛りの中でパフォーマンスするという非日常感を味わっていただき、後半は、より自由度の高い楽しみ方をして頂こうという趣向だ。

     

    来たれ!生来のエンターテイナー

    場所は都内、時間は13時〜18時頃までを予定している。

    気になった方は、是非私のTwitterアカウントや、ブログのコメント欄でエントリーして欲しい。詳細を追ってご連絡する。

    友達を誘っても良いし、単身で乗り込んで下さっても構わない。

    周りが誰も知らない人でも大丈夫。全員が全力で盛り上げてくれる、優しさの空間が形成されるのは前回確認済みである。ノリとフィーリング片手に安心して飛び込んでいただきたい。

    新たなエンターテイナーにお会い出来ることを、心より楽しみにしている。

    (ふ凡社 フェスカラオケ実行委員会)

  • アルティメットキャッサバを作る

    アルティメットキャッサバを作る

    こんばんは、

    ふ凡社代表取締役 IoT(Ika okura Tomato)

    の鈴木です。

     

     

    今回は

    紙粘土を使って、本物に限りなく近いキャッサバを作る企画

    である。

     

    この一文だけでは意味不明だと思うので、順を追って説明する。

     

    「地味ハロウィン」でキャッサバになった話

     

    今年の「地味ハロウィン」で、私はキャッサバのコスプレをした。

     

    「地味ハロウィン」とは、Webメディア「デイリーポータルZ」さん主催の、地味なコスプレ限定ハロウィンイベントだ。「エスカレーターの手すりを磨く人」や、「顔交換アプリが別のところに反応しちゃった人」といった、地味なコスプレをした人たちが集結する。

    画像はプレスリリースより

     

    私は3年前に初参加して以来、毎年、人ではなく無生物をモチーフにしたコスプレをして参加している。

     

    キャッサバは、南米やアフリカを中心に栽培されている芋の一種で、今年大流行したタピオカの原料である。

     

    地味ハロウィンのネタを決めるにあたって、

     

    「今年を象徴する地味な無生物はなにか」

     

    と思案した結果、イケイケのタピオカに対し、びっくりするほどスポットライトが当たらない原料に目をつけたのだ。

     

    イベント当日、私は以下のような姿になった。

     

     

    歩くキャッサバ。人体は添えるだけ。

     

    紙粘土で作ったキャッサバを頭に乗せているわけだが、我ながら、なかなかの出来栄えだと思う。地味ハロの会場でも、多くの方から「クオリティ高いですね」と言っていただき、得意な気持ちになった。

    しかし。イベント終了後、どこか心にひっかかるものがあった。

     

    「私はキャッサバの何を理解できたのだろうか」

     

    作るにあたって参考にしたのは、Googleの画像検索結果だけ。あまり多くの資料が出てくるわけでもないから、質感や細部はほぼ想像で作ったと言ってもよい。キャッサバ自体についても、タピオカの原料であることぐらいしか知らない。

     

    こんなふわりとした材料とフィーリングだけで作ったものを、果たしてキャッサバと呼べるのだろうか。大昔の日本人が想像で描いた象の絵とさして変わらないではないか。これではいけない。

     

    そして私は決意した。

     

    「本物のキャッサバを手に入れて、アルティメットキャッサバを作ろう」

     

    最初の関門「現物調達」

     

    そうと決まれば、まずは現物の手配である。ネットで調べたところ、キャッサバは日本だと沖縄とかで良く作られているらしい。

     

    「キャッサバ粉とか加工品はともかく、芋自体を売ってるところなんて見つかるだろうか。

    見つけたとしても、価格がめっちゃ高かったらどうしよう」

     

    など不安になりながら「キャッサバ、芋、通販」で検索窓をたたいた。すると…

     

     

    まさかのメルカリで売ってる人がいた。嘘だろ。

    愛以外なんでも売ってる場所、メルカリ。

     

     

    10kgから1㎏までと、細かい単位で量り売りしていたので、さっそく1kg分を購入。お値段なんと1100円。超安いではないか。「現物を手に入れる」という、最初にして最大の関門をあっさり突破してしまった。メルカリすげぇ。

     

     

    現物調達できたわけだが・・・

     

    決済を完了すると、早速出品者から連絡が届いた。

     

    「ご購入ありがとうございます。

    午後掘ってすぐに発送いたします」

     

    えっ、ちょっと待って?

    リアルタイムで実ってるの!?

     

    出品者は、群馬県で自家栽培を行っているらしい。聞けばちょうど今が収穫シーズンで、毎日のように掘ってはそのまま出荷しているとのこと。

     

    ここにきて、考えることはひとつである。

     

    「見たい。リアルキャッサバがなってるとこ、超見たい。」

     

    ダメもとで取材を申し込んでみたところ、なんとOKが出た。現物を手に入れただけでも万々歳なのに、まさか収穫現場を目撃することになるとは。

    思わぬ展開に、企画は新たなステージへと突入する。

     

     

    なぜ群馬でキャッサバなのか

     

    一週間後、私は群馬の成島に飛んだ。駅から出品者のご自宅までは、徒歩小一時間ほど。せっかくなのでのんびり田園風景を楽しみながら、道中和菓子屋に寄ってお菓子など買いつつテケテケ歩いた。

     

    現地につき、迎えてくれたのはSご夫妻。ご主人はコンクリート関係の本業を持つ傍ら、親族から受け継いだ農地を使ってサツマイモやキャッサバ、サトイモなどを育てているのだという。

    ぷくぷくに太ったサツマイモが素敵

     

     

    鈴木「サツマイモとサトイモは分かりますが、

    なんつったってキャッサバなんてマイナーな代物を?」

     

    ご主人「知人がキャッサバを作り始めて、その苗をもらって今年から育て始めたんです」

     

    聞けば、S夫妻の自宅近く、邑楽(おうら)郡・太田町は『日本のブラジル』と言われるくらいブラジル人が多い場所だという。

     

    ご主人の知人の奥様もブラジル人。キャッサバはブラジルで良く食べられているそうで、奥様が『群馬でもキャッサバを作りたい』ということで栽培が始まったのだそう。

     

    結果は大成功。今ではキャッサバ栽培の組合まで立ち上がり、この一帯は、知る人ぞ知るキャッサバの特産地になりつつあるそうだ。ブラジル人の行動力すごい。

     

     

    ついに、リアルキャッサバと対面

     

    早速、キャッサバの畑を見せてもらった。

     

    ご主人「ここ一面、全部キャッサバです」

     

    これがキャッサバ畑、略してキャッサ畑。

     

    人の背丈ほどもある苗木が連なる光景が広がっている。てっきりサツマイモみたいに、背の低い葉っぱから生えてるもんだと思っていたから、予想外の姿に驚く。

     

    キャッサバは非常に強い作物のようで、苗を植えた後はほとんど放置していたのに、勝手に育って大豊作だったという。たくましい。たくましいぞキャッサバ。

     

    いよいよ、収穫タイム。1本の苗木から取れるキャッサバはなんと7~8kg。収穫には小型のショベルカーを使う必要がある。

     

    ご主人「じゃあ、掘り上げますね!」

     

    苗の根元に引っ掛けたショベルカーのアームが動き始める。ミシミシと音を立て、苗がゆっくり地面を離れていく。緊張の一瞬。ついに、リアルキャッサバに会えるのだ。

     

     

     

    衝撃の収穫風景

     

    ボコッ!という音とともに地面から姿を現したのは、苗を中心に放射線状に伸びる巨大な物体。これがキャッサバだと!?

     

    近くに寄ってみると、芋というより、根に近い感じ。なんという迫力。若干怖い。水木しげるの妖怪図鑑にこんなのいた気がする。

     

    たくましすぎる御姿

     

    ご主人「堅いんでね、のこぎり使います」

     

    ご主人が、ゴリゴリ芋を切り分けていく。腕の力の入りようから、キャッサバが芋らしからぬ硬さであることがわかる。

     

    芋にはかなり水分が含まれているようで、切ったそばから、切り口に白い液がぽつぽつ浮かんだ。こやつがでんぷん質で、後にタピオカとなるそうだ。

    真っ白な液を、ああしてこうするとタピオカになる

     

     

     

    1株から、ず太いキャッサバが10本ほど取れた。

     

     

    大漁大漁

     

    せっかくなので、持ち上げてみる。

     

     

    鈴木「わぁっ!仙骨あたりに不安を覚える!!!!(キャッキャ)」

     

    1本が余裕で1kgくらいあるから、そりゃ重いはずである。早々にリリース。

     

    その後、形の良い大きなキャッサバを3本、その場で購入した。

     

    3本でしめて2.5kgもある

     

    袋に入れるとずっしり重い。ヒイヒイ運びながら帰路につき、ついに本物のキャッサバを手に入れたのだった。

     

    新巻鮭を持ってる感ある

     

    いよいよアルティメットキャッサバ作り

     

    さて、いよいよ本題だ。紙粘土でアルティメットキャッサバを作っていく。

     

    まずは風呂場で土を落とし、本物のキャッサバをしかと観察するところから始める。

     

    上からブロッサム、バブルス、バターカップと名付けた

     

     

    形は、太いごぼうにみたい。

    表面は、細かな網目状の筋でおおわれている。

    特徴的な白い横筋は、思ったよりも近い間隔でたくさん入っている。

    胴に、ところどころくびれている部分がある。

     

    アップで見て初めてディティールが分かる

     

     

    キャッサバにはいくつか品種があるようで、私が最初に作った胴が太いキャッサバとはどうやら別品種らしい。しかしながら、品種の違いを差し引いても、プロトタイプが相当大味なクオリティであったことが分かる。

    突然のご本人登場に戸惑うプロトタイプ

     

    己の力不足を省み、改めてキャッサバに向き合いながら作っていこうではないか。

     

     

    まずは原型を作る

     

    まずは原型づくり。紙粘土をこねて伸ばして大まかな形を作る。

    象牙っぽい形

    続いてボディーのところどころに、くびれを作る。これだけで、だいぶキャッサバ感が出る。

    くびれを入れるとキャッサバ感が一気にアップ

     

    さらに、白い横筋を入れる。

     

    これで大枠は完成だ。

     

    さて、ここからが大変。爪楊枝を使って、細かな網目模様を入れていく。紙粘土はどんどん乾いていくので、都度都度水で表皮を潤しながら、チクチクチクチクと地道な作業を進める。

     

    乾燥肌との闘い

     

    格闘すること約2時間、ようやく全体に模様を入れることができた

     

     

    続いて、原型を乾燥させる。プロトタイプを作った時は、机に置いて乾かしたから、底が平たい仕上がりになってしまった。

    今回はアルティメット版ということで、細かな点も妥協しない。

     

    キャッサバ職人は、乾燥までこだわる

     

     

    原型の形を崩さないために、浴室にハンモック型の乾燥装置を作った。これで、底がつぶれることなく、そのままの形で乾燥できるはずだ。

    さらに、先端を箸で支える形で固定し、先っちょが地面からちょっと浮いている様までしかと再現する。

     

    こうして、ようやく原型が完成した。

     

     

    アルティメット原型

     

    いいんでねぇか。かーなーりいいんでねぇかこれ。

     

    彩色迷路の果て

    つづいて、色をつけていく。プロトタイプは、画像をもとに「こおんな感じ?」で色を塗ったが、アルティメット版はここでも妥協しない。

    まず、フォトショップのスポイト機能を使い、写真からキャッサバの表皮の色を特定する。

     

    赤132・緑104・青66か。オッケ。

     

    RGBの値が出るから、だいたいこの割合で赤・緑・青の絵の具を混ぜれば、本物に近い色を再現できるはずだ。

     

     

    いざ、混色。ノリノリで混ぜた結果がこちら。

     

     

     

    なんだこれ。地獄の色じゃねぇか。

     

    鈴木には色の原則がよくわからぬ。よくわからんけど、RGBってそんな単純じゃないことが分かった。私が悪かった。

     

    おとなしく黄土色の絵の具を使い、そこに色を足していく形で、採取した色に近い絵の具を作っていく。

    最初からこうすればよかったのだ

     

    だいたいこれくらいかな?という色ができたところで、全体を塗ってみる。

     

     

    彩色第1弾

     

    うーん。単体だとそれらしい色にも見えるが、実物と比べるとだいぶ明るい色合いになっていることが分かる。改良だ。

     

     

    一旦乾燥させ、さらに色を足していく。2層目は、前回の色に茶色・青を混ぜることで、より黒味がかった色を作って塗ってみた。

     

    彩色第2弾

     

    「おおっ!だいぶ近づいたんじゃない!?」

     

    最初に塗った明るめの色が下地になり、網目部分が浮かび上がっている。単色ののっぺりした感じから、立体感が生まれた。いい感じだ。

     

    ここからさらに細かな色合いを重ねて、よりリアルな色を追求していく作業に入る

     

    ・・・が。ここからが迷路だった。

     

    基本的にベースの黄土色に色を混ぜて濃淡のバリエーションを作っていくのだが、塗れば塗るほど「なんか違うな、の精」と、「もうちょっとこう、の精」が頭の周りを交互に飛び、なかなか思うような色彩にたどり着けない。

     

    近く塗っては乾かし、塗っては乾かし、作った絵の具のグラデーションはこの通り。

     

    皿の数は、迷いの数

     

     

     

    黄土色たちとの泥仕合を約2時間繰り返した末に、たどり着いたのがこの1本。

     

    完成した彩色アルティメット版

     

    ふはは、できた。できたぞ!どうだいこの出来。

     

    早速実物と並べてみようではないか。

     

     

     

     

     

    ぱっと見、どっちか分からないレベル。

     

    ・・・近くないか。ねぇ超近くないか。

     

    本物と見比べても、大差ないクオリティになったのではないか。重ね塗りで迷走したおかげで、図らずも部位によって微妙に色の濃さが異なる感じまで再現できた。

    細かすぎて伝わらないグラデーション

     

     

    こうして、ようやく納得のいくクオリティの本体が完成した。やったね!

     

    テンション上がって、コロッセオの戦士っぽい写真を撮る鈴木

     

    さらにテンション上がり、シャイニングっぽい写真を撮る鈴木

     

     

    しかし、ここで終わりではない。

     

    私のキャッサバは、頭にのせることで初めて完成するのだ。

     

    ついに完成、アルティメットキャッサバ

     

    早速、プロトタイプと同じ要領で帽子型のジョイント機構を作った。

     

    園芸用の皿に靴紐を通し、3本の釘で本体を支えるシンプルな構造

     

     

    出来上がった帽子にキャッサバを設置し、いざ、装着。

     

     

     

     

     

     

     

     

    じゃーん!!はい完成、アルティメットキャッサバ。

     

    ゆるやかなうねりを描きながら、すらりと伸びるこのフォルム。馴染む、体に馴染むぞ。さすがはアルティメット。

    キャッサバはこうでなくては困る。よっ、芋大臣!ブラジル大使館から親善大使のオファー来るよこれ。大満足!

     

     

    ひとしきり自画自賛したあと、最後はキャッサバをフライドポテトにしておいしくいただいた。

     

     

    ジャガイモとサトイモのちょうど中間のような味で、独特な風味と甘みがある。塩をちょっと振っただけでめちゃくちゃおいしい。

     

    キャッサバを知り、キャッサバに向き合い、キャッサバと一体となる。生産性と合理性を一切無視した、贅沢な試み。

     

    ああ楽しかった。今年、もうやり切った感があるな。ありがとうキャッサバ。

     

    (ふ凡社編集部)

  • 生卵の集い 「なんちゃってフェスカラオケ」開催レポ

    生卵の集い 「なんちゃってフェスカラオケ」開催レポ

    ふ凡社代表取締役ATM(Amazon Tofu Midnight)の鈴木です。

    8月4日、「なんちゃってフェスカラオケ」を開催した。

     

    「自分がアーティストとしてライブするとしたら、MCで何を話して、何を歌おうか」

     

    誰もが(多分)一度は抱いたことがあるであろう妄想を、なんちゃって叶える場として開催を宣言した本イベント。

     

    「MCから始める」という縛りを設けた時点で、この企画に乗ってくれる人はおそらく生まれながらのエンターテイナー。中学高校で学年に一人いるかいないかレベルの逸材だろう。

     

    雨に濡れた石灰紛ほどの拡散力もない私のTwitterアカウントで呼びかけたところで、5人も集まるかどうか……。

     

    そんなテンションで募集をかけたら、まさかの14人もの方からエントリーがあった。大変ビビった。14といったら2で割ると7ではないか。これはとんでもないことだ。

     

    そして、実際に開催してみたら、色んな意味で主催の予想をぶち抜いてくるイベントだった。ところどころ何を言ってるか分かんねぇと思うが、ありのままに起こったレポートをお伝えする。

     

     

    何も予想できない開催前

    まず開催の前日譚から。なんつったって初の試みだから、当日どんなイベントになるか主催の私にすら塵ほども予想がつかなかった。さらに、参加者の方から事前に集めた情報といえば、「歌う曲の候補」だけ。誰がどんなパフォーマンスをするのかなど詳細もまったく分からない。

     

    皆さんに頂いた曲の候補には、もちろん知らない歌がたくさんあったが、ノリとフィーリングだけでセトリを作った。これは、「前の人が〇〇(ジャンル)歌ったから、自分も流れに合わせよう」というカラオケあるあるを払拭するためだ。

     

    歌う順番以外の一切を、参加者に委ねるスタイル。超ゆるふわ実行委員会である。最低限の準備を整え、あとはハクナマタタの境地で当日を迎えた。

     

    フェスカラオケのここが凄い
    1、開会前の下ごしらえがガチ

     

    そして迎えた当日。まずビビったのは、参加者複数名が、誰に頼まれたわけでもなくサイリウムを持参していたこと。

    さらに、参加者全員に簡易サイリウムを配り始める猛者まで現れたことだ。

     

    これによりなぜかサイリウムが全員の手にいきわたり、開会前にオーディエンス側が仕上がった。

    このサイリウムが、後のパフォーマンスぶち上げに大きく貢献するのは言うまでもない。

     

    サイリウムがある喜び

    他にも、自分の歌にコールを投げてもらうために歌詞カードを配る人がいたり、マイクスタンドの位置など周辺機材のチェックまで余念がない人がいたりと、事前準備のガチさがすでに主催の予想を上回っていた。

     

     

    フェスカラオケのここが凄い
    2、オーディエンスの適応力がガチ

     

    簡単な流れ確認もそこそこに、いざ開演。いよいよパフォーマンスタイムが幕を開ける。

    最初は主催の私が先陣切ってトップバッターを務めた。1曲目では

     

    「結成15周年を記念して、デビュー時に使った小さなライブハウスでアニバーサリーライブを行う女性アーティスト」

     

    という設定でMCをやった。いきなり知らないアーティストのコンサートに途中から放り込まれるようなもんだから、参加者の皆さんはきっと反応に困るだろうな、とある程度覚悟をしていたが、驚くべきは皆さんの適応力の高さである。

     

    事前情報を一切持っていないにも関わらず、私がでっち上げた存在しないアーティストの結成当時の思い出話にしっかり相槌を打ち、黄色い声援を送ってくれるのだ。この時点でたいへん心地がよい。

     

    そして、実際のパフォーマンスは

     

    「自分と同じタイミングでデビューして、今も仲良くしている男性アーティストの代表曲」

     

    という設定で「マツケンサンバⅡ」を歌い踊った。

    マツケン本人はもちろん、バックダンサーも一人でやるから大忙しだった

     

    MCのテンションと選曲のギャップでみんなを振り落としてやろう、という趣向だったが、参加者は何のためらいもなく立ち上がり、今度は松平と化した鈴木にサイリウムを振って応えてくれる。なんだ、この情報処理速度と適応力の高さは。ハイスペックノートPCか。ハイスペックノートPCなのか。

    何をやっても黄色い声援をもらえるから、なろう系小説の主人公になった気分になる

     

     

    フェスカラオケのここが凄い
    3、キャラの作りこみがガチ

     

    (ここからは、参加者のフォトグラフィーとともにご覧いただきたい)

     

    歓声とともにステージを去り、参加者にバトンタッチする。次に驚いたのはキャラの作りこみ度の高さである。

     

    ・バンドメンバーとのできちゃった婚で解散を宣言する女性アーティスト

    ・始めてフェスに出演した地下アイドル

    ・108回目のソロコンサートを迎えた演歌歌手

    ・某ピ〇ーロランドからやってきたダニエル君

     

    などなど、皆さんが普段心の中に飼っているのであろう、やたら設定の細かいアーティストたちが次々登場する。皆さん恥もためらいも一切なく、キャラになりきってパフォーマンスを披露していくもんだから、観客を自分の世界へ引きずり込む吸引力の高さも半端ではなかった。

     

    フリフリのメイド服で会場を沸かせた綾藤あやめ氏。リアルすぎる「地下アイドル感」に、その場にいた全員がデビュー時から追いかけてる古参ファンと化した

     

    「MCも入れてやってね!」くらいのゆるふわ呼びかけだったから、皆さんゆうて一般的なコンサートっぽい模範的なMCをやってくださるのだろう、と若干高をくくっていたが、甘かった。

     

     

    「ドスパラのテーマ」でキレッキレのアイドルダンスを披露するぽてこ氏。筆者、ドスパラがPCショップであることは後から知った。(パフォーマンスの完成度から、アニメかなんかの曲だと思っていた)

     

     

    名曲「パーフェクトヒューマン」を腐女子版に変えて歌ったみきぽ氏。(手元にあるのは歌詞カードで、決して町内会のビンゴ大会に参加しているではない)

     

     

     

     

     

    登壇一発目に腐女子であることをカミングアウトし、「概念としての推しカプソング」を歌ったアカヤガラ氏。概念としての推しカプってなんだ(哲学)

     

     

    180回目のソロコンサートを迎えた日深氏。歌唱力と妙な色っぽさで、会場を演歌大好き高齢者集う地域密着型文化施設に変えた

    ピュー〇ランドからの刺客・ダニエル君。重低音ボイスで良い子のみんなに語り掛けるMCは、若干サイコホラー映画のシリアルキラー感があった。

     

     

     

    自己啓発本の出版イベントを始める種氏。「歌手ではなく著者」というフェスカラオケの根底を覆してくる。自由すぎる

     

     

     

     

    ライブでベースのユウジとの結婚と妊娠を報告、そのままバンド解散を宣言したあいり氏。観客はショックと怒りと祝福の狭間で揺れ動いた。

     

     

    魑魅魍魎うごめく中、ストレートなバンドマン感を演出したりばすと氏。MCの「歌一筋で喋りには慣れていない不器用さ」まで含めやたらリアルだった。後半は観客から「りば様」と呼ばれていた。

     

    やたらてんぱってる新人アイドル感を惜しげもなく披露した抹茶味のうじがわ氏。猫背な感じが良い

     

    大森靖子の「TOKYO」を歌うの木氏。静かにゾーンに入り、作ってきたキャラを憑依させて歌う姿を見て、シャーマンキングみたいだなと思った。

     

    グラス片手に山口百恵の「さよならの向こう側」を歌うさくら氏。参加者が気づいたかどうか分からないが、歌い終わりにマイクを置いて去ったのは、百恵ちゃんのラストコンサートの演出を踏襲している。この人いくつだ。

     

     

    「檄!帝国華撃団」を可憐に歌い踊る梅子氏。フェスカラのために毎日カラオケに通う様をTwitterに投稿し、「えっ、そんなちゃんと練習しなきゃなの!?」と主催を焦らせた。

     

     

     

    アイドルマスターシンデレラガールズより、「Orange Sapphire」を歌う物子氏。間奏の間に推しアイドル諸星きらり氏への大きすぎる愛を叫び、きらり氏の大きすぎる包容力を観客に知らしめた。

     

    遅れて登場した寒いところから来た人氏。「ルパン三世のテーマ」を、明らかに素人のそれではないビブラートと歌唱力で歌った。会場ではお伝えしたが、その筋の人である。

     

    こんな具合で、およそ5時間にわたり才能の塊みたいな人ばかりが登場するもんだから心の底から楽しかった。

    こうして第一回なんちゃってフェスカラオケは、パフォーマーも観客も大いに楽しみ、大いに消耗する超ハイテンションイベントのまま幕を閉じた。

    ラストは全員で「おジャ魔女カーニバル」を歌った。参加者の年齢層が如実にわかる選曲

     

    フェスカラオケのここが凄い
    4、そもそも破る殻などなかった

     

    勇気を出して普段日常ではやらないパフォーマンス挑戦し、なにか自分の殻を破るきっかけになればいいな!

     

    的なスタンスで開催してみたら、来た人全員生卵だった。

    この画像を見ていただければ、いかにカロリーを消費する会だったかがお分かりいただけるだろう

     

    帰り道、参加者と一緒に「冬の歌縛りの回をやろう」、「メンバーが逮捕されたアーティストの曲縛りもできそうだ」などなど、応用の可能性も飛び出した。

    超楽しかったから、夏の陣・冬の陣みたいな感じで定期開催などできればいいなと思う。

     

    (ふ凡社なんちゃってフェスカラオケ実行委員会)

  • フェスカラオケ開催概要

    フェスカラオケ開催概要

    ふ凡社代表取締役TDL(Tokyo Demon Lunch)の鈴木です。

     

     

     

    「なんちゃってフェスカラオケ」

    の企画を立ててから、お陰様で沢山の方からエントリーを頂いた。誠にありがたい限りである。
    どんな会になるか楽しみすぎて、2週間くらい前から夜眠れず、今私の目の周りはNARUTOの我愛羅みたいなクマができている。嘘である。
    さて、開催1週間を前に、当日の流れなど詳細をこの場でお伝えする。
    参加者の皆様一読いただければと思う。

    持ち時間について

    当日、持ち時間は、MCと入退場含めて
    「1曲10分」
    を予定している。
    歌う予定の方は16名ほどいるので、これで320分ほどになる予定である。10分がMAXで、1人2曲歌う計算だ。

    歌う順番について

    誰がどの順番で歌うかなどは、全て鈴木に一任頂きたい。
    当日も、事前に歌う順番など伝えず、スケッチブックで「次は○○さん」と直前告知をする形で進める予定だ。
    これは、参加者が用意してきたパフォーマンスが、なるべく前の人のパフォーマンスに影響されないようするためと
    「何番目に来るか分からないドキドキ」
    を楽しんでもらうためである。
    基本的に2曲は連続して歌わず、「1曲終わったら交代」で2巡するプログラムにする予定だが、もし
    「2曲連続でやりたい」
    といった要望あれば対応するので、TwitterのDMなどから連絡いただければと思う。
    また、もしかしたら時間の関係で予定より伸びたりするかもしれないので、「次の予定があるので」という方は事前にお伝えいただければ順番など調整する。

    撮影などについて

    当日の撮影などについては、こちらからお手伝いを頼んだ動画班・写真班・SNS班の3人に任せて、ほかの参加者は歌とパフォーマンスに集中頂けるようにする予定だ。
    撮影にあたり、「撮影やSNS拡散NGの方」は予めお伝えいただければと思う。

    ドリンクの注文について

    飲み物の注文は最初にバーッとやってしまって、飲み物が行き渡ってから本格開会としたい。
    追加で頼みたい人は個別に私に伝えて頂く形で対応したいと思う。
    (当日私は入口近くにいて、窓口になる予定)

    懇親会もやりたい

    フェスカラが終了した後、近くのお店で懇親会もやりたいと思う。
    店はまだ決まってないが、MAX3000円くらいで飲める場所を抑えるつもりだ。
    事前にお伝えした通り、フェスカラ中は、基本的に「誰が誰の何」みたいな個人に関するバックグラウンド説明一切無しで進める。
    懇親会で、個人の謎に迫れる場になれば良いなと思う。

    オーディエンス参加受付中!

    また、引き続きオーディエンス参加も受付中だ。オーディエンス参加は直前でも大丈夫なので、引き続き周りの人など声がけいただければと思う。
    以上、フェスまでのラスト1週間、皆さんのベストパフォーマンスを超楽しみにしている。超楽しみにしている。めっちゃ楽しみにしている。
    (ふ凡社 なんちゃってフェスカラオケ実行委員会)
  • (参加者募集)「なんちゃってフェスカラオケ」開催のお知らせ

    (参加者募集)「なんちゃってフェスカラオケ」開催のお知らせ

    どうも、ふ凡社代表取締役AKB(Asian Kung-fu バンドエイド )の鈴木です。

     

    8月4日(日)に

     

    「なんちゃってフェスカラオケ」

     

    というイベントを開催することにした。参加者を募るべく、この場を借りて概要をプリティに説明する。

     

     

    これがなんちゃってフェスカラオケだ

     

    なんちゃってフェスカラオケとは、コンサートをやってる気分を疑似体験する新感覚カラオケである。

    おおまかな流れは以下の通り。

     

     

    1、ステージのあるパーティールームを借りる

    2、歌う人はデンモクを持ってステージに上がり、まずMCから始める。

     

    歌う曲が生まれたエピソードや今回のツアーにかける意気込みなど、「私がやってみたかったライブ感」を再現してもらう。

     

    3、MCが終わったらデンモクから曲を入れ、とっておきの1曲をとっておきに歌う

    熱唱するキャサリンの図

     

     

    4、歌い終わったら、観客への感謝など叫びながらステージを後にする

     

    これを人数分繰り返すのだ。歌う側がやることはいたってシンプル。

    聴く側に求められる高度なパフォーマンス

     

    実は、今回の企画の肝となるのは、「聴く側のパフォーマンス」である。

     

    フェスカラオケの成功条件は、「歌う人全員が心地よいライブ感を体験して帰ってもらう」ことだ。これを実現するためには、観客側に

     

    「誰が何を歌っても完璧にノル」

     

    という高度な適応力が求められるのだ。ということで、「自分が歌わない間=聴き手に回っている時」に、いくつかの縛りを設けることにした。

     

     

    1、観客は、ステージに立つ人の歌に聴き入る(スマホやデンモクをいじったりしない)

    2、いかなるジャンル・テンションの曲が来ても、「歌ってる人の大ファン」になりきって、ノル

    3、歌い手のMCに対して声援を送ったり、反応したりする

    (アーティストとファンのコミュニケーション感を出す)

    • 曲と曲の間は拍手と「アンコール!」で沈黙を繋ぐ(歌う人全員がアンコール登場してきた感を味わえるというメリットもある)

     

     

    こんな感じのルールだ。聴く側がこれらを徹底すると

    「ヘビメタの後に演歌が来てもバイブスが変わらないフロア」

    が生まれることになる。

     

     

    皆で一丸となって、「何が来ても受け入れる超優しい世界」を作り上げること。これが、なんちゃってフェスカラオケの真髄なのだ。

     

    歌う人は、いつものカラオケでありがちな「場の空気を読んで選曲考えなきゃ」とか、「どマイナーな曲入れた盛り下がっちゃうかな」といった余計な気を遣わなくてもいい。

     

    カラオケが苦手でも、MCなんてやったことなくてもいい。いっそ自分以外全員知らない人でも構わない。何をやっても皆ノッてくれるから、安心して飛び込んでいただきたい。そして、誰かが歌っている時は全力でノッてほしい。

     

    もちろん、歌うにあたって、楽器を使ったり、デュエットをしたり、MCに凝ったり、思い思いのパフォーマンスを用意していただいて構わない。(1人持ち時間10分くらいを予定)

     

     

    この趣旨に賛同いただける、「根っからエンターテイナー」の方は、ぜひTwitterのDMやコメントにてノリノリで参加表明していただきたい。(定員は20名ほどを予定)

    鈴木のアカウントはこちら

    ふ凡社 鈴木

     

    (ふ凡社フェス実行委員会)

  • 尿意の限界を知る

    尿意の限界を知る

    神「鈴木よ、お前は今までの人生の中で、自分のことをよく知ることができたか」

    鈴木「はい、もちろんです。自分のことは自分が一番よくわかっています。わからないことなどございません。」

    神「ならば一つ聞こう」

    鈴木「どうぞ。何なりとお答えしましょう」

    神「お前はトイレに行こうかな、と思ってから尿意が限界を迎えるまで、どれだけの時間耐えられる」

    鈴木「えっ」

    どうも、ふ凡社鈴木です。

    尿意を耐えてみようかなと思った。ただそれだけのこと

    先日、仕事中に「トイレに行こうかな」、と思った時のことである。

    いつもはライトに尿意を感じた段階でトイレに立つが、この日の私は、ふと立ち止まって考えてしまった。

    「私の体は、いったいどれだけの時間、尿意に耐えうるのだろうか」

    頭に浮かんだのが、冒頭のやり取りである。死後の世界があるとして、神様がいるとして、生前の様子を神様に報告する場が設けられるとして。今の私は、もし神様から「君どれだけおしっこがまんできんの?」と聞かれたら、正確に回答できないのだ。これはいけない。

    思えば尿意とは不思議な奴である。同じ人間、貯水槽の容量は変わらないはずなのに、水分の摂取量やタイミング、周囲の環境や精神状態など、様々な要素が複雑に絡まって、遅く来たり早く来たり七変化の様相を見せる。私に限らず、実はほとんどの人類は、自分の尿意が「どこから来てどこへ行くのか」を知らないのではないか。これではいけない。

    ならば、探さなきゃね、僕の尿意のふるさと。管を伝って落ちる雫がどこから来るのかを。

    私は浮かせかけた腰にストップをかけ、今一度深く椅子に座りなおした。

    こうして、27歳成人男性による、己の下半身と向き合う本気の耐久レースが幕を開けた。

    1分 「トイレに行こうかな」

    始まりはいつもライトなきっかけから。いつもならここで軽率に席を立つところ、今日の私は一味違う。どっしりと構えて動かざること山の如しである。

    5分 「気になる」

    戸惑いを見せたは私の下半身である。下腹部から、「えっ、行かないんすか?」というメッセージが、微弱な電波に乗って脳に届いているのが分かる。貯水タンクはまだ全くの無傷だが、「なんかいつもと違うことやってんな」と一度意識してしまうと、そわそわスイッチが入るのだ。

    しかし、このそわそわも長くは持たない。10分もすれば尿意は意識から外れ、いつもと変わらぬ生活が広がるばかりであった。

    55分 「トイレに行きたいな」

    小一時間立ったころ、「トイレに行きたいな」と思った。

    「行こうかな」と「行きたいな」。たかだか2文字の違いだが、この間には天と地ほどの差がある。尿意が、感知から認知に変わる瞬間だからだ。

    いつもの私なら、この段階になったら迷わずトイレに行く。このステージが、いわゆる「鈴木の尿意のスタンダード」と言えよう。

    ただ、尿意を認知してからも、タンクの容量にはまだまだ余裕があるので、少し意識すれば軽く耐えられるレベルだった。

    1時間54分 「常に『行けたら行くのに』と思う」

    スタンダードからさらに一時間、ここにきて、状況は一変。常に尿意が頭の片隅から離れないようになる。バラエティ番組のワイプをイメージしていただければわかりやすいだろう。あんな感じで、下腹部にずっと違和感が残っているのだ。

    下腹部の指令室からは「ねぇなんで?なんで行かないんすか?」とひっきりなしにLINEが飛んできているのが分かる。悲鳴を上げ始めた現場に少し心が痛むが、無慈悲に既読スルーする。

    これまで、一時間程度の長いスパンでステージが変化してきたが、以降戦局はめまぐるしく変化していく。

    2時間9分 「怪我をした時に似ている」

    筋をひねったり、指に切り傷があったり、体のどこかに外傷による痛みがあると、何をするにも患部が気にかかってのびのび生活できない。

    あの感覚に非常に似ている。

    少し腕を動かすだけでも、常に下半身を気にしてしまう自分がいる。恋愛ドラマで言うとだいたい6話目くらい、頑なだったヒロインが、ついに犬猿の仲だと思っていた幼馴染への恋心を認めてしまう盛り上がりがこのあたりだろう。

    2時間30分 「ともに生きよう」

    ここにきて、ついに下半身が折れた。なんと尿意を感じなくなったのである

    「わーったよ、行かねぇんだな?ならとことん付き合ってやるよ!!!」

    と腹をくくったのだろうか。一時の安定期が訪れる。

    2時間39分 「下腹部に痛み、体の内側に熱」

    前ステージの安定期は、嵐の前の凪に過ぎなかった。下半身の耐久値はすでにオーバーヒートを迎えつつあったようだ。下腹部に筋肉痛のようなピリピリとした痛みが走り、体は内側から熱を放っているのを感じ始める。

    2時間46分 「座るときめっちゃ背筋がピンとなる」

    このころになると、もはや普段の体制では正気を保てなくなる。気を緩めると漏洩しそうになるので、常に下半身に一定の力を入れ続けるため、背筋がピンとなり、体の重心がやや前傾になる。

    その姿はさながら、遠方にライオンを発見したキリン。緊張と冷や汗で体がプルプル震えているのだ。

    3時17分 「時は減速する」

    時の流れがスローになる。体はキーボードを打ちながら、脳裏には常にトイレのドアを開けるビデオクリップが流れ続けている。

    誰かがトイレに向かう音を聞いただけで、お腹をキュッと握られたような痛みが走る。脳内BGMは中島みゆきの「ファイト!」である。

    3時間30分 「救世主・差し込み相談」

    それまでカタカタとデスクに向かって必死で耐えていたが、そろそろ限界かしら!と思っていた時、同僚から差し込みの相談が入る。下半身はすでにおジャ魔女カーニバルになっているはずなのに、外部からの刺激を受けると一時的に尿意を忘れるから、人体とは実に不思議なもんである。

    ただ、席を立つと、背中にものすごい汗をかいているのが分かった。この時のひやりとした感覚で、再びマグマが沸騰する。

    3時間40分 「向かい水を飲む」

    何をやっても頭から「ダムの放水のイメージ」が消えないステージに突入。限界は近い。

    ところが、ここにきて心はナチュラルハイを迎え、よせばいいのに「向かい水じゃこら」とがぶがぶ水を飲み始める自分がいた。

    「限界なんだろ?じゃあもうどんだけ水を入れたって同じことだよなぁぁ!!!!ゲハハハハハ!!!!!!」

    狂薬の力で命を削り超人的な力を得て、暴虐の限りを尽くしたマッドサイエンティストが、盾とかで戦うヒーローに追い詰められ、仮に逃げ切れたとしても副作用で死が確定しているという状況に陥ったらきっとこんな気持ちになるのだろう。

    3時間54分 「さよならの向こう側」

    「そうだ、トイレに行こう」と思った。

    座るとやばい、立てばやばい、歩きだしたらもっとやばい。

    3時間57分

    そして世界は光につつまれた。

    体の奥底から絶えず湧き上がる全身の弛緩の心地よさじは、「そうだ、私はおしっこを限界まで我慢してリリースするために生まれてきたんだ」と思い出させてくれた。

    結論

    鈴木は、尿意を感じてから限界を迎えるまで、3時間57分耐えられる。

    こうして、世界にまた一つ新たなトリビアが生まれた。一つ己を知り、一つ強くなり、一つ優しくなった。よい子は真似してはいけない。

    (ふ凡社保健部)

  • バンジーで「アサシン飛び」をする

    バンジーで「アサシン飛び」をする

    ふ凡社鈴木です。

    バンジージャンプをすることになった。

    GWのど真ん中、元号も変わって、なんだか景気の良い空気が流れる中、いきなり命の危険のあるアクティビティに身を投じようというのだ。

    せっかくの初バンジー。普通にやるだけではもったいない気がするので、私はアサシン(暗殺者)飛びで臨むことにした。何を言ってるかよくわからないと思うので、レポートをお届けする。

    鈴木のイメージする「初バンジーのテンプレート」

    私はバンジーをやったことがない。ただテレビなどで何となく

    「初めてバンジーをやる人像」

    というのは知っている。

    内股をカタカタさせながら猫背で高台に立ち、足元をチラッと覗き見て

    「うわたっか!無理無理無理無理絶対無理!!!」

    とわめき散らし、

    「スリー!ツー!ワ・・・いや待って!待って!!待って!!!やっぱ無理やわ!!!」

    と、悪あがきを幾度か繰り返し、見かねたインストラクターの後押しで半ば無理やり谷底へ突き落とされ、

    「ひ゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

    と叫びながら落ちていき、

    「ウォォォォォォォォォォ」

    と唸りながら二三度バウンドする間に落ち着きを取り戻し、最後はケタケタと笑いながらワイヤーで巻き上げられる。

    地上に戻ったら

    「いやぁ、死ぬかと思ったけど、飛んでみたらめっちゃ楽しかったですね」

    とヘラヘラ笑いながら、カメラに向かってピースなどする。

    さしずめこんな感じではないか。

    俺の初バンジーは一味違う

    初めてバンジーをする人の多くは、先述のテンプレートにのっとった模範的な初バンジーをするのだろう。

    しかし、私は思った。

    「どうせやるなら一味違うコンセプトでやりたい」

    バンジーは、やる本人にとっては大ごとで、これまでにない大胆な決断であり、プレシャスな体験だ。一方で、バンジー自体はメジャーだし、私がやらなくったって「初めてバンジーやってきました!」と発信している人たちは星の数ほどいるはずだ。

    つまり、ただ飛ぶだけでは、いまひとつインパクトに欠ける。

    どんな初バンジーをプロデュースしたいか考えた時、思い至ったのが「アサシン飛び」である。

    「アサシン飛び」のテンプレート

    アクション映画なんかで、こんなシーンを見たことがないだろうか。

    カリスマのアサシンが、ビルの上でなにやらいそいそと準備を整えている。傍らには、ひょんなことから彼と行動を共にすることになった、冴えない一般男性が。

    「一体何をやろうとしてるんだ!ちゃんと説明しろ!」

    とわめきたてる男を気にもとめず、アサシンはクラッシックを口ずさみながらいそいそと装備を装着し、ビルの淵に立つ。

    「おいおい待て!待て!!待て!!!、アンタまさか・・・」

    と息を呑む男に、アサシンはくるりと振り返って一言。

    「あとは任せたよ」

    とにっこり微笑んで、スローモーションで後ろ向きで落ちていく。

    「おいおいマジかよ!!!!クソっ!!!とんだイカれ野郎だ!!!!」

    これがアサシン飛びである。これをやる。

    群馬より愛をこめて

    令和元年五月の始め、木曜の朝。私は、スーツ姿で群馬の上毛高原に立った。

    群馬に降り立つカリスマアサシン。余裕を見せるため、いつも腕を広げながら生活している

    駅からバスで約30分、トコトコ揺られて、猿ヶ京バンジーに到着。

    事前の情報で、62メートルの高さの橋の上から渓谷に向かって飛び降りるということだけ聞いていた。ただ、62メートルがいかほどのものかわからないし、ましてその高さから飛び降りたことなんてないので、どんな感じなのか全く想像がつかない。

    現地について、下見で橋の上に立ってみた。

    川を行くカヌーの、シルバニアファミリーもびっくりの小ささ

    高い高い高い。高いわ。スカイツリーか君は。

    少し下を覗いただけで、下半身がひゅんとする。しかし、景観は美麗そのもの。水は深いエメラルドグリーン、空は透き通る青、木々はいい感じの緑。空気もおいしい。素晴らしい。絶好の暗殺日和である。

    早速受付を済ませる。バンジーの値段は1ジャンプ1万1000円。高い高い高い。高いわ。フォアグラか君は。

    しかし、今の私は凄腕のアサシン。1つのミッションを達成するたびに多分3億円くらいもらっているので、ポケットティッシュを買う感覚で諭吉と英世を差し出す。

    はかなげな謎マネキンに一抹の不安を感じる

    その後、要約すると「僕は何かあっても文句は言いましぇん!!!!」という旨の誓約書にサインし、スタッフの指示に従って装備を取り付けていく。この時からすでに私の心は暗殺者。頭の中ではムソルグスキーの「展覧会の絵」が流れている。

    掌に、器具を装着した後の体重を書かれる。今までアサシンが葬ってきた人数っぽくてよい。

    アサシン飛びをするにあたって、細かな設定もちゃんと考えてきた。

    本日のターゲットは、さるイタリアンマフィアの幹部・トンマーゾ。愛人のステファニーとともにバカンスで群馬を訪れ、猿ヶ京で釣りを楽しんだ後、登利平の鶏飯を食べに行こうという計画を立てている。

    しかし残念ながら、彼の口に鶏飯が入ることはない。

    この時、頭の中ではトンマーゾの人生をなぞっている。ターゲットの人物像をしっかり知った上で仕事にかかるのが、カリスマの流儀なのだ。

    もろもろのセットを完了し、いよいよジャンプ台に立つ。

    「1、2、3ですぐ飛んでもらいます。溜めてやると、飛べなくなっちゃうから」

    とスタッフ。

    なるほど、確かに1回1回個人の裁量に任せていては、回転率が下がってしまうのかもしれない。私の前にも体験者が何人かいて、スタッフは飛び降りる人たちの背中を少し押しだすようにアシストしていた。

    ちなみに、スタッフは外国人が多く、全体的にテンションが高い。小粋なジョークを挟みながら、ノリノリで参加者を谷に突き落としていく。場を盛り上げるのも、皆の気を大きくしてバンバン飛ばせるために必要な演出なのだろう。

    スタッフは、私が観光に来た冴えないサラリーマンだと思い込んでいる(多分)。日常に溶け込むのもアサシンの妙技なのだ

    私の場合はサポートは不要。なぜなら私は死のキューピッド。スタッフのアシストなどなくとも、難なく飛べるはずだ。

    死のキューピッド「後ろ向きに飛んでもいいですか?」

    スタッフ「大丈夫ですけど、結構怖いんで、初めてなら前から飛ぶのをおススメします」

    HAHAHA、私を誰だと思っている。豊後の死神と恐れられた男ぞ。

    頭が高い頭が高い。頭が高いわ。悪代官か君は。

    アサシンなので、靴はもちろん革靴

    渓谷に背を向け足場に立ち、準備は整った。

    さぁトンマーゾ、個人的な恨みはないが、お前は数多くの善良な市民を悲しみの淵に突き落としてきた罪深き男。せめて清らかな翠玉の水に抱かれて散れ。

    呼吸を整え、風の音に耳を澄ます。イメトレは完璧。オプションの写真撮影も申し込んだから、きっと初バンジーとは思えない余裕しゃくしゃくの絵が撮れることだろう。勝った。勝ったわこれ。

    これより猿ヶ京は、戦慄の谷へと変わる

    スタッフ「3、2、1 ハイっ!」

    その言葉とともに、体がゆっくり傾いていく。その時、事件は起こった。

    スタッフ「あっ、ちょっと待って(ボソッ)」

    死のキューピッド「ファッ!?!?!?」

    まさか、まだセッティング完了してなかったのか!?

    えっ、もう両手離れちゃってるじゃん!どうすんのこれ!!!

    あっ、死…

    その間わずか1秒、リアルに景色がスローモーションで見えた。だから、スタッフの口元もはっきり見えた。

    「コイツ!!!!ニヤニヤ笑ってやがる!!!!」

    騙しやがったなちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!

    いともたやすく行われるえげつないジョーク

    そこから先は、覚えていない。気づけば私は、ケタケタ笑いながらキリキリと巻き取られていた。なんか景色がきれいだったと思う。

    生前硬直したまま巻き上げられるアサシンの図

    これが、私のヴァージンバンジーの顛末である。最初の一瞬で感じたのは、確かに「死」だった。心臓に悪い(物理)ジョーク。フォーリナーのノリはトゥークレイジーである。

    なにはともあれ、初めてにして稀有な体験ができて、とても満足した。

    「髪をポマードでオールバックにして、黒い蝶ネクタイを締めたほうがよりアサシンぽかったかな」と、次のアサシン飛びに向けた改善点も見つかった。

    命拾いしたな、トンマーゾ。

    (ふ凡社暗殺部)